小さな1つの奇跡 投稿者: まてつや

1年前のわたし……。

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わたしと詩子とあの人で……
ずっと歩いていられると思っていた。
笑っていられると思っていた……。
ずっとこのままで……3人でいたい……そう思ってた。
あなたのこと、ずっと信じてた……、想ってた……のに……。


でも、あなたはいつしか雨が降る度に
3人で幼いころ遊んでいた空き地に
傘も指さずに……たたずんでいて……


最後にわたしの目の前で……消えて……しまった……
『誰も……ずっと、出会ったころのままではいられないんだよ』
それがあの人の最後の言葉だった……。
最初は何が起こったのか……よくわからなかった……
というか……理解したくなかったのだ。
でも……詩子から……みんなから……
世界から……あの人の存在が忘れられていて……
そのうちわたしの中からもあの人が消えちゃうんじゃないか……って思えて、
最後につないでいたあなたの指のぬくもりが離れなくて……




……わたしは、あの空き地(ばしょ)から離れなくなった……





雨が街を洗ってゆく……
わたしの痛みも……全て洗い流して欲しいのに……
でも、あの人のこと忘れたくなくて、
雨の匂いが切なくて……
わたしはあの場所から離れられない……


ずっと、だれよりも想っているつもりだったのに……
わたし……あなたの心の傘の中には……入れなかったんだね……


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でも、わたしはまた……同じことを繰り返してるんだね……
浩平と……ずっと、終りのない未来をわけあえると……思ってたのに……
また、わたしの前から……愛しい人を連れ去ってゆくんだね……
また……わたしには……何もできなかったんだね……




あなたに「おまえはふられたんだ」って言われたとき……
わたしは……ずっと、今日まで生きてきたのは……
あなたに会うためだ……って思えたのに……


だから……あのときよりも……
ずっと……胸が痛くて……涙がとまらなくて……

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それからもわたしは待つことしかできなくて……

でも……、待ち続ける空き地(ばしょ)さえうばわれて……

あなたがいない……刻(とき)の流れは、すごくゆっくりすぎて……

でも、そんな刻のなかで……わたしは……待ってる……




もう1度、あなたと笑いたい……
あなたといっしょに歩きたい……
信じてる……想ってる……愛してる……あなたのこと……





だから……はやく、帰って……き…て……

お願い……だ……か……ら……

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わたしとあなたの……
大きな世界で、あなたに出会った
……小さな1つの奇跡……






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あとがき
ああ〜〜、ダメだダメだ。
どうしても、茜シリアスSSが書いてみたかったんだけど……
今回はノリがよくなかったなぁ……

思うとおりに、全然書けないよ。
ま、気を取り直して『茜様がゆく!』の続きをかんがえよ〜っと……