怪盗ミラクルルミ2! 投稿者: まてつや
「全く……、この前はは泥棒に入られて最悪だったわ。ちょうど、だれかさんと同じ名前のこそ泥に……」
いつもの教室にて、七瀬留美は広瀬にイヤミを聞かされていた。
「そう、クマさんのまずいクッキーを焼くことくらいしかとりえのない、だれかさんと同じ名前なんだけど……最悪よね」
「そーよ、そーよ」
「まったくそのとーりよ」
「がぜん、そのとーりよ」
と、広瀬の取り巻き1〜3が追い討ちをかける。
(うぐぐぐぐ……)
「あ、別にだれも『あなたのことだ』……なんて言ってないからねぇ、七瀬さん」
(言ってるのと変わらないわよ!)
この前は、浩平が助けてくれたのに……
そう、浩平は今日、何故か学校にいなかった。
しかたなく、留美は悪魔のような広瀬の笑いにじっと耐えていた。



「んあ〜、今日は折原と里村が欠席……と」
生徒が1人増えても気づかない、とうわさのある担任の髭が珍しくしっかり欠席に気づいていた。
(どうして、2人そろって休みなのかしら……)
(そういえば、あの2人……結構仲がいいのよね……)
(はぁ……、なんでアイツのことばかり考えてるんだろう……)
ちなみに里村の前の席の南はとても悲しそうだった……



そのころ例の2人組は……
「いやぁ、学校さぼってまで茜とデートができるなんて、幸せだなぁ」
「……違います」
「いやぁ……、茜がそこまで俺のことを好きだったなんて……」
「……思ってません」

がたんごとん……がたんごとん……

「そういえば、山葉堂のわっふるを買ってきたんだが……」
「……いただきます」

がたんごとん……がたんごとん……

「俺たち、何やってんだ?」
「……電車の中で、わっふる食べてます」
「いやまあ……、そうなんだけどな」

がたんごとん……がたんごとん……

「……おばさんに、例の『力』のことを聞きにゆくんです」
「物好きだな、茜」
「……『行こう』といいだしたのは浩平の方です」

がたんごとん……がたんごとん……

(はぁ、学校休んでまでなにやってるんだろ、俺……)
(そんなに、気になってるのかな……ルミ……のこと……)



「……茜ちゃん、久しぶりね」
「……はい、葉子おばさん」
「こっちの男の子は……?」
「茜の恋人の折原です」
「……違います」
あっさり否定された浩平、ちょっと悲しかった。
「彼に、『力』のことを話してあげて欲しいんです」
「……わかりました。……では、茜ちゃんは席をはずしてください」
茜がその場を去り、改めて浩平は茜の叔母……葉子……と向かい合った。
「ずっと以前に、FARGOと呼ばれる宗教団体があったのを知っていますか?」
「はい。……でもそれは、すでに壊滅したハズです」
「わたしは、その施設で暮していたんです……」
「……っ」
葉子の言葉に、浩平は絶句する。
「そこで、例の『力』……そこでは不可視の力と呼んでいました……を身につける訓練……、いいえ、実験をやらされていたのです」
葉子は瞳を閉じ、続ける。
「その『力』は『過酷』から生みだされます。……ですが、それを制御できる者は皆無に等しかった……。もしあなたがその『力』を身につけたいと思ってここに来たのなら……あきらめることを勧めます」
(……ってことは、ミラクルルミも……『過酷』を背負っている……の‥‥か?)
「わたしが話せることは、これくらいです」
「ありがとうございました」
浩平はそう言って、茜を探しにその場を離れた……。

自分以外だれもいなくなった部屋で、葉子はつぶやく……
「その子が……彼女の後継者なのね……」
その表情は何者にも計り知れないほど……深かった……。



いつもの人気のない裏庭で向かい合う2人の影……
「留美。仕事だよ」
「うん。わかってるわ」
と、留美は左手の人指し指をあごに当てかわゆいポーズをとりながら答える。
彼女いわく、これを反射的にできることが乙女の成せる技であるらしい。
「でも、あのバカ警部相手なら楽勝なんだけど……。留美に『力』をつかわせるなんて……浩平って子……あなどれないわね」
「でも、未悠(みゆ)先輩。あいつは今日学校休んでたから、多分現れないですよ」
「ま、どちらにしても。総主(マスター)も期待してるからがんばってちょうだい」
「総主……って言っても、先輩のお母さんじゃないですか……」



『今夜、みゅ〜という名のフェレットをいただきに参ります。怪盗ミラクルルミ』



『ふっふっふ。今回は確実に成功するぞ!なぜなら赤外線レーザーをフェレットのまわりに張り巡らせてあるからだ!どうだ、ミラクルルミ!』

「だとさ……、ルミ?」
ルミは住井博士といっしょに、折原警部の作戦を盗聴していた。
「進歩がないな〜、あの人も……」
「俺の作ったセンサーグラスを持っていけば、余裕だな」
「じゃあ、いってくるわ」
「油断だけはするなよ」



ルミはいつものようにへちょい警備をかいくぐり、フェレットのいる部屋の前まで来ていた。
「さて、この部屋ね……」
ルミが扉に手を掛けようとしたとき、背後にゾワッ……と気配を感じた。
バッ!と反射的に跳び退く。
「あんたがウワサのミラクルルミね」
気配の主が悠然と構え、見据えてくる。
「あなたは……?」
「わたしの名は、怪盗ウルトラC子。これからこの街で名をあげる予定の女よ」
そう言って、彼女はルミより先に部屋へ乗り込んだ……。



しばらくすると部屋の中から……
「キャ〜〜」「イヤ〜〜〜」「助けて〜〜〜〜」
「許してぷり〜〜ず!……」などと悲鳴が聞こえてきた。
どうやらC子は赤外線レーザーにもろにひっかかったあげく
警官に見つかったらしい。
(アホね……)
ルミはそのどさくさにまぎれて警官に変装していた。
スキをみて、さっさとフェレットを持ち去った……




その夜、椎名繭の部屋では……
「みゅ〜〜〜〜〜!!」
「夜中に、大声出さないでっ!」
「みゅ、みゅみゅ〜〜〜〜〜!」
「うるさい、ってば」
「ほえ?」
まあ、おおむね幸せみたいだった。



次の日は朝から雨だった……。
浩平はいつもより少し早く家を出て、
小さい頃、良く遊んだ空き地の前を通りがかった。
(ん?あの姿は……)
ピンクの傘をさして、空き地にたたずんでいるのは
まぎれもなく里村茜だった。
ひどくたよりなさそうに、さみしそうに、切なさ層に……
「茜……。ここで何やってるんだ?……」

(不可視の力は『過酷』のよって生まれる……)

葉子の言葉が浩平の脳裏を一瞬よぎった。
「……待っているんです……」
茜の深い哀しみを……浩平はなんとなく感じ取っていた……

(まさか……茜もすでに、なにか『過酷』な経験をしてるんじゃあ……?)

「あ……茜。俺じゃあ、力になってやれないのか!?」
浩平は雨の中、彼女を抱きしめた……




…………………………………………………………………………………………………
あとがき
え〜、みなさんのご期待に答えて……というより
まてつやが勝手に調子に乗って第2話を書いてみました……
登場人物がどんどん増えて、なんか収集つかなくなりそうですが
一応、あと2話で完結予定……それまでつき合ってね。

ところで作者はセイントテールのマンガは読んだことがないのです(をい)
アニメ化されたときにちょくちょく見てただけで
どのように完結したかも知りません……
なのに、書くし(笑)

感想
だよだよ星人さん 好き好き郁未先生!
長森なんか強気だぞ……
それにしても、どの話でもむくわれないなぁ……南くん(泣)

ひろやんさん 彼女のいた風景 (前)
話がそれてしまったが……が笑えました

偽善者Zさん 浩平犯科帳 第一部 第十話
今回は……結構短めですね。
茜の能力の秘密、わたしも知りたいです。
おでかけ!2
「ふっ・・・わたしは七瀬なんだよ・・・・・・」
……がいい感じです……『ホト連』


GOMIMUSI さん 心ください 2回目
澪もそうですが、長森や茜たちの心の動きがとても上手いです。
続き頑張ってください。

KOHさん 猫 −2−
猫食うのか、みさき先輩……
みさき「中国人とかは、猫たべてるよ」
あんたは日本人だっ!

火消しの風 さん 涙を越えて NO.4???
住井君に伝授……って……

T.Kameさん 浩平暗殺計画
南、里村さんは、全部お前にたくす……って、
やったじゃん、南!(笑)
高根の花だよ...七瀬さん(中崎、男になれ)
もう、このごろ南だらけですな(笑)

最後にすぺしゃるさんくすです。
藤井勇気さん
おかげで、みさきの目に関するSSが読めましたどーもです。
でも、わたしよりはるかに上手なので、はじめて見たときは
自分の稚拙な文が恥ずかしくて……なかなか立ち直れませんでした……
でも、今は自分なりの方法で表現してやる……と、なんとか立ち直りました。
ありがとうございます。〜光と闇〜……がんばって書きますね。

それではみなさん、また来週!