『星空』 投稿者: まさた



『星空』
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 世界が闇に覆われた時、私は恐怖に包まれた

 当たり前だと思っていた日常が失われた時、私は孤独を知った

 ただ一人、取り残されたのだと感じた時、私は死を悟った


 消えてしまった光は、もう戻ることは無いのだと

 離れてしまった友人は、もう触れ合うことができないのだと

 色も無く、形さえも解らぬ、暗闇の世界の中を

 私はひとり、嘆きながら、さ迷い続けた


 それが、すべてだと思っていた

 そう信じていた



 だけど、あの時、友人からの電話があった時


「みさきの想像していた話の方が、面白かったよ」


 そう、電話ごしに話を聞いた時

 私は、思っていた世界が一つじゃないことを知った

 いまの現状が、必ずしも未来じゃないことが、解ったような気がした



 夜、空を見上げても、私の瞳には、もう星空が映ることはない

 だけど、今の私には、無数に星々の輝きが、はっきりと見える

 たとえ暗闇の道でも、足元を照らしてくれる優しい光が、私には感じられる




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