背中あわせ 投稿者: 睦月周

 シンデレラになりかったんだと思う。
 いつか白馬に乗った王子様が現れて、優しくわたしの手をひいて──
お城の舞踏会に連れていってくれる。
 無邪気にそう信じていたんだよ。

 でも。

 わたしの前に現れた王子様は、少しムスッとした、どこかまだ子供っぽい
感じのする、あの人だった。

 白馬のかわりにすすけた自転車で。
 舞踏会はお城じゃなくて公園で。
 素敵な晩餐会はラーメン屋!

 こんなのって信じられる?
 絶対おかしいよ、もう、無茶苦茶。
 すごくでたらめ。

 でたらめなのに。

 ──なんでかな、すごく安心できるの。

 あの人の前では、背のびをしなくていい。
 あの人の前では、シンデレラを演じなくてもいい。
 あの人の前では、──本当のわたしでいれる。

 背中ごしの安心感。
 呆れるほど単純な、小さな幸せ。

 ──ね、踊ろうよ。

 背中あわせになりながら、わたしは訊く。
 難しいステップなんていらない。
 フラットでいればいい。
 
 そう、シンデレラだって、お姫様になりたかったんじゃないよね。
 ただ、大好きな王子様と一緒にいたかったんだよね。

 子供の頃の夢とはだいぶ違ってしまったけれど。
 お姫様にはなれなかったかもしれないけど。
 こうして、無邪気に触れあうことが、そんなことよりずっと大切。

 お日さまの下で踊って。
 うんと背すじをのばして。
 疲れたらあの人の胸に倒れこんで。

 ──それがわたしの物語。

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 どうやら着実にベタベタ道を歩んでいる周です。
 今回は留美です。これで折り返し、あと3人でコンプリート!(何が)
 どのキャラもすごく愛着が沸いてしまったから、SSも全員分書いてみようと
意気ごんでいます。(トリはやっぱ茜かな)
 でも繭で挫折しそう・・・。(ネタが浮かばないです)

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 以下、感想です。

「そばに、いるよ」 ばむ!様
 一瞬、繭のSSかと思いました(笑)
 なんかせつない感じです。ポエマーですね〜。
 メロディが浮かんできそうです。

「信じてるから」 時の影様
 「雨」流しながら読みました。先輩はいいですね、先輩は!
 俺も信じてるぞ〜、ふかー! という感じです。泣けます。
 
「確かな・・・コト」 悠朔様
 タイトルがいいですね〜。
 やはり、想いは言葉にしなければ伝わらないと僕は思っていますが、
原作のあれはあれで素敵な演出だと思います。
 本当の意味でのせつなさ炸裂ですね。(セ○チなんざ甘い!)

「OPEN YOUR EYES」 西山英志様
 先輩が光を取り戻すシチュエーションなんて反則だぁ、と思いつつも
すごく感動してしまいました。流れるような文章が素敵すぎです。
 澪SS、期待しております〜。

 今回はこれだけ。
 続きは今度です〜。