澪と遊園地で 投稿者: 楓鳥 瑠留
『おなかいっぱいなの』
「おう、おれもお腹いっぱいだ」
浩平と澪は苦しそうにお腹をさする。
お昼はあちこちの売店からかき集めたものだ。ピザ、骨付きソーセージ、ホットドック、サラダ、デザートにイチゴゼリー。
「しかし、意外だなぁ」
ウーロン茶を飲みながら浩平が詩子に言う。
「ん?何が」
「いやな、お前が茜と同じ位の量しか、飯を食わなかったからな」
「あら、わたしはいつもこのくらいよ」
「うーん、俺のイメージだとカレーの8杯ぐらいは平気で平らげると思ったんだが・・・」
「何よ、失礼ね。大体そんな女の子いるわけないじゃない」
「・・・いや、いるんだなこれが」
「?」
何かを思い出したのか、脅えた感じで呟く浩平。わけがわからず首をかしげる詩子。時計は2時過ぎを指していた。

その後はひたすら乗り物に乗る4人であった。特に澪はジェットコースタ系が気に入ったらしく、浩平が根を上げるまでひたすら乗りまくってたのだった。
やがて、夜も更け午後8時。
「いいか、ここからが本番だ。あそこに城が見えるだろう?」
と言って、浩平はTWLの真中に位置された巨大な城を指差す。
「あそこの付近でメインイベントのスターライティングマジックってのが行われるんだ。今いる客はそれ目当てでこの時間まで残っているんだしな」
「そうだよー、澪ちゃん。わたしも前に見たことあるけど凄い人だったんだから」
「まぁ、そう言うことだから早めに場所取りに行くか」

城の前のステージは、すでに先に来てるお客で満杯なのが遠目からでも見える。
「うわ〜、やっぱ一杯かぁ・・・あれ?茜と柚木はどうした?」
ふるふる、と首を振る澪。
「うーん、ま、後で入り口で待ってりゃ見つかるか、もっと先に行くぞ」
『わかったの』
「しかし、このままじゃ俺達もはぐれるな・・・ほら、澪」
手を澪に差し出す浩平。澪はぱぁっと笑顔になり、しっかりと掴まる。
その手はイベントが終わり、入り口に戻るまで離れることはなかった。

「あ、いたいた折原君〜」
浩平の予想通り、入り口付近で二人と合流できた。詩子はお土産袋を一杯抱えていた。
「おう、見つかって良かったよ、んじゃ帰ろうか」
駅に向かって歩き出す4人。詩子はととっと浩平に歩みより。
「ねぇ、さっき澪ちゃんと手を繋いで歩いてたでしょ?」
と、囁く。
「んなっ、見てたのか!」
「もぉ、ばっちり。邪魔したら悪いからお土産買ってたんだからね、感謝してよね」
くすくすと、子悪魔的に微笑む詩子。
『どうしたの』
先頭を歩いてた澪が振り返る。
「な、なんでもないさ、それより前を見ないと・・・」
ずべっ!
踵を段差に引っ掛け尻餅をつく、澪。
『いたいの』
「今度はおぶってあげたら?」
「・・・はぁ」

帰りの電車は以外に空いていた。浩平と澪、茜と詩子それぞれ隣に座って向かい合わせである。
「今日は楽しかったか、澪?」
返事がない。見れば澪は浩平にもたれ、すやすやと眠っていた。
それを見てつい、微笑む浩平。更にそれを見てにたにたと笑う詩子。キッ!と浩平が睨むと視線を逸らす。

「さて、わたし達はここで降りるからね」
「おう、気をつけてな」
「・・・今日は楽しかったです」
ぺこっとお辞儀をする茜。やがてドアが開き二人は立ち上がる。
「澪ちゃん襲っちゃだめだよ〜」
「うるさいっ!さっさと降りろっ」
「あっ、酷〜い、じゃね〜」
軽くてを振って降りる詩子。そのときもぞもぞと澪が起きだした。
こふ〜っと欠伸をし、きょろきょろと見回す。
『ここどこ?』
「お、起きたか。もうすぐ降りる駅だぞ、二人はさっき降りちゃったからな」
「今日は楽しかったか?」
『うん、とっても』
大きく何度も肯く澪、笑顔が浩平には眩しく見える。
「そうか、良かったな」
くしゃくしゃ、と照れ隠しに頭を撫でる。澪は恥ずかしそうに目を伏せ、されるままになっている。
「またいつか一緒に行こうな」
『楽しみにしてるの』
やがて電車は最寄駅に着く。今日のことは一生の思い出になるだろうと、浩平と澪は思うのだった。



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終わった=■●_ 予定をオーバーしてようやく終了です。しかしこの話、設定混合してますねぇ(笑)
澪と上手く行くなら、みさきさん出るはずなんだけど・・・。

しかし、ほのぼの系は初めてです、普段はギャグか、18禁なので。

次は中断してた折原VS七瀬ですね
感想下さった方々、ほんとにありがとうございます。ボクも感想ださないとなぁ〜。

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