<登場人物> ピーターパン:ちびこうへい ティンカーベル:ちびみずか フック船長:七瀬留美 ワニ:椎名繭 ----------------------------------------------------------------------------------- むかしむかし、あるところにこどものかみさまがいたんだ。 えっ? 違うよ、こどもたちのかみさまじゃなくってさ、 こどもの、かみさま。 だから、そのかみさまはこどもなんだよ。 もうっ、あげあしをとるなよなあ。 ともかく、こどものかみさまがいたんだ。 ≪第6話 こどものかみさま≫ むかしむかし、あるところにこどものかみさまがいたんだ。 そのこどものかみさまは、もっとむかしにはおとなのかみさまが創った世界に住んでいたんだ。 あ、言っとくけどおとなたちのかみさまじゃないからな。 そのかみさまがおとななんだぞ。 うん、わかってるんならいいんだよ。 それでこどものかみさまはだな、その世界で毎日、楽しい事とか悲しい事とかおかしな事とかをタイケンしていたんだ。 でも、このへんはよく知らないからカット。 まあ、きっといろんな事があったんだと思うぞ。 だけど、気がつくといつのまにかこどものかみさまは真っ暗闇のなんにもない世界にいたんだ。 そこはたぶんこどものかみさまの世界だな。 うーん、なんでそうなっちゃったのかはわかんないよ。 こどものかみさまが忘れちゃったからな。 きっと、こどものかみさまがわがままばっかり言ってたから、おとなのかみさまに追い出されちゃったんじゃないかな?。 それとも、おとなのかみさまの世界がつまんないからさ、こどものかみさまが家出したのかもしれないぞ。 もしかしたら、ただ単にこどものかみさまが迷子になっちゃっただけなのかもしれない。 まあともかく、こどものかみさまはなんにもない世界にいたんだけど、そんな世界つまんないだろ?。 だからさ、こどものかみさまはおとなのかみさまの真似をしたんだ。 ただの真似じゃないぞ。 おとなのかみさまの世界には良いところもいっぱいあったけど、やなとこもいっぱいいっぱいあったんだ。 そのやなとこをなしにしたすんばらしい世界を創ってやろうってこどものかみさまは考えたんだ。 やなとこなんかない方がいいだろ?。 だけど良いところだけの世界っていうのも、なかなか難しいんだよ。 こどものかみさまにはちょっと難しすぎたんだ。 だって、おとなのかみさまにもできなかった事なんだぞ。 こどものかみさまにできなくっても仕方ないよな。 それに、こどもだからいろいろわかんない事もたくさんあったんだよ。 たとえばさ、こどものかみさまは機械とかが作れなかったんだ。 こどものかみさまには機械がどうやって動いてるのかがわかんなかったんだよ。 コンセントとか電信柱とかがいるって言うのはわかるんだけどさ、そこらへんがどうなってるのかって、専門家のりょういきじゃないか。 それにあれって中がなんだかごちゃごちゃしてるしな。 だから作るのはやめといたんだ。 だって、いいかげんに作ったものが動くはずないだろ? こどものかみさまが創った世界は本物の世界なんだぞ。 夢とかまぼろしとかじゃないんだからな。 他にもだな、こどものかみさまは動物が作れなかったんだ。 だって、動物って死んじゃうじゃないか。 死んじゃうってわかってるものを作るなんて、すっごくひどい事なんじゃないかな?。 どうせ死んじゃうんだから作らない方がいいやってこどものかみさまは思ったんだ。 こどものかみさまはそういうのが嫌いだったからな。 死んじゃうっていうのは、おとなのかみさまの世界にあるやなとこのひとつだな。 ん?、どうしたんだワニ? ばかっ、死なないようにすればいいって・・・なに言ってんだよっ。 そんなひどい事、できるわけないだろ。 死なないって事はずっと変わらないって事なんだぞ。 そんなひどい事、できるはずないじゃないかよお。 それに死なない動物なんて、そんなの偽物じゃないか・・・ うん、わかればいいんだよ。 えっと・・・まあ、だからこどものかみさまは動物を作れなかったんだ。 いや、木とか魚とか虫とかは作ったけどさ・・・ あれってなんだかなんにも考えてなさそうだろ?。 ううー、だってこどものかみさまなんだからこどもなんだよ。 こどものする事にいちいち目くじらたてるなよなあ。 まったくもう、大人気ないぞフック船長。 えーっと、そんなわけでこどものかみさまが創った世界はだな、どっちかっていうとあんまりちゃんとしたやつじゃなかったんだ。 まあこどものする事だからな、そこらへんのところは大目に見てやってくれ。 で、せっかく世界を創ったんだけど、肝心の遊び相手がいないんでこどものかみさまは退屈しちゃったんだ。 ひとりぼっちじゃつまんないからな。 うっ、ティンカーベル、その顔はなんだよ。 おい、そんなぷうってふくれるな。 わかった、わかったよ、だからこんな事ですねるなよ。 ・・・もうっ、なんだよぷうって。わがままなやつだなあ。 えっと、さっきのは間違いだったからテイセイするぞ。 こどものかみさまには友達が一人しかいなかったんだ。 二人ぼっちじゃ、やっぱりそのうち退屈しちゃうんだよ。 だからさ、こどものかみさまは友達を借りてくることにしたんだ。 いや、ちょっとの間だけだぞ。 ずっとじゃ迷惑だし、ゆーかいになっちゃうからな。 ああ、こどものかみさまはおとなのかみさまの世界がどこにあるのかは知らないよ。 こどものかみさまの世界のすぐそばをみんなの夢が漂ってるんだ。 そこから借りてくるのさ。 うーん、どうなってるのかなんてよくわかんないよ。 もしかしたら、おとなのかみさまの世界はけっこう近くにあるのかもしんないな。 まあ、そーいうわけでこどものかみさまは退屈しなくなったんだ。 それからこどものかみさまは毎日、楽しく遊んで暮らしましたとさ。 めでたしめでたしだろ? これで、こどものかみさまのお話はお終いだ。 へ?、なに言ってるんだよ。 フック船長、そんなの当たり前じゃないか。 こどものかみさまっていうのはぼくのことに決まってるだろ。 ぼくはピーターパン、この世界のかみさまだ。 すっごくえらいんだからな。そんけーしろよ。 ほら、そんなことより次はフック船長の番だぞ。 えー、ぼくはお姫様の話なんかよりもフック船長の武勇伝が聞きたいぞ。 なあ、ワニもそう思うだろ。 ぐっ、ワニはお姫様の話が聞きたいのか。絶対に武勇伝の方が面白いと思うぞ。 なにー、ティンカーベルもお姫様がいいって言うのか。 ちぇっ、しょうがないなあ。 まあいいよ、ぼくもちょっとは聞いてみたいからな。 わかってるよ、途中でちゃちゃをいれたりなんかしないってば。 うん、大丈夫だからさ。 ほら、フック船長、早くしてくれよ。 わかってるってばあ・・・ ----------------------------------------------------------------------------------- ども〜、はにゃまろです。 海の話が終わったんで番外編っぽいのをひとつ。 今回はいつもと違った感じです。 ちょっと変かも・・・ 次回はワニが家出する話の予定。 でも予定は未定であり決定でないってよく言いますし、どうなるかはわかりません。 では〜