ピーターパン 投稿者: はにゃまろ
<登場人物>
ピーターパン:ちびこうへい
ティンカーベル:ちびみずか
フック船長:七瀬留美
ワニ(着ぐるみ):椎名繭

オープニングテーマ「ネバーランドへ行こうよ」(曲:オンユアマーク)
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「・・・れでだな、ここにはでっかい湖を創るんだ。真ん中に島があって、そこには王家のひほーが隠されているんだぞ」

「お魚さんいっぱいいるかな?」

「もちろんだ。伝説の主だって潜んでいるんだぞお」

「ねえねえ、こーへー。こっちはどうするの?」

「そこは草原にするんだ。すっごく広くて、地平線が見えるぐらいの草原だぞ。そこには羊とかがいるんだ」

「こーへー、こーへー、草原には風を吹かせようよ。その草原にはいつもそよ風が吹いてるんだよー」

「なにーっ、風だとお」

「うにゅー、ダメかな?」

「ばっちぐーだ!、そのアイデアは採用だぞ。なかなかやるなあ」

「えへへ、きっとそこでお昼寝するのって、すっごく気持ちいいよ」

「うむうむ、これで楽しみがまたひとつ増えたな」

「うん!。なんだかわくわくするね」

「よーし、じゃあ次だ」

「こーへー、次はここだね」

「そこにはすんごく大きい木があってだな・・・」

「・・・あ、秘密の隠れ家をね・・・」

「・・・からはオーロラが見・・・」

「こーへー、おーろらって・・・」

「・・・ひらひらってなっててな、それから、それからな・・・」

「うわー、すっごく・・・」



≪第2話 ピーターパン、テリヤキバーガーをつくる≫

ここはネバーランドの一角にある草原です。
今日もピーターパンはネバーランドの平和のためにフック船長と闘っています。
「どうだ、フック船長。まいったかー」
「みゅーっ♪」
「ぎゃあああ、引っ張んなって言ってるでしょーがっ」
フック船長もだいぶこの世界に慣れてきたみたいです。
海賊服もすっかり板についてきました。
「降参、降参するわ。ぎぶあーっぷ」
「ワニっ、ぼくたちの勝利だ!」
「みゅー、勝ちっ」
ビシィ
ピーターパンとワニ(着ぐるみ)は勝利のポーズをびーじーえむ付きでビシィっと決めました。
練習の甲斐もあってばっちしです。
「ふっ、決まったな」
「びしぃ」
ちなみに効果音あんどBGM役はティンカーベルです。
「ばかあ、びしぃは一回だけだ」
「あっ、そうだったよ。ごめんね、こーへー」
ビシッ
ティンカーベルにデコピンが炸裂しました。
「あうっ、びしぃ」
「ピーターパンだっ。まったく、今度間違えたらほんとのほんとにひどいからな」
「うう、ごめんね・・・」
「みゅー、びしぃ、びしぃ」
傍らではワニがポーズを決めまくっています。
「はぁ、なんで私がこんなガキどもの相手をしなきゃならないのかしら」
フック船長が情けなさそうにため息をつきました。
「ふっふっふ、負け犬の遠吠えって言うんだぞ、それは」
「はいはい、私の負けでいいわよ。まったくもう」
今回の闘いもピーターパンの勝利で幕を閉じました。
さすがは主役ですね。
「まあ、いわゆるひとつの正義は勝つってやつだな。当然の結果だ」
「あのね、言っとくけど私が本気を出したら・・・ってーーー、なによっ!!」
突然、フック船長がワニに向かって怒鳴りつけました。
びしぃに飽きたワニがフック船長の尻尾をくいくいっと引っ張ったのです。
「みゅうー、お腹へった・・・」
先程の激戦のためでしょう。ワニは空腹を訴えました。
「・・・それで私にどうしろっていうのかなあ」
「まあまあ、フック船長、ここはぼくにまかせたまえ。ワニ、このたびの闘いはご苦労であった。ほら、テリヤキバーガーだぞ」
ピーターパンはどこからともなくテリヤキバーガーが山盛りの籠を取り出しました。
もちろんポテト、ジュース付きです。
「わぁ♪」
ワニはテリヤキバーガーが大好物なのです。ワニも大喜びですね。
「ちょっと!?、その籠、今どっからだしたの?」
フック船長がピーターパンに尋ねました。どうやらびっくりしているようです。
「ふっふっふ、ハンドパワーだ」
「うわ、古すぎ。あんたなんでそんなこと知ってるのよ。あんたいくつなの?」
「さあ、いくつなのかな?。でも、ずいぶん若いと思うぞ」
ピーターパンはちょっときまりわるそうにそう答えました。
「あっきれた、あんた自分の歳もわかんないの。・・・じゃなくって、ねえ今のって手品なの?、それとも超能力?、まさかなんとかの力ってことはないわよね」
「手品じゃないよ。ピーターパンのイメージだよ」
混乱しているフック船長にティンカーベルが言いました。
「へ?、イメージってどういう事」
「みゅー、てりやきばーがーーー」
ワニがテリヤキバーガーをねだります。
「ワニ、まあちょっと待て。ふっふっふ、驚いたかフック船長。このピーターパンに不可能などないのだあ。なんだって創れるんだからな。これからはぼくのことをピーターパン様と呼んでくれてもかまわないぞ」
「あほっ、誰が呼ぶか。ねえ、ちょっとそれ見せてよ」
「・・・見るだけだぞ」
ピーターパンから籠を受け取ったフック船長はまず匂いをかいで、それからおもむろにテリヤキバーガーにかぶりつきました。さすがに食べ方も豪快です。
「みゅうっ!?」
ワニ大ショックです。
「こらーっ、それワニのなんだぞ!、 勝手に食べるなよお」
ピーターパンはフック船長からテリヤキバーガーの籠をぶん取りました。
「まったくとんでもないやつだ。海賊にも礼儀作法はあるんだぞ」
「ふーん、すごい、これ本物のテリヤキバーガーだわ」
フック船長は感心しています。
ピーターパンはショックを受けているワニにテリヤキバーガーを渡しました。
「ほら、好きなだけ食べていいぞ。闘いの鍵はおまえがにぎっているのだ。次回もよろしく頼むからな。テリヤキバーガーの恨みを思いっきりぶつけてやれ」
「うんっ」
ワニは力強く頷きました。やる気まんまんです。
「頼むなっ!!。あんた、自分で闘いなさいよ。ピーターパンなんでしょ、ピーターパン」
「知らないのか、ふぁんねるも実力のうちなんだぞ」
「くっ、口の減らない奴ね」
「ふっふっふ、それがぼくの特技だからな」
ピーターパンは自慢げにそう言いました。
フック船長は少しあきれた顔をしてその場に寝転がりました。
草原には心地よい風がそよそよと吹いています。
「あーあ、あんたらの相手してると疲れるわ。もうくたくたよ」
フック船長が愚痴をこぼします。
「フック船長はもう中年だからな。いろいろガタがきて大変だろ」
「あんたねえ、うら若き乙女を捕まえといて中年はないでしょ」
「ぼくから見れば立派な中年だぞ」
「はいはい、あんたらから見れば年寄りかもしれないわね」
「フック船長、疲れるのって嫌いなのか?」
ピーターパンは少し心配そうに尋ねました。
「・・・私ね、あんたたちに付き合うのってそんなにいやでもないわよ。思いっきり体を動かすのってなんだか気持ちいいしね」
みゅーって引っ張られるのだけは別よとフック船長は苦笑いで付け足しました。
「そうだろ!、ぼくも思いっきり走ったり跳んだりするのが大好きなんだ。・・・なんか、生きてるって感じがするだろ!」
顔を輝かせて熱く語るピーターパンを見てフック船長は少し優しい気持ちになりました。
「・・・そうね。私もたまにそう感じるときがあるわよ。でも、そんなのってめったにないからあなたが少しうらやましいわ」
少し懐かしそうな顔をしてフック船長はそう言いました。きっとフック船長も過去にいろいろあったのでしょう。
「・・・ところでさあ、さっきのテリヤキバーガーって本当にあんたが作ったの?」
向こうでテリヤキバーガーをぱくついているワニとティンカーベルを見てフック船長が言いました。
「そうだぞ。へへへ、すごいだろ」
「ふーん、なんだかすごいわね」
フック船長が珍しく素直に感心したのでピーターパンはちょっと得意になりました。
「フック船長、この世界にあるものは全部ぼくが創ったんだぞ。向こうの山も、あそこにある森も、この草原も、今吹いてる風だって全部、全部、ぼくが創ったんだ。いめーじを固定するのにすっごく時間がかかったんだからな。すごいだろお」
「創ったって・・・それって本当なの!?。なんだかあんたが本物のピーターパンのような気がしてきたわ」
「本物だって言ってるだろ。まあフック船長のようなセンスのない人間には不可能な偉業だな」
「くっ」
フック船長は少しでも感心した自分に腹を立てて反撃にでました。
「それじゃあ、あんたが着てる葉っぱだらけの変な服も自分で作ったのね。私にはないセンスだわ」
「うっ、この服やっぱり変かなあ。でも、ピーターパンっぽい感じがするだろ」
ピーターパンは葉っぱだらけの変な服をひらひらさせています。
「すっごく変よ」
「ぐあっ、仕方ないじゃないか、よく覚えてないんだから」
「あら、何を覚えてないのかしら?」
「何って、ピーターパンの服に決まってるだろ」
「ふーん、やっぱり本当のピーターパンじゃなかったのね」
誘導尋問です。ピーターパンは見事に引っ掛かりました。
「ううー、失礼だなあ、ぼくは本物のピーターパンだぞお。ちゃんとネバーランドもあるし、ティンカーベルだっているだろ。フック船長もワニもいるじゃないか」
「うふふ、そうね。確かにいると言えばいるかもしれないわ。一応ね、いちおー」
「ぐうーーーっ、笑ったあ、ぼくのこと笑ったな。フック船長のばかあ、アホ、ちんどんや、おまえの母ちゃんでべそー」
「あらあら、なんだかワンパターンな悪口ね」
フック船長は鼻で笑っています。
「くそー、今に見てろよ。絶対にギャフンって言わせてやるからなあ」
いつのまにか傾いていた赤い夕陽に向かってピーターパンは固く誓ったのでした。
突然の夕陽にフック船長は呆気に取られています。
「・・・ねえ、ここってやっぱり本物のネバーランドなの?」
「ここはネバーランドだよ。ぼくとティンカーベルのネバーランドなんだ」
少し寂しげにピーターパンは言いました。
「でも、ここって随分はっきりしてるけど夢の中なんでしょ。あなたが見てる夢なの?」
「・・・お姉ちゃん、ここはお姉ちゃんにとっては夢の世界なのかもしれないけど、ぼくにとってはここがたったひとつの本当の世界なんだ」
いつもとは違った感じで話すピーターパンに、フック船長は少年の笑顔の裏側を見たような気がしました。
「・・・そうなの。ねえ、あなたは何時からここにいるの?」
「さあ、何年も前からいるから何時からいるのかなんてわかんないよ」
「何年も前からって・・・そんな小さな頃からここにいるの?」
「ぼくはずっと前から今のままだよ。フック船長、知らないのか。ピーターパンは永遠に子供のままなんだ。大人になんかならないんだぞ」
「大人にならない・・・ずっと今のままなんだ。あなた、やっぱりピーターパンなのかもしれないわ」
「まあな、ぼくはピーターパンだからな。フック船長みたいにしわくちゃのお婆さんになったりはしないんだ。うらやましいだろ」
雰囲気が湿っぽくなったので、少しおどけた調子でピーターパンは言いました。
フック船長は真剣な顔で考え込んでいます。
「ねえ、それじゃあ、あなたのお母さんは?」
「お母さん?、お母さんってどんなだっけ?。もう忘れちゃったよ」
ピーターパンはフック船長の真似をして考え込みました。
フック船長は一瞬、引っぱたいてやろうかと思いましたがやめておきました。
どうやらピーターパンは本気で思い出そうと考え込んでいるみたいだったからです。
「うーん、やっぱり思い出せないや。でも、いないって事はどっかいっちゃったって事だよ」
「じゃあさ、あなた以外でここに住んでる人ってどれくらいいるの?」
「ここに住んでいるのはティンカーベルとぼくの二人だけだよ。あとはネバーランドの動物たちぐらいかな。ワニはフック船長と同じで朝になると帰っちゃうんだ」
「ねえ、それであなたはさみしくはないの?」
フック船長は真剣な顔で心配そうに尋ねました。
「さみしいってなに?。そんなの、もう忘れちゃったよ」
そうつぶやいたピーターパンの顔には一瞬、ほんの一瞬でしたが、たしかにとても寂しそうな表情が顔を覗かせていました。
その時、フック船長には目の前の少年がずいぶんと大人びて見えました。
フック船長はそれ以上なにも言えませんでした。



「こーへー、今日もいっぱい遊んだね。そろそろねようよ」
「おう、寝るぞ!」
「明日もいっぱい遊ぼうね」
「そうだな。・・・なあ、みずか、ここでは寝る必要なんかないだろ。いつまで遊んでたっていいんだ。それなのに、どうしてぼくたちは毎晩寝るんだろうな」
「うーん、たぶん夢を見るためじゃないかな?」
「・・・夢かあ」
「・・・こーへー、この世界、すき?」
「へ?、なんでそんなこと聞くんだ?」
「えっとね・・・ううん、なんでもないよ。こーへー、いい夢が見られるといいね」
「ああ、そうだな」
「こーへー、おやすみなさい」
「おやすみ、みずか」
「・・・」
「・・・」
「こーへー」
「・・・」
「もう、ねちゃった?」
「・・・」
「こーへー・・・いい夢が、見られるといいね」
「・・・」
「・・・」
「なあ、みずか・・・明日もいっぱい遊ぼうな」
「・・・うん!、いっぱい遊ぼうね」
「おやすみ、みずか」
「こーへー、おやすみなさい。・・・明日もいっぱいいっぱい遊ぼうね」


エンディングテーマ「針の止まった振り子時計」(曲:雨 )
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ども〜、はにゃまろです。
ピーターパン第2話、ちょっとシリアスです。
ウェンディ、出てきませんね。
って言うか、もう出てこないかもしれません。
お誕生日おめでとーのフック船長にヒロイン役を取られましたからね。
でもまだワニ(着ぐるみ)がいるのだあ。
ワニー、がんばだよ。
あとオープニングテーマとかエンディングテーマとかほざいてますが気にしないで下さい。
作詞できなかっただけです。才能ないなあ。
次回はシリアス100%!
めざせ、8月中は週刊投稿!
では〜