終わらない休日 最終話  投稿者:ひさ


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●これまでのあらすじ
 折原浩平は、ある日一匹の猫を拾った。名前を『プー』と言う。
 結局拾ってから僅か一日半で別れる事になってしまったのだが、連休中とい
う事もあって、浩平はプーと充実した時を過ごす事が出来た。
 連休明けの翌日、プーの大体の居場所が分かっていた浩平は放課後会いに行
ってみたが、その姿を確認する事は出来なかった。
 こうして次の日も、そのまた次の日も、浩平は毎日毎日プーの姿を求めてそ
の場所に通ったが、とうとう一度も会えないまま一ヶ月が過ぎようとしていた。

 そして丁度一ヶ月経った日、浩平はまるで導かれるように足を運んだその先
で、プーと同じくずっと姿を見せなかった音子と再会を果たした。
 その場所は、初めて音子と偶然出会った公園だった。
 積もる話もあり、しばし時を忘れて語りあう二人だったが、夢でプーに会っ
たという音子の言葉に浩平は強い衝撃を受ける。それは、いつか浩平も見せら
れた「プーの夢」に違いないと思ったからだ。
 浩平はプーと会えない理由がその夢にあると感じ、どんな話をしたのか音子
に尋ねてみることにした。
 音子はうろ覚えでいいのならと、記憶を心の奥から引っ張り出すように少し
づつ思い出しながら、ゆっくり語り始めた……。

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 ――気が付くと、そこは何も見えない闇の真っ只中だった。
 ぐるりと見回してみても、自分が今何処を向いているのかを知る手掛かりも
無く、さっぱり感覚が摘めない。
 途方に暮れて、しばらく思うままにとぼとぼ進んでいると、不意に遥か前方
に微かな光がぼやっと浮かび上がった。
 そんな道標を見付けた喜びからか、足取りは一気に軽くなっていた。
 ほのかな光が近付くに連れて徐々に歩みは速まり、身体にまとわり付く闇を
払うように突き進んだ。
 そして、導かれた光の中で待っていたものは……

「音子、お久しぶり……でもないか。昨日直接会ったものね」
「ああっ! プーちゃんだぁ〜!!」

 夢での再会。
 それは音子も、そしてプーも、共に折原浩平と別れた翌日の出来事だった。


 出会い頭でいきなりプーに抱き付こうとした音子だったが、その両手は虚し
く空を切っていた。
「ふふっ。ここは夢の中だから実際に身体に触れる事は出来ないの」
「なぁ〜んだ、残念」
 少し拗ねたような口調で、音子は抱き付けなかった事を悔しがった。
 プーが苦笑したのはそんな様子を見たせいもあったが、つい数日前に今と全
く同じ行動を取った少年の事を思い返していたからでもある。
「それとね、言葉は頭に思い浮かべるだけで……」
 そこでプーが言葉を切ると、不思議な事に今度は音子の頭の中に直接響くよ
うな声が聞こえて来た。
(ほら、こんな風に相手に伝えられるから声に出さなくても話せるわ)
(えっと……あ、ホントだぁ〜)
 そんな無邪気に喜ぶ音子の姿を見ていると、プーはまるで昔に帰ったような
懐かしさを覚えてしまう。
 かつてこの少女と過ごした日常の一コマが、そのまま切り取られてこの場所
に存在しているような感じさえしていた。
 そんな過去の想いに浸っていたプーだったが、やがて聞こえてきた音子の声
で、意識は現在へと引き戻されていた。
(でも、どうしてあたしの夢にプーちゃんが居るの?)
 音子が、この夢の事に疑問を抱くのも無理はなかった。
 これ程はっきり意識のある夢を見るのはおそらく初めてだろうし、それで戸
惑っているかも知れない。
 プーは音子の疑問、あるいは不安をひとつずつ取り除けるように、この夢で
伝えるべき想いを話す事にした。
(ここはね、わたしの夢の中なの)
(えっ?)
(わたし自身の夢に音子を呼んだのよ。だから現実の世界ではあなたのすぐ側
で眠っているわ)
(本当っ!? じゃあすぐ起きるっ!!)
 音子の言葉に、しかしプーは無言で首を横に振った。
(……わたしが目覚めようと思わなければ、現実に帰る事は出来ないの)
(そうなんだ……でも凄いよね〜プーちゃん、あたしを夢に呼ぶなんて。なん
でそんな事が出来るの?)
 しゅんとうなだれたと思ったら興味津々な表情になったり、実に様々な感情
を見せてくれる。浩平も同じ事を聞いてきたが、それとはまた異なる音子の気
持ちは自然とプーの微笑を誘う。
(わたしにもよく分からない……。ただ、お互いの絆が深い程にこういう事は
起こりやすいみたいね)
(絆? う〜ん、よく分からないけど……絆って家族のようなもの?)
(うん、そうかもしれない……)
 家族――本当に懐かしい言葉だった。
 思えば、どうしても飼えないと家族にやむなく捨てられた事により、浩平と
出会い、再びこの少女と巡り会えたのだ。
 そして今、一時的ではあるが本当の家族である音子のもとに帰ってこれた。
 一度結んだ絆というのは強まれば強まる程、たとえ離れても再び引き合うも
のなのだろうか? それならば……、
(だけどプーちゃん、今あたしの側に居るって言ったけど……浩平おにいちゃ
んの所に居るんじゃなかったの?)
 と、考えを巡らせようとしたプーの意識に音子の声が割り込んできた。
 それはあえて避けていた事だったのだが……音子と夢で出会いたいと望んだ
本当の理由は、浩平との間に起こった出来事を話す為だったので、たとえ躊躇
してもいずれは言わなければならなかった。
(もう、浩平の所へは戻らない。昨日――正確には今日の深夜だけど、お別れ
も済ませてきたの) 
(ええっ、どうしてっ!? ずっと預かるって、あたしと指切りして約束した
のにっ!)
 それは予想通りの反応だった。
 昨日浩平と別れたあの時と同じような感じで、まだ泣き出しはしなかったが
瞳には溢れそうなほどの涙を溜めていた。
(音子……落ち着いて聞いて。わたしは自分の『存在すべき場所』というもの
を見付けたの)
(ぐすっ……存在すべき……場所?)
 多少涙声の音子だったが、プーの諭すような優しい言葉が効いたのか冷静さ
を取り戻しつつあった。
(そう、わたしたち猫にとって一生をかけて探し求める場所。でもそれは浩平
の場所ではなかった)
(だから浩平おにいちゃんとさよならしたの?)
(ううん。さよならしたんだけど、わたしとまた会う為に浩平はその場所を探
し当ててしまったのよ。あなたとの約束を守る為にね)
(浩平おにいちゃんが……約束を守る為に……)
 途切れ途切れに、噛み締めながらプーの言葉を反芻する音子の表情は、色々
な感情が混ざり合っているように見えた。
 そして最後に残ったのは、多少照れたような微笑だった。
(そっかぁ〜。浩平おにいちゃん……そんなに約束の事、大切に思ってくれて
たんだ)
(だけどね、今浩平は約束を守れなかった事を凄く後悔してるわ)
(そうなの?)
(…………)
 不安そうな顔で尋ねてきた音子を見て、プーは言葉に詰まってしまう。
 それでも、理由はどうあれ結果的に自分が浩平のもとを去ったせいで約束が
破られてしまったのだから、その事はしっかり詫びるべきだと思った。
(……ええ。わたしの居場所が分かったとはいえ、結局は留める事が出来なか
ったから。ごめんね、わたしのせいで音子にも浩平にも辛い思いをさせてしま
って――)
(そんな事ないっ!)
 突然プーの声を遮って、音子の叫び声のような言葉が意識の中に飛んできた。
(プーちゃんは全然悪くないよっ!! だって……だって一番安らげる場所に
帰っただけでしょ? そんな事であたしも浩平おにいちゃんも、誰もプーちゃ
んを責めたりしないよ。昨日別れた時は辛かったけど、でもちゃんとした理由
があるんだって分かったから平気だよ。だから、自分が悪いだなんて思わない
で……)
 そんな風に、音子は肩で息をしながら一気に捲し立てた。
 離れてしまってもこんなに大切に思ってくれている――プーはこの時、音子
の気持ちを強く強く感じ取っていた。
(音子……ありがとう……)
 猫の姿で泣きはしなかったが、心の中はきっと涙でぐしゃぐしゃに濡れてい
るに違いない。音子の優しさが、プーとってそれ程までに嬉しかったのだ。
 そしてその優しさに応える為、一番言うべき事を今こそ伝える時だと思った。
(あのね、よく聞いて。わたしが夢の中で音子に会いたいと願った一番の理由
は……しばらく浩平の所へ行かないでほしいという事を言いたかったからなの)
(えっ、どうして……!? あたし、明日浩平おにいちゃんに会ってこの夢の
事を、プーちゃんの事を話そうと思ってたのに……)
 そう言った途端、やはり音子の顔はみるみる曇っていった。
 元々はプーに会う為、すぐにでも浩平の所に行きたいと思っていた事だろう。
 プーは思った。
 どうして、そんな音子の気持ちに歯止めを掛けるような事を言おうとしてい
るのか……。
(浩平は自分のせいだと気落ちしている。そしてわたしも会うのを躊躇ってい
る。今は気持ちがぎくしゃくしてるから、もう少し待ってほしいの。近いうち
に……そう、時が来ればきっと再び巡り会える日が訪れるわ。音子と、浩平と、
そしてわたしと……)
 その言葉こそがプーの気持ち、そして答え。
 確証なんて、どこにもありはしない。
 言葉にしたプーが一番よく分かっている事だった。
 だけど……そう、先程途切れてしまった考えを思い返していた。
 結ばれた強い絆によって、離れていても心が引き合うものならば……きっと
巡り会う時というものが存在するはずだ。
 それは今ではない。
 しかし、遠くない未来に起こり得ると、理由は分からないが何故かプーはそ
んな感じがしていた。
(今は、わたしを信じて欲しい……)
 口を挟まず黙って聞いていた音子に放ったその言葉で、プーは自分の言いた
かった事を全て伝える事が出来た。
 最後の言葉は、音子だけでなく自分自身に言い聞かせたものだったのかもし
れない。
 ――きっと三人が揃って顔を合わせられる日が来るって、わたしがわたしを
信じるんだ……と。
(…………)
(…………)
 一人と一匹の間に、しばしの沈黙が訪れた。
 どうすればいいのか迷っている様子の音子を、プーはじっと見ながら黙って
待つしかなかった。
 やがて俯いた顔を上げた音子と目が合う。
 その表情は気持ちの整理がついたであろう事を示していた。
 そして、ゆっくりと言葉が流れてくる。
(……うん、わかったよ。浩平おにいちゃんに会いに行くの、もう少し待って
みる。プーちゃんの事信じていいんだよね? きっとすぐに会えるよね?)
(ええ……ありがとう、音子)
 そう言って、プーは力強く頷いた。
(それとね、えっと……へへ、プーちゃんにお願いがあるんだけどぉ)
 ようやく音子の言葉を聞けてプーがホッとしたのも束の間、今度は少し遠慮
がちに、それでも甘えるような声で笑みを漏らしながら音子が何かを尋ねてき
た。
(何かしら?)
(浩平おにいちゃんに会えるまで、毎日プーちゃんと会いたいな)
(……ごめんなさい。わたしは自分の居場所を選んでしまったから、今はまだ
現実に音子と会う事は――)
(違う、違うよ〜)
(えっ?)
(プーちゃんと現実で会えないのは分かってる。あたしが言ったのはこの夢で
逢いたいなって事だよ。もしいつでもこんな不思議な事が出来るなら、毎日夢
の中でお話したいから……)
 音子の懇願するような表情を見て、プーはしばし迷ったが、やがて大きな深
呼吸をすると自分の出した答えをゆっくりと告げた。
(……わかったわ、音子。あなたが望むならばいつでも)
(ホント!? ありがと〜プーちゃん!)
 音子は喜びを満面に浮かべながら、抱き付けないと分かっていても思わず身
体を擦り寄せてきた。
 それはプーにとって悩んだ末の返答だった。
 きっと浩平は、プーの姿を求めてあの場所に毎日足を運ぶだろう。
 しかし音子と会う事になれば、しばらく浩平と顔を合わせる機会は無くなる
かもしれない。
 だが、たとえそれでもプーは待ちたかった。
 音子も含めて二人と一匹が一緒に巡り会える時を……。
 そして、その瞬間はきっとすぐ近くまでやって来ている……何故か強くそう
感じる自分の心を今は信じたかった。
(さあ、今夜はそろそろお別れの時みたいね)
 プーの言葉通り、周りの僅かな光と、それを覆わんばかりの闇が徐々にぼや
けてきた。同時に音子の意識も段々あやふやなものになって行く。
(なんだか、眠くなって……きちゃった……) 
 立っているのか座っているのか、あるいは横たわっているのか、もはや音子
には自分がどんな態勢でいるのかも分からない。
 ただ、空中を漂っているような心地よさだけが徐々に体内へ浸透してゆくよ
うだった。
(もうすぐわたしの夢が覚めるから。あとはゆっくりおやすみなさい)
(あ、そうなんだ……明日も……会えるよね?)
(ええ、もちろん。また明日ね)
(うん……おやすみ、プーちゃん)
(おやすみ、音子……)
 そんなプーの言葉を最後に聞いて、音子の意識はまるで雪に覆われたように
白く溶けて、深く静かな深淵へと向かって行った……。



 …………………………



「そっか、そんな事が……通りでいくら足を運んでも会えないわけだ」
 音子の話が終わると浩平は大きな息を吐き、そんな風に呟いた。
 他の誰かがこの事を聞いたら、おそらく一笑に付すだろう。それ程突拍子も
無く、また信じ難い内容だったのだから。
「あたしの話、信じてくれるの?」
 不安げな表情で音子が問い掛けてきた。きっと、気持ちは浩平と同じなのだ
ろう。
「言っただろ? 俺も音子と同じ夢でプーと会ったって。だからよーく分かる
んだよ、どんな感じだったのかって事がな」
「あ、そうだったね。よかったぁ」
(こいつは、本当に嬉しそうな顔をする……)
 浩平は、そんな思いで眩しそうに笑顔の音子を見ていた。
 安心させるはずで言葉を掛けたのに、逆に自分の方がその笑顔に元気を与え
られているようだった。
「なあ、それからプーは毎日会いに来たのか?」
「うんっ! 毎日毎日夢の中でお話したよ。でもね……昨日の夜に夢で会うの
はこれが最後よってプーちゃんに言われたんだ」
「へっ? 何でだ?」
「えっとね……たしか『時が来たのよ』って言ってたのかなぁ」
「時が……来た?」
「うん。それでね、わたしが何の事か聞こうとしたら今日浩平おにいちゃん会
えば分かるって……そう言ってプーちゃんすぐ消えちゃったんだよ」
「分かるって言われてもなぁ……俺にも何が何やらさっぱりだぞ」
 それから浩平は、腕を組んでうんうん唸り始めた。
 時が来た――それはさっきの音子の話から考えると、二人と一匹が一緒に再
会する日が来たと言う事なのだろうか。
「そういえばさ、音子は俺の家に来るつもりだったのに何でこんな所にいるん
だ?」
「う、うん……へへ、久し振りに浩平おにいちゃんと会えるんだと思うとちょ
っと緊張しちゃって、それで気が付いたらこの公園に足が向いてたの」
「そっか、気が付いたらこの場所に……俺と同じだな」
「……ね、浩平おにいちゃんはプーちゃんの居場所知ってるの?」
「ああ、でも最近は全然会えないな。まあ、その理由も音子の話を聞いて何と
なく分かったから……」
「その場所教えてっ!!」
 そう言い掛けて、不意に浩平は言葉を遮られた。
 音子がまるで何かに責め立てられているように、いきなり大声を上げつつ迫
ってきたのだ。
「ど、どうしたんだ? 急に」
「あの……あのね、あたしまたプーちゃんを飼える事になったの」
「えっ、今……何て言った?」
 一瞬、浩平は自分の耳を疑った。
 それは全く予期せぬ言葉だったからだ。
「引っ越したのは、お父さん仕事の都合で最初からちょっとの間だけだったん
だって。それでね、やっと戻れる事になったの。だからプーちゃんを迎えに行
きたい。捨てた事を謝って、今度はずっと一緒に暮らしたいから」
「そうか、そうだったのか……」
 浩平はもう一度、深い大きな息を吐き出した。
 わだかまっていたもの、気になっていたもの、それらの全てが体内から外へ
放り出されたような気分だった。
 プーが音子の夢で口にした『時が来た』とは、おそらく今日の事を言ってい
たのだろう。
 そして先程プーの居場所である空家で見たものは、紛れもなく音子の家族の
荷物だったのだ。
「さてと、そろそろ行こうか」
 浩平はそう言ってベンチから立ち上がり、音子に手を差し延べる。
「行くって……どこに?」
 その手を掴みながら、音子は不思議そうな表情で尋ねてきた。
「そんなの決まってる……」
 二人と一匹が結ばれた絆に導かれて一緒に再会する時だと、そう思った浩平
は、今度こそプーが居るのだと確信を持って答えた。
「もちろん、プーの存在すべき場所にさ!」
 そして二人は走り出す。
 かつてある一匹の猫と別れを告げた、この公園を後にして……。




 音子の手を引きながら速度を落としてゆっくり走る浩平は、初めてプーと出
会い、そして逃げられ追い掛けた時と同じ道を辿っていた。
 まるで過去を遡り、以前走り抜けた自分の背中を追っているような奇妙な感
覚だった。
 早歩きのような速度で走りながら、浩平はふと思う。
 プーは出会った時から……いや、捨てられた時から予感していたのかもしれ
ない。
 
 やむなく捨てられてしまう事も。
 やがて浩平に拾われる事も。
 夢の中で出会う事も。
 音子と再会する事も。
 自分の『存在すべき場所を』見付け、浩平と別れる事も。
 そして……時が来てまた巡り会える事も。

 捨てられ、拾われ、別れた……プーの心に、また出会えるという確信があっ
たからこそ、それらすべてを受け入れる事が出来たのではないだろうか。
 勝手な思い込みかもしれない。
 そんな考えは余りにも突飛すぎて、現実離れしたものだったから。
 だが、浩平はそれでもいいと思った。
 少なくとも自分の考えが誤ったものだとは、微塵も感じていない。
 答えはこれから向かう先にあるだろう。
 そう……きっとプーが待っているこの先に。


「プーちゃーーーーーん!!」
 家が間近に迫ると音子は大声を張り上げ、先に立って走り出した。
 浩平も、その後に続いて走った。
 その場所に居るという確証は全く無い。
 それでも浩平は信じて疑わなかった。
 過去の道を辿り行く先に、あいつの姿が在るという事を……。



「……よう、元気にしてたか?」



「にゃあ〜ん」



 その瞳は、昔から見続けてきた風景と全く同じものを映していた。
 この……存在すべき場所で。



                         『終わらない休日』了
 

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 どうも、こんにちは。

 『終わらない休日』これにて完結です。
 言いたい事は色々ありますが、それは刑事版の方に後記として書こうと思っ
ています。この後書きの最後にリンクを貼ったので、よろしければ辿ってみて
下さい。

 こちらに初投稿してから一ヶ月程で始めてしまった無謀とも言うべき連載で
したが、未熟な腕ながら完結させる事が出来たのは、この物語に少しでも目を
通して下さり、そして感想を寄せて下さったすべての方々のお陰です。
 本当にありがとうございましたm(_ _)m

 それでは、この辺で。
http://cgi-space.to/~sin/bbs4/gagaga/denju.html