風邪の日の憂鬱【前編】 投稿者: ひさ
「げほっ、げほっ、あ〜ちくしょう!」
二日前に風邪を引いてしまった浩平は、熱が下がらずにずっと部屋で寝込んでいた。
浩平にとって、40度近い高熱を出すなど生まれて此の方記憶に無い事で、
もちろんそんな状態で学校になど行けるはずもなく、少々暇を持て余していた。
「あ〜あ、暇だな。せめて熱さえ下がってくれればな……」
首をねじらせ枕元にある目覚まし時計を見ると、短針と長針が「12」の所でピッタリ重なっていた。
「もう昼か……」
昨日まで悩まされていた酷い頭痛は今朝起きたらすっかり良くなっており、少々身体がだるく何故か節々が
痛かったのだが、その程度なら今日はなんとか学校へ行けるんじゃないかとも思っていた。
しかし、無理やり登校しようとした浩平は玄関を出る寸前で幼馴染みに止められてしまった。
「ったく、大丈夫だって言ってんのに長森の奴……」
浩平は、そうぼやきながら今朝の幼馴染み――長森瑞佳とのやりとりを思い返していた……。



「あーっ!浩平、何やってるんだよっ!!」
「何って、学校行くに決まってんだろ」
瑞佳に見つかると絶対止められるだろうと思った浩平は、いつもより少し早めに登校しようと
準備していたが、熱でだるくふらふら状態の身体がまともに動いてくれる筈もなく、
結局玄関を出る直前で様子を見に来た瑞佳と鉢合わせてしまった。
「だめだよっ!まだ立ってるのもやっとじゃない!」
「だ、大丈夫……あれっ、なんか玄関の戸が斜めに歪んでるぞ。あとで直しにきてもらわなきゃな」
「はぁ〜。斜めになってるのは浩平の身体の方で、治さなきゃいけないのは浩平の風邪だよ」
今にも倒れそうで真っ直ぐに立っていられない浩平を見て、瑞佳は呆れと心配が
ない混ざったような深い溜息を吐いていた。
「とにかく今日はゆっくり休もうよ、ね。治りかけが一番大事なんだから」
「すまんっ、長森!今日だけは何としても学校に行かなきゃならないんだぁー!」
浩平は、半ば悲鳴のような声を上げて瑞佳を押し退け強行突破しようと試みた。しかし……、

ドサッ

「きゃっ!こ、浩平!!」
「あれ?おい長森、何でおまえ横になってんだ?」
「もうっ、浩平が倒れてるんだよ!だ、大丈夫なの?」
瑞佳は、しゃがみ込んでなんとか少しだけ倒れた浩平の上体を起こしながら心配そうに声を掛けた。
「なんか身体がものすごく重いなぁ」
「はぁ〜。だから今日は無理だって言ったんだよ」
「でも、どうしても今日だけは休みたくないんだ」
どうやら、風邪で重病の浩平をそこまで行かせたがる何かが今日の学校にあるようだ。
しかし瑞佳には、なんの事なのか皆目見当もつかなかった。
「……ねえ浩平、今日学校で何があるの?」
「それは……今日学校の昼……」
そこまで言った所で浩平の意識は深く沈んで行き、それが途切れる直前に
瑞佳が何かを言っているのが聞こえた……ような気がした。

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つっこみ瑞佳:まさかホントに風邪のSSを書いちゃうとは思わなかったよ。
「しかもえらい短いです(^^;)」
つっこみ瑞佳:だからね、なんでこの程度で前後編に分けちゃうの?
「まだ書けてないから」
つっこみ瑞佳:だったらとっとと書くんだもん!
「はぁ。後編書きあがった頃には風邪治ってるといいな……」
つっこみ瑞佳:はぁ〜。溜息吐きたいのはわたしの方なんだもん。絶対後編の方が長くなるよね。
「多分ね(^^;)。それでは!」
つっこみ瑞佳:はぁ〜……それじゃあまたね。