ドカーンーーーーーーーーーーー。
今時、三流小説でも使わないようなふざけた擬音に、
俺は叩き起こされた。
「んぁ、なんだぁ?!」
事態を確認すべく、ベッドから顔を起こすと、
木っ端微塵に砕け散った目覚まし時計が、転がっている。
「???」
状況がよくわからんので、必死に記憶を辿る。
・・・目覚ましの音が騒がしいので、止めようとしたんだよな。
だけど、ベッドから出るのが億劫で、毒々しい呪詛を呟いてたら、
爆発がして・・・
「浩平、起きてる〜?」
そんな事を考えてると、何時もの如く長森が迎えにやって来た。
相変わらず、貧乳である。
「ああっ、まだパジャマだよ。もう、相変わらずだなぁ」
「俺は貧乳も好きだぞ」
「はぁ?浩平、何言ってるの?。もしかして寝ぼけてる?」
思わず考えている事を口にしてしまった。イカンイカン。
大体、俺の考えている事は別にあるではないか。
「ああっ!」
「なんだ、うるさいやつだなぁ」
「だって、アレ・・・」
長森が指差した先には、昨日まで時計、今日はゴミ、無様に四散した物体が転がっていた。
「これ、どうしたの?びっくりだよ」
「なんかしらんが、爆発した」
芸術は爆発だ、と偉い人も言っている。
「嘘だ〜。いつもの冗談なんでしょ。もう、その手には乗らないよ」
「馬鹿、冗談で爆発までするかよ」
「う〜ん、そうだねぇ。おかしいねぇ・・・」
長森はちょっと困った様子だ。
実は俺は、長森を困らすのが大好きだったりする。
こいつは慌てふためくパターンが無数にあるので、見てて飽きない。
だから、いつも俺は隠れたりしてるわけだ。
「浩平、もしかして超能力に目覚めたとか?」
少し考え込んでいた長森は、突拍子もない事を言い出した。
考えすぎて頭のネジが吹っ飛んだのだろうか。
まぁ、面白いので調子を合わせてやるか。
「あぁ、どうもそうらしい」
「ええっ、ほんと?!」
目を白黒させる長森。
笑いを堪えつつ、さらに調子にのる俺。
「よし、じゃぁ、そこの電話を爆発させてやる」
「え?。も、もったいないよぉ〜」
「いいから、いいから。いくぞ・・・3、2、1」
「ひゃぁ〜〜」
くっくっくっ、驚かしがいのある奴。
俺って悪人だなぁ。
と、愉快な快楽に浸っていると、突然
ドカーンーーーーーーー
爆音が響き渡った。
「な、なんだぁ?」
視線をずらすと、部屋の隅にあった電話が
粉々に吹っ飛んでいる・・・
「そんな馬鹿な・・・」
「浩平、すごいねぇ。ほんとなんだねぇ」
今度は俺が、目を白黒する番だった。
反対に長森の奴は、すっかりぽよぽよと笑ってやがる。
笑ってる場合かぁ〜〜。
「・・・それは不可視の力・・・」
彼女は俺にそう告げた。