昼下がりの公園。誰いないと思いながらも、誰かがいるかもしれないと言う期待を胸に、つい足を運んでしまう。
「よう、月城」
誰もいないと思っていた公園。その公園の隅にあるベンチに月城が座っていた。
もっとも、何となくここに来れば、会えるような気はしていた。
「あ・・・、桑原君、こんにちは」
「何やってるんだ?」
「え?ひなたぼっこだけど・・・」
「はぁ・・、いい歳した、若者の台詞じゃないな・・・」
溜息をつきながら、俺はゆっくりと月城の隣に腰を下ろした。
「気持ちいいよ」
「そうかもな・・・」
別に用事があるわけでもない。たまには、こうやってぼーとするのも悪くない。
「あっ!」
「どうかしたか?」
不意に、月城が声をあげた。それと同時に、俺の肌に何かが、触れる。
「雨?」
「みたいだな・・・」
頭の上には、太陽が姿を見せている。それなのに、俺達の周りには雨が降っていた。
「狐の嫁入りだね」
「そうだな・・・」
雨の冷たさが気持ちよかった。確か、こんな状況を狐の嫁入りと聞いたことがある。
「良かった、これでちゃんと子供が増えるね」
なんか、嬉しそうに月城がはしゃいでいる。
「は?」
「え?だって、狐さん、この天気の時にしか結婚しないんでしょ?私最近、狐の嫁入り見たこと無かったから、心配してたんだよ」
「・・・・」
頭の中が、一瞬石化してしまった。もしかして、こいつは本当に、これが狐の嫁入りの合図だと信じているのか?
「な、なぁ月城?」
「え?」
「もしかして、お前、これが本当に狐の嫁入りの合図だと思っているのか?」
「え?違うの?じゃぁ・・・狸さん?」
「だぁぁっぁあ!!」
思わず、叫んでしまった。この場合、天然ですまされない何かがあるような気もするが、月城の大物ぶりには、呆れたものがある。
「違う!違うぞ!お前は間違っている!!」
「え?え?・・・本当?」
「はぁぁ・・・」
なんか、久しぶり会った月城は、やっぱり月城で、何も変わってないと言うことを実感できた。
しかし、こいつの天然ぶりは、相手を石化する力がありそうだ。
「そうだな、今度からお前に会うときは、鏡の盾を用意しよう」
「え?」
俺の言葉の意味が分からず、唖然とする月城。
「気にするな月城は、そのままで良いんだ・・・」
夏休みの間は、こっちにいる。月城はそう言っていた。時間はまだある。
その後、雨はやんで、またひなたぼっこを何となく続けた。
そして日が暮れて、楽しい時間は終わりを迎えた。
「じゃ、またな」
「うん、また」
次に会う約束を、する必要はない。何となく、また逢える気がする。
「本当に、鏡の盾が必要だな、心の中に・・・」
月城の天然のことを考えると、次は何をやらかすか楽しみで、何となく期待している自分がここにいた。
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こんばんは、パルという者です(^^;;
鈴うたSSを書いてしまいました(^^;;
一応、ネタバレにはなってないと思いますけど、かなり不安です(^^;;
蛍と祐児の、平穏な日常と言う感じのつもりですけどね(^^;;
これからも、ちょくちょく鈴うたSS書くかもしれません(^^;;
今回、感想は書けませんでした、申し訳ないです(^^;;
では、これで失礼します(^^;;http://www2u.biglobe.ne.jp/~palu2/