「そろそろ行くぞ」
いつもと同じように待ち合わせて街に遊びに行く。
うん
いつものように背中に抱きついていた澪は、元気良く返事して、オレの横に並ぶ。そして、当たり前のように腕を組んで歩き出す。
「今日は何処に行きたい?」
今日は澪の誕生日なので、澪の好きなところにつき合うつもりだった。
『カラオケなの』
スケッチブックには、あらかじめそう書いてあった。どうやら、最初から行くつもりだったみたいだ。
「カラオケって、澪歌えるのか?」
勿論、澪は歌えるはずがない。
『大丈夫なの』
次にページはそう書いてあった。どうやらオレの行動は予測されていたみたいだった。
「まぁ、お前がそう言うなら、カラオケに行こう」
うん
笑顔で頷いて、澪は嬉しそうだった。
「もしかして、カラオケ好きか?」
うん
大きく頷く。ここまで楽しそうにしているのを見ると、逆に澪がどんなふうにカラオケを楽しむのか興味が湧いてきた。
「さて、最初は何を歌おうかな・・・」
分厚いリストを見ながらオレは悩んでいた。その横で、澪は手慣れた手つきで次々と番号を入れていく。
「おい、大丈夫なのか?」
既に、5曲ほど入力してある。澪はマイクをぎゅっと握っていて、いかにも準備万全と言った感じだった。
『ちゃんと、聞くの』
曲が始まった直後にそう書いて、すぐに歌い始めた。
「・・・・」
それは、口をぱくぱくさせているだけの歌だった・・・。
でも、それは、ちゃんとした歌だった・・・。
澪は、身体全体で歌を歌っていた。
曲にあわせてリズムを取って、喜怒哀楽を表現して・・・。
そして、踊るように動きながら、一生懸命歌っている。
『一緒に歌うの』
1曲終わって、澪はオレにそう言ってきた。既に次の曲が始まろうとしている。
「この歌なら、・・・大丈夫だな。よし、一緒に歌うぞ!」
うん
部屋の中に響くのは、カラオケから流れる音楽とオレの歌声。それだけなのに、実際は、もう一つの歌が流れていた。
他人が見れば、変な光景かもしれない。でも、一生懸命歌っている澪は、凄く可愛かった。
「澪、歌上手いな」
素直な感想だった。
『そんなことないの』
少し照れながら、澪は答えた。
「よし、デュエットも挑戦するか?」
うん
一緒に、次の歌を歌い出す。こうして、澪のお祝いは、新しい魅力を発見するという特典がついてきた。
まだまだ、オレは澪のことで知らないことがあったみたいだ。これからも、二人で色々発見しあうのも悪くない気がする。
2時間後、オレ達は疲れ果てていた。
歌い続けてオレの喉はがらがらで、澪は動き疲れて、くたくただった。
「楽しかったか?」
うん
さすがに疲れたのか、元気が少し無かったけど、笑顔で返事をしてくれた。
「よし、また今度、みんなで来て歌おうな」
うん
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こんばんわ、パルという者です。2日続けての投稿になりました(^^;;
今回は、澪誕生日記念SSを書いてみました。
なんか、記念SSばかり書いているような気が・・・(^^;;
少しだけ感想
>うとんたさん みさきさんに捧げる替え歌
らしいと言えば、みさき先輩らしいかも。いかにも、食欲魔人のテーマみたいな感じでした。
>雀バル雀さん 幸せのお値段
みさき先輩、ナイスと思いました。浩平の不安な気持ち、見事に、和ませてますね。
いつかは、みさきと浩平で呼び合う・・・。そうですよね(^^
と、本当に少しで申し訳ないですけど、今回はここまでです(^^;;
それでは、この辺で失礼します(^^/~~http://www2u.biglobe.ne.jp/~palu2/