猫の名前 投稿者: パル
 「おーい!」
 今日は、瑞佳の家に久しぶりに遊びに来た。俺が、この世界に戻ってきてから、ここに来たことはなかった。
 「あ、浩平遅いよ!」
 「悪い、悪い」
 約束の時間は2時。今の時間は3時半。俺は、1時間半も俺は遅刻してしまった。まぁ、理由はあるんだけど・・・。
 「どうせ、寝坊してたんだもん!」
 瑞佳は、むっとしている。
 「おじゃまします」
 そんな瑞佳を無視して俺は家の中に入らせてもらった。
 「ちょっと、かってに部屋まで入らないでよ!」
 俺は、瑞佳の制止も気かずに、瑞佳の部屋に入る。
 「お前達も、元気そうだな」
 部屋の中には、猫達が幸せそうに寝ていた。
 「もう!浩平かってだよ!」
 「にー」
 瑞佳の声に、一匹の猫が反応した。
 「あれ?」
 よく見れば、新顔だ。数を数えると、9匹の猫が部屋の中にいた。
 「こいつは?」
 「え?えーと、猫だもん」
 瑞佳は、何かをごまかそうとしている。長いつきあいだ、この俺に隠し事が通じると思ったら間違いだ。
 「こいつが、ワンと言ったら、怒るぞ?」
 「わん」
 「お前が言ってどうする!」
 「だって、浩平が変なこと言うんだもん!」
 「にー」
 「・・・・」
 「・・・・」
 「なぁ、こいつの名前って?」
 「浩平だよ」
 「にー」
 観念したみたいで、瑞佳がそう言った。
 「はぁぁ、あのなぁ、俺の名前だけは、絶対に付ける名って、いつも言っていただろ?」
 「だって、寂しかったんだもん・・・」
 さすがに、この言葉に俺は何も言い返せなかった。瑞佳に、辛い思いをさせたのは、俺の責任だった。
 だから、この小さい猫の名前が、俺と一緒でも別にいいと、思う事にしよう。何となく、憎めない顔つきをしている。さすが、俺と同じ名前だ。
 「まぁ、そう言うわけなら仕方ない。同じ名前同士、仲良くしような」
 「にーー、にー」
 「違うよ、その子は、私の家の子だから、長森浩平だよ」
 瑞佳は、不満げに言う。きっと、隠しておきたいことを最初に見つけられたのが不満なんだろう。
 「・・・なら、俺も長森浩平になろうかな?何なら、お前が折原瑞佳になるという手もあるぞ」
 「え?」
 「まぁ、今すぐは無理かもしれないけどな」
 「え、え?それって?」
 「ほれ!」
 俺は、隠し持っていた包みを瑞佳に向けて投げた。
 「何?」
 「安物だけど、お前にやる」
 「指輪・・・」
 包みを開けて、瑞佳が呟いた。俺が朝から悩み抜いた末に選んだ物だった。
 「浩平!」
 瑞佳が、突然抱きついてきた。
 「さっきの台詞、私期待しても良いの?」
 「俺は、お前じゃないと駄目なんだよ」
 「私も・・・。私も浩平じゃないと駄目なんだもん」
 抱きついてきた瑞佳を、俺も抱きしめた。お互い強く抱きしめあった・・・。

 穏やかな日差しの中、また新しい約束を瑞佳と結んだ。そばにいた猫達がその証人だった。この時から数年後、この約束は現実のものとなり、俺達の新しい生活が始まった。

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 皆さんこんばんは。パルと言うものです。
 何となく、ラブラブな話が書きたくて、このようなものを書き上げてしまいました。一応、この話、サブタイトルが、あって「ちょっと早いプロポーズ」です。
 感想を書いて下さった方々、ありがとうございます。自分の感想は次の時に書きます。
 えーと、幸せのおとしごさん、はじめまして!これからも、よろしくお願いしますね。
 今日の所はこの辺で失礼します。ではまた・・・。