(これまでのお話)
ある日の午後、校舎に閉じこめられてしまった俺達。そして、俺の前に姿を現したみさおは、みさき先輩と七瀬を、どこかに消し去ってしまった。
「・・・・」
何故だろう・・・。みさおの事を、ほとんど忘れてしまっている自分に気づいた。一生懸命思いだそうとしても、ほとんど思い出せない。
「浩平?」
後ろから、声がした。
「茜か・・・」
「どうかしたのですか?」
「・・・、何でもない」
と言いかけて、俺はあることに気づいた。
「何でお前がここにいるんだ?」
確か、食堂で待機していたはずだ。
「澪と、繭が、いなくなりました」
「いなくなった?」
「私達が、目を離した隙に二人とも、食堂から出ていってしまいました」
「何だって!!」
「取り合えず、今私が探しています」
「長森は?」
「食堂です。少ししたら、交代するつもりです」
「・・・、俺が探すから、お前も食堂に戻っていろ」
「・・・嫌です」
「何で?」
「浩平一人では、頼りないからです」
「・・・」
「みゅーー!!」
その時、繭の悲鳴が聞こえた。
俺達は、声のした方へ駆け出した。
「大丈夫か!!」
俺達は、無事繭と合流できた。どうやら、廊下にある鏡に映った自分を見て、驚いたようだった。
「もう大丈夫です」
繭の頭をなでながら、茜が落ち着かせている。
「一体何があった?」
俺は、繭に尋ねたが、繭は混乱していて何も答えてくれない。
「とにかく、茜、繭を連れて食堂へ戻ってくれ」
「でも、まだ澪がいます」
「大丈夫・・・」
みさおの声。
「リボンのお姉ちゃんは、まだ消せない・・・」
みさおは、俺達の正面に姿を現した。
「誰です?」
「みさおだ・・・」
「みさお?」
「俺の、妹だ」
「???」
「三つ編みの、お姉ちゃん」
「私?」
茜は、不思議そうな顔をしている。
「そう。お姉ちゃんは、大切な人を失ったことがある?」
「・・・」
「小さいお姉ちゃん・・・」
「??」
繭は、恐る恐るみさおの方を見た。
「お姉ちゃんも、大切な友達を失ったんだよね・・・」
繭は、小さく頷いた。
「みさお?」
「お兄ちゃん、ここは、学校だけど、そうじゃないの・・・」
「どういう意味だ?」
「お兄ちゃんの、純粋すぎる思いが生んだ世界。その世界が、お兄ちゃんをもうすぐ、迎えに来る・・・」
「何を言っている?」
「私は、お兄ちゃんに消えて欲しくない。その原因は私にあるから・・・。だから、お兄ちゃんがどれだけ強くなったか、見せて欲しいの」
「何で、みんなをこんな所に閉じこめる?」
「ここは、私達が作り出した世界。仮初めの世界なの・・・」
「仮初めの世界?」
「学校という、色々な人達の思いの集まる場所の力を借りて、作り出した、仮初めの世界」
「みさおは、何がやりたい?」
「まだ秘密・・・」
みさおは、小さく笑った。
「お姉ちゃん達は、悲しくなかった?」
「私は、まだ諦めていませんから・・・」
「みゅー」
繭は、目に涙を浮かべている。
「お兄ちゃんも、悲しかったんだよね」
「・・・あぁ」
だったと思う。みさおがいなくなって、いつも泣いていた自分がいた。でも、悲しかったこと、辛かったことを、忘れている。
「やっぱり、忘れてる・・・」
みさおは、その事を知っているようだった。
「私、ずっとお兄ちゃんのこと見てから・・・」
みさおは、涙を流している。泣いていた・・・。
「大丈夫、もうすぐ、全部思い出してくれるから・・・。そう信じてるから・・・」
「みさお?」
「そのためにも、お姉ちゃん達に、消えてもらいます・・・」
「待て!!」
俺は、みさおに近づこうとしたが、どうやら遅かった。
「あと二人・・・」
みさおは、小さく呟くと、その姿を消した。それと同時に、茜と繭の姿も消えていた。
「みんな、俺を残して消えていく・・・」
俺は、悲しかった。あの時と、同じぐらい悲しかった・・・。
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皆さんこんばんは。やっと半分です。一応、年内に終わらせるつもりです。よろしければ、最後までつき合って下さい。
いつも感想を書いて下さる方々、大変ありがとうございます。少しですけど、自分も感想を書きます。
>いけだもの様 頼りになります! 折原浩平 2
感想ありがとうございます。それにしても、恐るべし、マイペースな椎子。今回も、相手の方が一枚上手という所でしょうか?しかし、一週間椎子の学校に通った茜も、ただ者ではないですね。
あと、つっこみ茜ちゃんの出番がなかったですね。次回に期待します。
>文月 ゆう様 Mix
二人らしいやりとりですね。でも、不可視の力に目覚める浩平・・・。なんだか、怖いです。
>えいり様 かけがえのない日常
茜の、言うところのあいつですか?彼も、戻ってきたんですね。
同じ所から戻ってきた者同士、仲良くなったようですね。お互い幸せ者同士、楽しく過ごせるといいですね。
>まねき猫様 もっかい感想です。ごめんなさい
感想ありがとうございます。頑張って次の作品を作って下さい。
>将木我流様 感想SS番外編『感想はあるよ』編
感想ありがとうございます。年末の、忙しいときに、わざわざありがとうございます。
ドリームキャストか・・・、自分も欲しいけどまだやりたいソフトがないからな・・・。
ごめんなさい。今回も、ここまでです。書ききれなかった方々には、深くお詫びいたします。それでは、また。