永遠への誘い −その4− 投稿者:  パル
 (これまでのお話)
 ある日の午後、校舎に閉じこめられてしまった俺達。そして、俺の前に姿を現したみさおは、みさき先輩と七瀬を、どこかに消し去ってしまった。

 「・・・・」
 何故だろう・・・。みさおの事を、ほとんど忘れてしまっている自分に気づいた。一生懸命思いだそうとしても、ほとんど思い出せない。
 「浩平?」
 後ろから、声がした。
 「茜か・・・」
 「どうかしたのですか?」
 「・・・、何でもない」
 と言いかけて、俺はあることに気づいた。
 「何でお前がここにいるんだ?」
 確か、食堂で待機していたはずだ。
 「澪と、繭が、いなくなりました」
 「いなくなった?」
 「私達が、目を離した隙に二人とも、食堂から出ていってしまいました」
 「何だって!!」
 「取り合えず、今私が探しています」
 「長森は?」
 「食堂です。少ししたら、交代するつもりです」
 「・・・、俺が探すから、お前も食堂に戻っていろ」
 「・・・嫌です」
 「何で?」
 「浩平一人では、頼りないからです」
 「・・・」
 「みゅーー!!」
 その時、繭の悲鳴が聞こえた。
 俺達は、声のした方へ駆け出した。
 「大丈夫か!!」
 俺達は、無事繭と合流できた。どうやら、廊下にある鏡に映った自分を見て、驚いたようだった。
 「もう大丈夫です」
 繭の頭をなでながら、茜が落ち着かせている。
 「一体何があった?」
 俺は、繭に尋ねたが、繭は混乱していて何も答えてくれない。
 「とにかく、茜、繭を連れて食堂へ戻ってくれ」
 「でも、まだ澪がいます」
 「大丈夫・・・」
 みさおの声。
 「リボンのお姉ちゃんは、まだ消せない・・・」
 みさおは、俺達の正面に姿を現した。
 「誰です?」
 「みさおだ・・・」
 「みさお?」
 「俺の、妹だ」
 「???」
 「三つ編みの、お姉ちゃん」
 「私?」
 茜は、不思議そうな顔をしている。
 「そう。お姉ちゃんは、大切な人を失ったことがある?」
 「・・・」
 「小さいお姉ちゃん・・・」
 「??」
 繭は、恐る恐るみさおの方を見た。
 「お姉ちゃんも、大切な友達を失ったんだよね・・・」
 繭は、小さく頷いた。
 「みさお?」
 「お兄ちゃん、ここは、学校だけど、そうじゃないの・・・」
 「どういう意味だ?」
 「お兄ちゃんの、純粋すぎる思いが生んだ世界。その世界が、お兄ちゃんをもうすぐ、迎えに来る・・・」
 「何を言っている?」
 「私は、お兄ちゃんに消えて欲しくない。その原因は私にあるから・・・。だから、お兄ちゃんがどれだけ強くなったか、見せて欲しいの」
 「何で、みんなをこんな所に閉じこめる?」
 「ここは、私達が作り出した世界。仮初めの世界なの・・・」
 「仮初めの世界?」
 「学校という、色々な人達の思いの集まる場所の力を借りて、作り出した、仮初めの世界」
 「みさおは、何がやりたい?」
 「まだ秘密・・・」
 みさおは、小さく笑った。
 「お姉ちゃん達は、悲しくなかった?」
 「私は、まだ諦めていませんから・・・」
 「みゅー」
 繭は、目に涙を浮かべている。
 「お兄ちゃんも、悲しかったんだよね」
 「・・・あぁ」
 だったと思う。みさおがいなくなって、いつも泣いていた自分がいた。でも、悲しかったこと、辛かったことを、忘れている。
 「やっぱり、忘れてる・・・」
 みさおは、その事を知っているようだった。
 「私、ずっとお兄ちゃんのこと見てから・・・」
 みさおは、涙を流している。泣いていた・・・。
 「大丈夫、もうすぐ、全部思い出してくれるから・・・。そう信じてるから・・・」
 「みさお?」
 「そのためにも、お姉ちゃん達に、消えてもらいます・・・」
 「待て!!」
 俺は、みさおに近づこうとしたが、どうやら遅かった。
 「あと二人・・・」
 みさおは、小さく呟くと、その姿を消した。それと同時に、茜と繭の姿も消えていた。
 「みんな、俺を残して消えていく・・・」
 俺は、悲しかった。あの時と、同じぐらい悲しかった・・・。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 皆さんこんばんは。やっと半分です。一応、年内に終わらせるつもりです。よろしければ、最後までつき合って下さい。
 いつも感想を書いて下さる方々、大変ありがとうございます。少しですけど、自分も感想を書きます。

 >いけだもの様 頼りになります! 折原浩平 2
 感想ありがとうございます。それにしても、恐るべし、マイペースな椎子。今回も、相手の方が一枚上手という所でしょうか?しかし、一週間椎子の学校に通った茜も、ただ者ではないですね。
 あと、つっこみ茜ちゃんの出番がなかったですね。次回に期待します。

 >文月 ゆう様 Mix
 二人らしいやりとりですね。でも、不可視の力に目覚める浩平・・・。なんだか、怖いです。

 >えいり様 かけがえのない日常
 茜の、言うところのあいつですか?彼も、戻ってきたんですね。
 同じ所から戻ってきた者同士、仲良くなったようですね。お互い幸せ者同士、楽しく過ごせるといいですね。

 >まねき猫様 もっかい感想です。ごめんなさい
 感想ありがとうございます。頑張って次の作品を作って下さい。

 >将木我流様 感想SS番外編『感想はあるよ』編
 感想ありがとうございます。年末の、忙しいときに、わざわざありがとうございます。
 ドリームキャストか・・・、自分も欲しいけどまだやりたいソフトがないからな・・・。

 ごめんなさい。今回も、ここまでです。書ききれなかった方々には、深くお詫びいたします。それでは、また。