第三話 −運命の出会い−
(前回までのあらすじ)
ある日の放課後、俺達は学校に閉じこめられてしまった。そして謎の声を調べるために、放送室へと向かった俺とみさき先輩。だが、その謎の声の主によって、みさき先輩は消えてしまった。
「みさき先輩!!」
俺は、辺りを必死になって探した。その途中、放送室を見つけたので中を調べてみたが、やはり誰もいなかった。
「一体、何が起きているんだ・・・」
俺は、少し考えてみた。
「・・・」
しかし、気が動転しているので、考えがまとまらない。
「あいつらは、無事なのか・・・?」
みさき先輩のことも気になるが、食堂に残してきた連中も気になる。俺は、仕方なくいったん食堂へと戻ることにした。
「みんな無事か!!」
息を切らしながら、食堂へ来た俺を見て、長森と茜は驚いたようだった。二人とも繭と、澪の相手をしていたようだった。
「・・・?」
しかし、その中に七瀬の姿がなかった。
「七瀬は?」
俺の言葉に、長森と茜が、怪訝そうな顔になった。
「浩平が、呼んだんじゃないの?」
「はぁ?」
「さっき、放送で、七瀬さんを呼びました」
「俺がか?」
「浩平の声でした」
「・・・」
勿論、そんな事はしていない。
「用事というのは、この事なのか・・・?」
「何のことです?」
俺の独り言が聞こえたみたいで、茜が聞いてくる。
「実はだな・・・」
俺は、二人にみさき先輩のことを話した。
「先輩は、消える前に、用事は済みましたか?と、そいつに聞いたんだ」
「じゃぁ、その子の目的は、私達を一人ずつ消すことなの?」
「解らない・・・」
長森の憶測は正解のような気がする。でも、それだけではない何かを感じた。
「とにかく、七瀬を探してくる」
「気をつけて下さい」
「気をつけてね」
俺は、再び食堂を出て、今度は七瀬を探した。
「遅い!!」
教室で見つけた七瀬は、怒っていた。
「人を呼びだしておいて、待たせるなんて!!」
「ちょっと待て、俺はお前を呼び出したりはしてないぞ」
「嘘!さっき、放送で私に教室まで来いって、確かに言ったわよ!」
「違うよ・・・」
「!!」
「!!」
俺達の背後で、小さな声が聞こえた。
「お姉ちゃんを呼んだのは、私・・・」
今度は、体が動く。だから振り返って声の主を見た。
「・・・・」
そこには、小さな女の子がいた。少し空中に浮かんでいる。幽霊という言葉が、頭の中に浮かんだ。
「あんたが、私達を、閉じこめてるの!!」
七瀬は、怒鳴っている。どうやら恐怖を隠すために、怒りのテンションを維持しているのだろう。
(でも、こいつが目指す、世間一般で言う乙女なら、『浩平君怖い』とか言って、腕にしがみついてくるもだと思う。もっとも、こいつがそれをやって来たら、こっちの方が本気で怖いかもしれない)
「君は、一体誰なんだ?」
俺は、そう聞いてみた。
「・・・」
その子は、とても悲しい顔をした。俺は、この子のことを知っている。とても大切で、とても悲しくて、絶対に忘れてはいけないことなのに、忘れてしまったこと・・・。
「運命を、お姉ちゃんは信じる?」
その子は、七瀬に話し掛けた。
「運命?」
「そう。例えば、登校中見知らぬ子と衝突する。そしてその後、実はその子が転校生だと知る」
「なんか、身に覚えのある様な話ね」
「そして、その子と席が近くになり、次第に仲良くなる・・・」
「でも、私の場合は、相手はどうしようもない奴で、けが人を見捨てるような奴よ!おまけに幼なじみに、面倒を見てもらってばかりのどーしようも無いお気楽な奴よ!」
「悪かったな!!」
「でも、そう思わなかった人がいる・・・」
「??」
「これは、運命の出会いだと、自分に言い聞かせてしまい、心のバランスを崩した人がいるの・・・」
何のことを言っているのだろう。俺には解らなかった。七瀬も同じ用だった。
「今まで続いてきた時間が、ここで変わり始めたの・・・」
女の子は、七瀬に近づいた。
「お姉ちゃん。悪いけど、少しの間、消えてもらいます!!」
七瀬は、何かを言いかけたが、俺の見ている前で消えてしまった。
「また後であいましょ・・・お兄ちゃん」
「待てっくれ、みさお!!」
そう、みさおだ。ここにいるこの女の子は、俺の妹だったみさおに間違いない。
だが、その子は何も言わずに、俺の前から消えてしまった・・・。
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皆さん、こんばんは。感想を書いて下さった方々、本当にありがとうございます。今回は、自分も少し感想を書いてみました。
Mr.C−Man様>聖夜の舞台
どうも、始めまして。また書くかもしれないと言わずに、ぜひ書いて下さい。
ずいぶん乙女チックな七瀬ですね。ずいぶん王子様にこだわってるし、でも、七瀬らしいと思いました。
変身動物ポン太様>粉雪の舞う舞台で・・・(2)
あれだけしか出番の無かった深山先輩で、これだけのドラマを作るとは凄いです。(個人的にはもっと、プロフェッサー雪ちゃんの活躍を期待します)
後半部分、雪のように白くを聞きながら、読みました。goodでした。
しーどりーふ様>優しい雨の降る夜に
うーん、華穂さんも、いろいろ悩んでいるんだなーと言うことを感じました。 繭のことを思い、悩んでいる姿が切なかったです。
ばやん様>『かせぐの』仮名−1−
ぜひ、お話を続けて下さい。
BS2の報告。自分は、こう言ったイベントには行ったことがありません。でも、臭いで同類を見つける事は何となく出来ます。それは、仕事中、お客さんを見て、何となく同類と思うことは結構ありますし、結構当たります。
藤井勇気様>お気楽劇場わんとむーん
まず始めに、遅れながら、華穂さん公認おめでとうございます。
話の中の、外道な浩平が好きです。それと七瀬の過去も・・・。
それに、感想ありがとうございます。今後の話は、予想と少し違います。(多分)
大変申し訳ありませんが、今回はここまでです。ごめんなさい。
それではまた・・・。