第二話 −消えた先輩−
(前回のあらすじ)
ある日の放課後、俺は何故か学校から出られなくなっていた。色々試して途方に暮れていると、同じように出られなくなっていた、長森、七瀬、茜、澪、繭と出会った。そしてその後、放送で食堂に集めるように言われ、俺達はそこに向かった。
「先輩も出られないのか?」
食堂に先に来ていた先輩は、俺の声を聞いてにっこりと笑った。
「浩平君だったんだ」
「何が?」
「今は、まだ秘密だよ・・・。それより、浩平君一人だけ?」
その言葉に、俺と澪以外は、一瞬不思議そうな顔をした。まぁ、知らない人が聞けば、変な会話なのかもしれない。そこで俺は、簡単に先輩のことをみんなに紹介した。
「ここにいるのは、川名 みさき先輩といって、俺達の先輩だ。わけあって、目が見えない」
「えーと・・・」
長森は、少し困ったようにいる。どうやって、対応していいのかよく解らないようだった。
「普通でいいと思うよ。ねぇ、浩平君、みんなのこと、私に紹介してくれないかな」
「そうだな」
俺は、先輩のために、みんなのことを簡単に紹介した。現在この場所にいるのは7人。よく考えてみると、全員俺の知り合いだった。
「ねぇ浩平君」
「何だ先輩?」
「これからどうするつもり?」
「それを、今から話し合おうと思っていた所だ」
「だったら、放送室を、調べない?」
先輩の話だと、ここに俺達を集めた声、それを調べたいと言うことだった。
「なら、俺が行って来よう」
「場所、知ってるの?」
「・・・そう言えば、知らない」
普段縁のない場所だ。何となくなら知っているが、考えてみると良く知らなかった。
「私も一緒に行くよ」
「でも先輩?」
「大丈夫、この学校の中なら、多分ここにいるみんなより私の方が詳しいと思うよ。何となくだけどね」
確かに、先輩の言う通りかもしれない。
「七瀬!」
「何よ!!」
「俺とみさき先輩とで、今から放送室を調べてくる」
「大丈夫なの?」
長森が心配してくれている。
「まぁ、少し調べるだけだから大丈夫だろう。それより七瀬、その間、こいつらの面倒を頼むぞ」
「何で、私なの!!」
「お前なら、素手で熊でも倒せるだろう!」
「馬鹿なこと言わないで!!」
「その元気があれば大丈夫だろう。とにかく、言って来る」
俺は、先輩と一緒に食堂を出た。出る間際に、
「七瀬さんって、あんな人だったんだ・・・」
そう呟く茜の声が聞こえた。あいつも、七瀬の猫かぶりに今まで騙されていたようだった。
「乙女への道は、遠く険しいか・・・」
俺は、そんなことを考えながら、先輩の後について放送室を目指した。
「なぁ、先輩?」
「何?」
「先輩は、平気なのか?」
「???」
ハッキリ言って、夜の校舎は不気味だった。澪と来たときは、あいつが怖がっていたので、こちらに余裕があったが、先輩は全く気にせず歩いている。
「大丈夫だよ」
どうやら、俺の言いたかったことを理解してくれたようだった。
「だって、私が見る景色はいつも暗闇だから、怖くなんか無いよ」
「・・・」
一瞬言葉に詰まる回答だった。
「それに、悪い子じゃないから」
「何が?」
「私達を、ここに閉じこめた相手」
「知っているのか?」
「浩平君達が来るまでの間、私とお喋りしてたよ」
「何が目的なんだ?」
「私の口からは、それは言えないよ。約束したから・・・」
「でも!」
「あのね、今ここにいる人達は、誰を中心にしているか解る?」
「・・・、全員、俺の知り合いだ」
「うん。だから、浩平君が頑張らないといけないんだよ」
「何で?」
「それが私の目的だから・・・」
突然後ろで声がした。さっきスピーカから聞こえた声。
「誰だ!」
俺はとっさに振り向こうとしたが、
「か、体が動かない!!」
これが有名な金縛りというものだろうか。
「用事は済んだの?」
先輩は、声の主に近づいているようだった。
「うん」
「じゃぁ、あなたも頑張ってね」
「ありがとうお姉ちゃん。そして、さようなら・・・」
「???」
その言葉に、俺は何か怖い物を感じた。
「みさき先輩?」
「・・・・」
返事はない。
「先輩!!」
次の瞬間、体が動いた。俺は、とっさに振り向いたが、そこに先輩の姿はなかった・・・。
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皆さんこんばんは。第二話をやっと書き上げることが出来ました。本当なら、次の日に書き込もうと思っていたんですが、某勇者物の出ているゲームをやっていたら、書き込む時間が無くなってしまいました・・・。
いつも感想を書いて下さっている皆様、ありがとうございます。毎回、感謝の言葉だけですいません。今書いている話は、全部で8話になる予定です。後、6話、気が向いたらつき合って下さい。