「何かあったんですか?」
教室の中に、不穏な空気が流れている。男子生徒の間に、何か緊張感が、満ちていた。
「茜か・・・」
そして、何故か浩平は疲れているようだった。
「ふぅ・・・」
「どうしたの?」
「いやな、長森の持っているミニアルバムのことで、彼奴らが騒いでいるだけだ」
そう言って、住井君達の方を指さした。
「ミニアルバム?」
「そう。長森の奴が朝から大事に持っているものだ。その中の写真が何かで、騒いでるんだ」
「何が写っているんですか?」
「・・・、俺の口からは、言えない・・・。」
「何故です?」
「それは・・・うっ!!」
浩平が、何かを言いかけたとき、その背後に突然長森さんが表れた。
「・・・」
無言で、浩平の後ろに立つ長森さん。
「お、俺はないも言ってないぞ・・・」
「・・・」
「悪い、茜、また後でな・・・」
そう言うと、浩平は逃げるように教室から出ていってしまった。
「・・・」
すると、長森さんは無言で席に戻っていった。あの浩平が、長森さんのことを恐れてるような気がした。一体何があるんだろう・・・?私も少し気になりました。
そして昼休み。お弁当を食べ終えて、何をしようかなと考えていると、廊下に珍しい顔があるのに気づいた。そこには、澪がいて、誰かを捜しているようだった。
『こんにちわなの』
「こんにちは。今日はどうしたの?」
『写真、見るの』
「写真?」
すると、教室から長森さんが出てきた。
「澪ちゃん、こんにちわ」
長森さんは、澪を連れて、教室から出ていった。
「今回の犠牲者は、澪か・・・」
「あれ浩平?」
「気になるのか?」
「少しだけ・・・」
「あのアルバムは、恐怖のアルバムなんだ・・・。俺が、あのアルバムを見せられて、ろくな目にあったことがない。昔からそうなんだ・・・」
「何が写っているんです?」
「それは・・・」
「浩平も一緒に見る?」
いつの間にか、長森さんと澪が、私達の前に立っていた。
「いつの間に!!」
浩平が慌てている。そんなに恐ろしいアルバムなのでしょうか。
「里村さんも、一緒に見よ」
「いいんですか?」
「うん。浩平も、一緒に見るよね」
「あぁ」
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
それから、昼休みが終わるまでの間、アルバムの写真を見せてもらった。澪はとても楽しそうだった。私も、結構楽しかったかもしれない。そこには、猫が写っていた。
それは、長森さんの自慢の猫達で、彼女は、とても嬉しそうに、写真を見せてくれた。ただ、その中に、小さい浩平が、結構間抜けな格好をして写っていた。
「これは、浩平が、髭をひっぱたから、思いっ切り引っかかれたときの写真」
そこには、顔中を血塗れにしている浩平が写っていた。
「これは、浩平が、猫を追いかけて、木から降りれなくなったときの写真」
そこには、木の上で泣いている浩平が写っていた。
「・・・」
浩平は、とてもいやそうな顔をしている。確かに、自分の恥ずかしい写真がこれだけあると、嫌かもしれない。
でも、私は私の知らない浩平の事を、少し見たような気がして嬉しかった反面、何となく長森さんのことを羨ましいと思っていた。
そして放課後、再び、先程のメンバーで、アルバムを見せてもらっている。浩平が、恐れていた理由が少し解ったような気がしました。
「まだ、続くんですか?」
「こうなった、長森は、長いんだ・・・」
浩平は、もう諦めているようだった。延々と、写真を見せてもらっている。
「よっぽど、猫好きなんですね・・・・」
こうして、長森さんの猫自慢は、下校時間のチャイムが鳴るまで続きました。
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再び、瑞佳の猫ネタで,SSを作ってみました。
あと、感想を書いて下さった皆様、ありがとうございます。本当にお礼しか言っていないけど、とても嬉しいです。
最近、地下街で働いているので、今日みたいな晴れた日は、太陽の光が眩しくて辛いです・・・。それでは皆様、さようなら。