授業が終わって、いつものように私のお気に入りの場所に行く。
真っ黒な私のスクリーンに、綺麗な夕焼けを思い浮かべて、屋上に立っていると、誰かが屋上にやってきた。
「みさき先輩!!」
「この声は浩平君だね」
「おう。それに、澪もいるぞ」
「澪ちゃん?」
この澪ちゃんという子は、最近知り合った子だった。もっとも浩平君も最近知り合った子だが澪ちゃんに関しては謎がある。
澪ちゃんは、どうやら言葉が話せないらしい。だから、スケッチブックに言葉を書いて思いを伝えている様だった。でも、それだと私には解らない。だから、何とかしてお喋りがしたい相手だった。
「先輩、少しつきあってくれないか?」
「いいよ。どこかにいくの?」
「まぁ、少し寒いけど、ここでいいかな。実は先輩、ここにいる澪に相談されて、少し考えたことがあるんだ」
「何?」
「まぁ、澪が、一度先輩とお喋りしたいっていうんだ。で、その方法を色々考えたんだが、試してもいいか?」
「・・・いいよ」
どうやら、澪ちゃんも私と同じ事を思っていたらしい。でも、浩平君が考えた方法って何だろう。
「ちょっと、ごめんな」
そう言いながら、私の手を誰かが触ってきた。大きな手だった。だから多分浩平君だろう。
「澪、お前もこっちに来い」
少し間が合ってから、別の手が私の手に触れてきた。浩平君の手が放れて、小さなその手と握手をする形になった。
「みさき先輩。握手も立派な挨拶だと思う。今先輩と、握手をしているのが澪だ」
小さな手。確かに女の子の手だった。ぎゅっと、その手に力が入る。私は、この時始めて澪という子の自分の感覚だけで確かめることができた。
「でだ、もう一つ、試してもいいか?」
握手した手が縦に揺れる。きっと澪ちゃんが、頷いているんだと思う。
「いいよ」
私も、賛成した。すると、浩平君は私の手を持ち上げて、あるものの上に置いた。
「少し我慢しろよ」
声の方角から、澪ちゃんに向かっていっているようだった。私の手が触れているもの、さらさらした感触。
「ねぇ、これって、澪ちゃんの頭?」
うんうん
私の手を通じて、彼女が頷いているのが伝わってくる。
「リボンをしているの」
うん
「これからもよろしくね」
うん
最後のうんは、凄く力強かった。
手のある位置から、澪ちゃんという子の、身長がだいたい伝わってくる。結構背の低い子だと思う。少しの間色々質問したけど、凄く真剣に答えてくれた。うんと、ううん。はいと、いいえだけの返事だったけど、その力加減から、感情が伝わってきた。この子も、色々辛いことがあるけど、一生懸命頑張っている。そう言った思いが伝わってくる。私も、諦めないで良かった・・・。本当にそう感じた。
「浩平君、ありがとう」
一つしたの、少し頼りなさそうな子だけど、この人と出会えて、私は幸せだなと、思った。
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取り合えず、2つめのSSです。今回は、みさき先輩と澪の話です。どうでしたか?
皆様から、色々感想を頂き、もの凄く嬉しかったです。こちらも、感想を書きたいのですが、そう言ったのがハッキリ言うともの凄く苦手なんです。ですから、もう少し時間を下さい。もう少しなれたら、色々書いていこうと思っています。ではまた・・・