【99】 浩平の人生で一番長い日(後編) |
<前編のあらすじ> エイプリルフールからしばらく経ったある日の事…下校しようとした浩平をヒロイン達が急襲! その理由はエイプリル当日にこのSSのヒロイン−深山雪見が親友の川名みさきに言った嘘… 「私と“浩平”はずっと前から付き合ってるのよ!」 …この一言が他のヒロイン達の嫉妬心に火をつけた! そして浩平と雪見は手と手を取り合って逃亡(違う)…追うヒロインズ! 逃亡の最中…浩平は雪見に惹かれていく自分に気づくのだった…(だから違うって) そしてついに演劇部室に追い込まれてしまう二人…さあどうなる!? 後編はその続きです〜 ----------------------- 折原浩平と深山雪見は演劇部室で、里村茜・柚木詩子・上月澪に包囲されていた。 (ちっ…オレだけなら脱出は可能だけど今は深山先輩が居るからな。…何とか説得して…) そう思って前に立つ3人を見る浩平。 「…浩平は私と絆を作るんです」(グオオオオ←背後に闘気) 「アタシは茜の味方だよっ♪」 『折原先輩は澪の物澪の物澪の物…』(メラメラメラ←背後に炎) (だ、駄目だ…説得が効くような状況じゃない…(滝汗)) そう思って絶望の表情をする浩平…そんな彼に雪見が視線を向けます。 (ここは私に任せて…折原君) (た、頼みますよ深山先輩) 二人のアイコンタクトも終わり…ずいっと雪見が前に出ます。 さすがの3人もちょっと怯んだようです。 そして…雪見は言葉を発した! 「折原君は…いえ『浩平』は私の物よっ!」 「張り合うなあああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!!」 …浩平が絶叫してます…当然ですな。 「ついノリで言っちゃったわ」 そう言って照れ笑いする雪見。 (こ、これは…結構可愛いかも…) その笑みに浩平がちょっと引き込まれたのは…まあ置いといて。 と、何故か澪ががっくりとうなだれている様です…どうしたんでしょう? 『折原先輩を“名前”で呼べるなんて…負けたの』 …そう言う事かいっ! しかしながらその程度では引き下がらないヒロインも居る訳で。 「…私はまだ負けてません」 そう言って茜が前に出てきます。 確かに茜さんも浩平の事呼び捨てにしてるわけですから…負けてはいないんでしょうけど… でも茜以上に暴走している雪見も負けてはいません。(おい) 「甘いわっ!私と浩平はおはようのキスを毎日してるのよっ!」 ぐわっしゃーーーーーーん! 「いつそんな事したんですかオレ達っ!」 思わず仰け反ってそう言う浩平。…が、ショックを受けている茜には聞こえていないようだ。 「…ううっ…まだ、まだです」 「あ、茜…しっかりして!」 そして詩子に支えられながらもまだ何とか立っている茜…だが雪見の止めを刺すような一撃が! 「それに口移しの朝食だって毎朝してるのよっ!」 どがああああーーーーん! それは正に精神破壊攻撃…茜はゆっくりと崩れ落ちた。 「ま…負けました」がくっ 「茜ーーーーーーーっ!!??しっかりしてーーーーーーーっ!!!」 「今よ浩平!逃げるのよっ!」 「あ、ああ…」 ちゃっかり呼び捨てにしてる雪見と共に浩平は演劇部室を脱出したのだった… ----------------------- 「はあはあはあ…ここまで来れば大丈夫ね」 「ぜえぜえぜえ…そうですか」 夕暮れ近い屋上…浩平と雪見はここまで逃げてきたようです。 一息ついた時…浩平が雪見に言います。 「深山先輩…一つ聞いて良いですか?」 「うーん…雪見って読んでくれたら聞いても良いわよ♪」 「ええっ!?」 「冗談よ」 イタズラっぽくそう言う雪見に…浩平は改めてこう思うのだった。 (深山先輩って…こんなに可愛かったっけ?) それはそうと…浩平がさっきの質問をしようと口を開きかけた時… 「浩平君…雪ちゃん…ここに居たんだね」 夕焼けをバックに一人の少女の影… 「みさき先輩…」 「みさき…」 そう…二人にゆっくりと近づいてくるのは雪見の親友、川名みさき。 …ついでに言うならこの騒動を引き起こした張本人だが。(それを言ってはいけません) 彼女は二人のすぐ側まで来ると…こう言った。 「一つだけ聞きたい事があるけど…良いよね?」 「…分かったわ」 真剣な顔のみさき。 浩平と雪見は彼女の問いは何なのかと緊張する。 そして…みさきが口を開く。 「えーっと…二人の結婚式の日取りっていつになるのかな?」 どぎゃばきががーーーーーーーん! 派手な音を立てて浩平と雪見はぶっ倒れる。 何とか経ちあがった雪見がみさきに詰め寄る。 「み、みさき…アンタねえ…」 「だって…日取りが分からないと色々困るし…友人代表の祝辞とかね」 「みさき先輩…(汗)」 「あ、ひょっとしてもう二人だけで結婚式上げてるとか?じゃあもう初夜は…(ぽっ)」 「「おいおい」」 …どうやらみさきは嫉妬心を持つより先に暴走しっぱなしだったようだ。(おい) 「みさき…あの事は私の嘘で…」 何とか説明しようとする雪見の肩を叩いてみさきは言う。 「大丈夫だよ雪ちゃん…他のみんなには私からうまく言っておくから♪」 「何が大丈夫なの…?(汗)」 「じゃあ浩平君とお幸せにね〜」 しゅたたたたたたたたーーーー そう言って階段の方に走っていくみさき…汗を流しながら黙ってそれを見つめる浩平と雪見。 そして…みさきの言葉が風に乗って二人に届く。 「ううっ…二人の事はこれからも草葉の陰で見守っているからね〜」 「「アンタはまだ死んでないでしょーーーーーーーーーーー!!!???」」 見事にツッコミをハモらせた二人だった。 ---------------------------------- その後、浩平と雪見は…しばらく屋上に突っ立っていたが… やがて… 「あの…折原君?」 「あの…深山先輩?」 …二人同時に口を開く。慌てて顔を見合わせる。 「…あ」 「…う」 で…口篭もる。そんな事をしばらく繰り返して… 「折原君…今日はごめんなさいね」 ようやく雪見が浩平に向かって言葉を発する。 「いや良いって…どうやらみさき先輩が暴走しただけだったみたいだし」 そう言ってややぎこちない笑みを浮かべる浩平。 だが・… 「…みさきが暴走すると…1週間はあの調子よ」 「…そうなんですか?」 「…ええ」 …雪見の言葉に再び額に汗を滲ませる。 浩平はしばらくそのままで考え込んでいたが…再び口を開く。 「深山先輩…本気だったんですか?あの言葉…」 「あの言葉って?」 「えーっと…「『浩平』は私の物よっ!」って辺りなんですけど」 雪見は浩平のその問いに少し考えて… 「本気…だって言ったらどうするつもり?」 そう言ってここに来た時と同じようにイタズラっぽく微笑んだ。 その顔をまじまじと見ていた浩平だったが… 「…その時は、先輩の事を『雪見』って呼ばさせてもらいますよ」 こう答えた…俯いたその顔をかなり赤くしながら。 浩平のその一言に雪見は少し頬を赤くしながら…こう言ったのだった。 「………本気だったわよ、初めからね」 ………………それからしばらくの間、屋上で幸せそうに寄りそう男女の姿が見られたと言う 「深山せんぱ…いや、雪見…」 「何?浩平?」 「ひょっとして今日の事って……最初から雪見が仕組んだ事なんじゃ…」 「…そういう身も蓋も無い事言う口には…これが一番ね♪」 「えっ?」 そして…二人の影が一つに重なった………………………… ………………二人ともお幸せに(爆) 浩平の人生で一番長い日 おしまい ---------------------------------------------------------------- ポン太「と、言う訳で久しぶりに雪ちゃんラブラブSS書いたな〜( ̄∇ ̄)」 雪ちゃん「…途中までギャグばっかりなんだけど?」 ポン太「まあそれは私のSSだしっ♪…それに最後で一気にラブラブだから問題無しっ!(おい)」 雪ちゃん「…………(ぽっ)」 ポン太「あ…赤くなった」 ポン太「と、言う訳でこのSSを書くきっかけになった多くの方に感謝したいと思います(礼)」 雪ちゃん「…二人しか居ないような気が…」 ポン太「で、次は久しぶりの「温泉…」で行きますっ!」 雪ちゃん「それではまた〜」 2000.4.5 |