バレンタインの悲劇!?(第1部)  投稿者: 変身動物ポン太
ここは学校内のとある無人教室、
中からひそひそと話し声がする時…
その声に耳を傾けてみよう。

あなたは一つの物語を目撃する事になるだろう…
それが喜劇か…悲劇か…吉◯新喜劇になるのかは知らないが。(おい)


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第1部「無人教室で」


「…是非あなたに作ってもらいたい物があるのよ」
「ふーん…何を?」


カーテンを閉め切った薄暗い教室の中、
唯一つけられた灯りの蝋燭に映し出された…影が二つ。

そう…一つの机を挟んで二人の女生徒が向かい合っているのだ。
しばらくの沈黙の後…片方の女生徒が口を開く。


「まずは…あなたにしか作れない物…とだけ言っておくわ」
「ハッキリ言わない所が…用心深いわね」


用心深い…確かにそうだろう。何故ならば…


「ホントだったら私の素顔を見せる所なんだけど…今は無理ね」
「…まあ…表ざたに出来ない取引だから…顔は隠すのは当然…と、言う事にしといてあげるわ」


…二人とも妖しい儀式で使うような真っ黒いフードを被っているからだ。
これならばそう簡単には相手に顔を悟られずに済むだろう。



「でも…私にはあなたが誰か分かるわ…七瀬さん、よね?」
「うっ!?だ、誰の事かしら?」
「…青いお下げがフードの外に出たまんまなんだけど」
「はっ!…う、迂闊だったわ…って、貴方だってフードの上からぐるぐるメガネ掛けてるじゃない!プロフェッサー!」
「こ、これは私のトレードマークなのよ!」



…………お互いバレバレだった。(隠す意味ないやん!)



…以下は七瀬、プロフェッサー雪ちゃんと呼ぶ事にしよう。(初めからそうしなさい)
なお、プロフェッサー雪ちゃんを知らない人は以下の説明文を読んで欲しい。

(プロフェッサー雪ちゃん:ポン太のSSにしばしば登場するオリキャラ。元は深山雪見だが…グルグルめがねと白衣を装着する事により、最凶最悪のマッドサイエンティストになるのだっ!…って、今更ながら強引な設定だなあ…(汗))


しかし…それでもこの部屋の雰囲気が妖しい事は変わらない。
って、言うか青いお下げとぐるぐるメガネが更に妖しさを爆発させているかもしれない。
これで生贄でもいたら…黒魔術の儀式に直行できるだろう。(…何か違う)

と、二人の居る教室の隣から妙な唸り声が聞こえてくる。


「ふがー!ふがー!ふががががー!!!」


「…向こうに誰か居るみたいなんだけど…(汗)」
「特に気にしないで…で、私に作って欲しい物って…何なの?」


…生贄はいたようだ。(おい)
だが、ここで黒魔術の儀式に直行したら話が脱線してしまう。
…涙を飲んで無視しておこう。(って、脱線するつもりだったんかい!)

と…七瀬はいきなり立ち上がって…



「実は…貴方に『究極のバレンタインチョコ』を作ってもらいの!」



身を乗り出してそう言った!
その雰囲気からしてもかなり本気だと分かる。
それに対してプロフェッサー雪ちゃんの一言は……

「…自分で作らなきゃ意味無いと思うけど」

…身も蓋も無かった。

「それが出来ればこんなお願いしないわよおおおおおおーーーーーーーーーっ!!!」

あまりの一言に漢泣き(バキャ!…ななぴーからのツッコミ(笑))…いや、乙女泣きする七瀬。
ちなみに…「七瀬って…お菓子作り上手くなかったっけ?」と言うツッコミは無しだ。(おい)

「何でそんな事私に頼みのよ…自分で作れないなら店で買うとかすれば良いじゃない?」

そう話すプロフェッサー雪ちゃんに…七瀬はずずいっと詰め寄る。

「店で買ったチョコじゃ誠意が無いわっ!それに…」
「(私が作っても誠意が無い事には変わらないと思うけど…)それに?」



「…乙女たる者、17にして厨房に入らずって言うでしょ!」



……それは違う。(うん)

「…今日は上月さんに稽古つけてあげる約束があるから…」

いきなり『深山雪見』に戻って立ち去ろうとするプロフェッサー。

がしっ!

…その袖に七瀬がすがり付く。

「…何が何でも振り向かせたい奴がいるの…でも、アナタしか頼れる人が居ないのよー!」
…目一杯プロフェッサーの顔面に近づいて嘆く七瀬…しかもまた漢泣きしていた。
さすがにそんな七瀬を見かねたのか…プロフェッサーはこう言った。


「まあ…報酬次第では考えない事も無いけどね」


それまで泣いていた七瀬は…それを聞いていきなり表情を改める。(…あんたフード被ってなかった?)
更に意味深な笑みを浮かべると…こう言った。

「…今日の午後に演劇部手伝い&実験台要員…2名を用意するわ」

それを聞いたプロフェッサーのぐるぐるメガネがキラッと光る。
その反応を見た七瀬のお下げもピクッと動く。

「…本当でしょうね?」
「…乙女の名にかけても」

プロフェッサーは少しの間考え…そして結論を出した!

「任務…了承!」
「頼むわっ!」

ガシッと二人の両手が組み合わされる!


そう、それは……
新たなる永遠の盟約の始まりだった…



「…言っておくけど、川名みさきと折原浩平なら…間に合ってるわよ。さっき捕獲したから」
「ええっ!折原、もう捕まってるの!?」
「…他に居ないならやらないわよ」
「えーーー!?(だ、誰でも良いから捕まえなきゃ…)」



…えいえんなんて無かったんだ…(おい)



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その日の午後から…南森と中崎、両名がしばらく行方不明になった事は言うまでも無い。(おいおいおいっ!)



第1部 完(これで終わりかいっ!)
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次回予告!

『究極のバレンタインチョコ』…この無理難題とも言える注文に挑むプロフェッサー雪ちゃん!
だが…その兆戦に謎の妨害者が現る!
はたして…プロフェッサー雪ちゃんはこの妨害を突破できるのか!?
そして『究極のバレンタインチョコ』は完成するのか!?


次回「雪ちゃんと愉快な親友♪」(って、妨害者バレとるやん!)…お楽しみに〜♪
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…3夜連続投稿…開始。(爆)
実は一本だと容量デカ過ぎたので…三本に分けたのは秘密だ。(笑)
ネタ(&書く気力(笑))を提供してくださったパルさん&いけだものさん、本当にありがとうございます。m( )m
それでは〜


2000.2.12