今日も学食は混んでいる。 その中を一人の少女が歩いている。 ついでに言うと、その少女はうどんを乗せたトレイを持っている事を付け加えておこう。 (・・・・重いの) 少女はそう心の中で思いながら、自分の席に歩いていく。 あの時みたいにラーメンをこぼしたりしないように。 でも・・・時として不幸な偶然が彼女を襲ったりする訳で。 ドンッ 「あっ、ゴメン」 よそ見をしていた男子生徒にぶつかってしまったその少女は・・・・思いっきりよろけた。 (あわわわわーーーなの!) 少女−上月澪は、今まさにに学食でこけようとしていた・・・・ 『う・わ・ぎ3』 ”らいばる出現なの!” ぶつかったショックでぐらついた澪の体は・・・あっさりと傾いた。 (倒れちゃうの!) 周りに叫びたくても声は出ない。 (誰かにうどんがかかっちゃうの!それはダメなの!) しかし澪の思いとは裏腹に体は前のめりに・・・・ (ヘルプミーなの!) と、澪は自分の右斜め45度(どっかで見たな・・・この角度)に何かを見つけた。 (!) ほんの一瞬だけ澪の顔が笑みに変わり・・・また元に戻る。 いや、元に戻った訳ではない・・・例えて言うなら・・・・・ ――――――――――― ここは宇宙・・・・銀河の彼方 そこに一隻の宇宙船が居た。 その名は・・・・・機動戦艦”MIO” ・・・・・・・・ <艦橋ブリッジ内にて> 『目標との距離測定、確認済なの』 『エネルギー120%臨界なの』 『主砲口開放なの』 『ターゲットロックオンなの』 次々に”オペレーター澪”達が”艦長澪”に情報を(スケッチブックで)送ってくる。 ”艦長澪”はそれらの情報を得て、高らかにスケッチブックを掲げた。 『目標”折原先輩”・・・・攻撃開始なの!』 ―――――――――― ・・・・・とまあこんな感じだ。(どんな感じやねん!) 取りあえず、澪はうどんをどうせ誰かにこぼすなら、愛する浩平(笑)にと決めたようだ。 で、澪はそのまま浩平に倒れかかった! びっくりして振り向く浩平・・・・倒れ込む澪・・・・ そして・・・・衝突音が響いた! がっしゃーーーーーーん! がっしゃーーーーーーん! (!?) 澪はその音を聞いてハッとする。 そう・・・・衝突音が二つしたからである。 そして・・・浩平の方を見ると・・・・・・・。 澪のうどんを背中から被った上に、頭にプルトップの開いたジュース缶を乗せ、肩や腹にハンバーガーを乗せているといった悲惨な有様だった。 そして・・・・・ 「みゅー・・・・こうへい、大丈夫?」 「・・・・大丈夫じゃない」 澪以外に浩平に何かをぶちかましてしまった”誰か”が居た。 (・・・・澪よりも小さい女の子なの・・・・って、謝らないといけないの!) 澪は急いでペコペコと頭を下げる。 つられてその少女(分かると思うけど繭)も頭を下げる。 「澪もか・・・・うどんこぼすなら他の奴にしてくれ」 浩平はいつものように優しく澪に微笑んだ。 (良かったの、先輩は怒ってないの・・・だから・・・お詫びにまた洗濯してくるの♪) そして澪はスケッチブックを・・・・ 「みゅー・・・・・」 がしっ と、突然その少女(だから繭だって)が浩平の上着をつかんだ。 (何なの?・・・・まさか・・・) 澪はその少女(めんどくさいので以下繭)の行動を何となく不安に思った。 そして・・・・ 「何だ繭?」 「みゅー♪洗濯してくるもぅん♪」 洗濯してくる、洗濯してくる、洗濯してくる・・・・・・ 澪の頭の中で繰り返しその言葉が響いた! (がーーーーんなの!先に言われてしまったの!) 澪の視界には浩平のうわぎを持って喜ぶ繭と、苦笑いしながらもそれを優しく見つめる浩平の姿が映っていた。 (横取りなの!鳶に油揚げさらわれたの!ずるいの!・・・・etc←おい) 澪は心の中で次々と叫ぶが・・・当然浩平と繭には届かない。 「繭、しっかり洗濯してきてくれよ」 「みゅー、ちゃんとできるもぅん」 (はうう・・・・そのセリフは私のものなの・・・・) ・・・・・・・・ で・・・・・・ 結局浩平のうわぎ洗濯権(?)は繭に取られてしまった。 (・・・・・残念なの) とぼとぼと教室に帰る澪・・・・・ しかし・・・・澪の心の中には一つの決意が生まれていた! それは・・・・・・ (・・・・あの子は澪のライバルなの!次は絶対負けないの!) ぐっと握り拳を作り夕日(・・・昼じゃなかったっけ?)に向かう澪・・・・ (折原先輩(の上着)は澪のものなのーーーーーー!!!!!!!) ・・・・今まさに、折原浩平上着争奪戦が始まろうとしていた・・・・ ――――――――――――――― で、その日の放課後、とある教室。 「えっ!?シュン君、その話ホントなの!?」 「ああ・・・・『第2回折原浩平グッズオークション』は中止らしい・・・・残念だよ」 ・・・・って、また開催するつもりだったんかい! おしまい −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ポン太「・・まさかこのSSをシリーズ化してしまうとは・・・・私って奴は・・・( ̄∇ ̄;;;」 雪ちゃん「ネタが尽きたのね、早い話」 1999.9.11