さあ、後編ですっ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
七夕
それは
様々な人の願いが一枚の短冊に託される日
だから
僕もこの願いを短冊に託そう
『帰りたい』
「駄目だよ、浩平。」
「・・・・帰ったら嫌です。」
「みゅ〜〜〜、こっち来て♪」
『なのなの♪』
「折原・・・・帰ったらどうなるか分かってるわね。」
「浩平君、学校来たばかりなのにもう帰るの?」
「・・・・これでは帰れないわよね、折原君?」
最後の一人はぐるぐるメガネを直しながらそう言った。
・・・・・オレは川の畔で短冊を持ったまま、向こう岸のヒロイン達の声を聞いていた。
そう・・・・中崎町を横断する「天の川」の畔で・・・・・。
激突!! 七夕奮闘編
後編 『彦星なんかに・・・なりたくないっ!』
<前回までのお話>
七夕なので、繭ちゃんが例によって超能力で中崎町に「天の川」を出現させたっ!
はたして浩平は彦星になって、織り姫こと繭ちゃんに会えるのかっ!?
(・・・・・なりたかないわっ! byばかばか星人)
今、オレ達の前に3艘のボートがある。
「泥の船と木の船と鉄の船・・・・・どれがいい?」
「カチカチ山かいっ!」(鉄の船は違うぞ)
と、いうのはプロフェッサーの冗談である。
「えーっと・・・・何でしょうこのボートは?」
オレ達の目の前にある3隻の足こぎボート・・・それは・・・・。
「どう見てもアヒルのボートなんですけど・・・・。」
「アヒルちゃん一号・二号・三号と呼んでもらうとなおいいわね。」
「ちがーーーーーう!」
それを聞いてプロフェッサーはふっ・・・と息を吐くと遠くを見つめる。
「ポン太はホントは七夕にちなんで・・・・白鳥のボートにする予定だったらしいけどね・・・。」
確かに彦星が天の川を渡るとき、白鳥が助けたとかなんとか・・・・って、白鳥のボート?
「それって・・・・ス◯ンボート!?って・・・ぐあっ!」(・・・しーどりーふさんごめんなさい。m( )m)
「「「じぇっーと◯とりーむあたっく!!!」」」
がすっげしっぼこっ!
不用意な発言をした住井を、オレと南と髭が伝説の役立たず技(じゃあ使うな)でボコにする。
「・・・・と、いうわけで納得してくれた?」
プロフェッサー雪ちゃんが視線をこっちに戻しつつそう言う。
オレ達3人(取りあえず住井は無視)はそのまま頷く。
「みゅ〜♪白鳥、白鳥♪」
・・・繭が納得してるんなら大丈夫だろう・・・・多分。
と、いうわけでオレ達3人は3隻のボートに乗り込む。
取りあえずこれに載れば、あの渦巻きは発生しないらしい。
って・・・プロフェッサーはオレ達のうち誰か一人はツッコミで自滅するって分かってたんだろうか?
初めから3隻しかなかったし・・・・。(汗)
で、長々と書き連ねてきた川岸編もようやく終わり。
出発だ。
キコキコキコ
取りあえず漕ぐ
キコキコキコ
やっぱり漕ぐ
キコキコキコ
とことん漕ぐ
・・・・ほとんど進まないのは気のせいか?
『・・・気のせいではないです』
茜が精神◯波(原理不明)でオレの脳髄に直接ツッコミを送ってくれた。
「・・・・なんでだ?」
『ポン太が昔の乗った遊園地の足こぎボートがそうだったからです』
・・・・自分の体験をキャラに味あわせようとするなよ・・・作者。
なかなか進まないオレが、先行する二人のボートを見てため息を付いた時だった。
・・・”そいつ”が現れたのは。
「んあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!?????」
初めに攻撃(?)を喰らったのはセリフから分かるように髭艇だった。
ざっぱぁーーーーーーーん
ぐらっぐらっ・・・どっぼーーーーーーーーーん!
「んあああああぁぁぁーーーーー!!授業があぁぁぁーーー!!!」
ひっくり返った髭艇はあっさりと波間に消えていった。
「女房思いの・・・いい奴だった」
プロフェッサー・・・・訳の分からない解説は止めてくれ。
・・・取りあえず、何か巨大な物体が髭艇に体当たりかましたのはわかった。
一体何だろう?
・・・・・次に沢口艇(南だっ!)を襲うだろうからそれを見て観察しよう。(外道だ、あんた)
――――沢口観察日記 2年◯組 折原浩平――――
7月7日 晴れ
沢口はサメに襲われた。
・・・・以上。
―――――――――――――――――――――――――
「・・・・終わってしまったではないかっ!」
『・・・誰にツッコミいれてるんですか?』
思わず叫んだオレに、茜が律儀に二重ツッコミを入れてくれる。(ありがとう)
って、サメ!?
沢口を襲っているのは・・・・確かにサメだった。
だが・・・・普通のサメとは少し違った。
「ガグアグガアアアアアアアァァァァーーーー!!!!!」
ガチンガチンガチン!!
「何処の世界に、咆吼しつつ金属と金属を摺り合わすような歯軋りして沢口を襲うサメがいるんだあああああぁぁぁーー!!!???」
『・・・”サメマッシーン”です。』
はっ?それって・・・・。
『踏み付け攻撃が有効ですが、上に乗ろうとするとキャストボムを連射してくるので注意してください』
そ、それは・・・・・。
「『ジャン◯ングフラッシュ!』かあああああぁぁぁぁーーーー!!!!!」(知ってる人いるかなあ・・・)
『・・・”2”です』
茜はいつまでも冷静だった・・・・。
・・・・・・・・・・・・・
「ねえ雪ちゃん。」
「何?みさき。」
「さっきから川岸で何かしてたみたいだけど・・・何してたの?」
「丁度大きい川が出来たことだし・・・・ちょっと新型メカをテストしようと思って。」
「みゅー、お腹減った・・・」
・・・・・・・・・・・・・
と、いうわけでオレ達は”サメマッシーン”に襲われていた。
「襲われているのは俺だああああぁぁぁぁーーー!!!」
沢口・・・・(いい加減南で呼ぼう)キミの犠牲は無駄にはしないよ・・・・。
そう思って全力でアヒルちゃん一号を漕ぎ出した・・・・が。
「ああっ!しまった、これ全然進まないんだったーーー!!!!!」
焦るオレの耳に南の断末魔の叫びが聞こえてくる。
「茜さーーーーーーーーーん!!!ぐぼぐがっ・・・・。」
どぼーーーーーん
・・・・つ、次はオレか?オレが悪いのか!?オレが昨日七瀬に肘鉄10連発入れたの(入れるな)がいけなかったのか!?
『・・・錯乱しないで下さい』
「茜ーーー!!!助けてくれーーー!!!」
こうなったら茜に頼るしかないっ!
『ワッフルと鯛焼き・・・・(ぼそっ)』
「・・・分かった!練乳とイチゴジャムもつけるっ!」
・・・・一応財布の中を確かめながらそう言うオレ。
「・・・おまけでバタポ屋のクレープもお願いします。」
・・・・思いっきり足もと見られてる気がするのはオレだけか?
そしてサメマッシーンから逃げ続けること10分。
茜からの増援が到着する。
「折原君、やっほーーー♪楽しそうだねえ♪」
「やはり詩子かっ!」
何かしてくれそうではあるが、信頼度はゼロの柚木詩子だった。
「って、何でお前は白鳥関係の装備してないのに平気なんだっ!?」
一応言っておくが、詩子が乗っているのは只のボートに過ぎない。
「私が詩子さんだから。」
「理由になってなーーーーーい!!」
「ガグアグガアアアアアアアァァァァーーーー!!!!!」
そう言い合うオレ達に凄まじい咆吼を挙げてサメマッシーンがせまるっ!
「うーーーん、いくら詩子さんが魅力的だからって・・・そんなに積極的に来なくてもいいのにっ♪」
「言ってる場合か!」
「だいじょーぶ、この詩子さんに任せてっ♪」
「わかった。後は任せたっ!」
・・・・取りあえずオレは逃げよう。
ベキベキベキッ!
全力でその場をオレの背後から、金属がねじ曲がるような凄まじい音がした。
何が起こっているのか・・・・想像したくない。
只一つ分かることは・・・・詩子に逆らうなってことかい・・・。
と、言うわけでオレは窮地を抜け出して、ようやく向こう岸のすぐ近くに来ていた。
「みゅ〜♪こーへーだ♪」
「・・・ようやく来ましたね。」
「浩平・・・遅刻だよ。」
『無事で良かったの』
「待ちくたびれたよ〜〜。」
「やれやれ・・・サメマッシーンはあまり役に立たなかったわね。」
「折原・・・・生きてたのね。」
ああ・・・繭がいる、茜もいる。長森も澪もみさき先輩もプロフェッサーも・・・。(あたしは無視かっ!byななぴー)
みんながオレを迎えるように出てきている。
よしっ!感動の再会は誰からにしようかな(おい)・・・・そんな事を考えていたときだった。
繭が突然こんな事を言った。
「・・・・たこ焼き食べたい。」
へっ?たこ焼き・・・?
気付いたときには遅かった。
突如オレの目の前の水面がゴボッと盛り上がった!
「!?」
バシャアアアアアアーーーーーーン!!
オレの目の前から巨大な影がせり上がる!
「た、タコ!?」
それは20メートルは在ろうかという巨大なタコだった。取りあえずメカではない。
「みゅ〜♪たこ焼き♪」
違うと思うぞ・・・繭。
そのタコは大きな目でじろっと周りを見ると・・・・・オレの方に襲いかかってきた!
「何でオレやねんっ!」
取りあえず突っ込むオレに茜がテレパシーを送ってくる。
『・・・浩平はタコに好かれる体質なんですね』
何故にっ!?
「ふ〜〜〜ん、そうだったんだ。良かったね、浩平。」
何故テレパシーが分かる・・・長森。
「ふーむ・・・タコに好かれる体質ね・・・・研究の価値があるかも・・・。」
研究してどうする・・プロフェッサー。
そんな事言い合っている間に、タコの腕はオレの目の前まで来ていた。
「うわあああ!!??」
そんなオレの脳裏に明日の朝刊のトップ記事が流れ出した。
『美男子星人!大ダコにさらわれるっ!』
・・・・い、嫌すぎる。
だが今のオレにあらがう術はない・・・・・オレは観念して目を閉じた・・・が。
ガシィッ!
何かが食いちぎられるような鈍い音がオレの耳に入ってきた!
恐る恐る目を開けてみると・・・・何と!
さっきのサメマッシーンが大タコに太い腕に噛み付いているではないかっ!
「サーちゃん(サメマッシーンの愛称らしい)頑張れ〜〜♪」
で、その背中の上でのんきに立っている詩子。
「どうやらサメマッシーンと戦って、勝って従えたようですね。」
茜がそんなことを呟く・・・・マジかい?
「と、言うわけで・・・今よっ!」
「「「「「『おおーーーー!!』」」」」」
プロフェッサー雪ちゃんの号令で一斉にヒロインズ(シュン含む)が動きだすっ!
「特大画鋲攻撃よっ!」
がすがすがすっ!
今まで登場の無かった(うるさいわよっ!by真希)広瀬の投げる特大の画鋲が大ダコの動きを封じるっ!
「みんな、行くんだもん!」
にゃーにゃーにゃーにゃー
長森のねこ達がタコの気を引きつけ、隙を作りだすっ!
『必殺ラーメンあたっくなの』
さばああああああ!!!
澪のラーメンがタコの目を直撃するっ!
「行くわよおおぉぉぉぉ!!七瀬流剣術最終奥義!”断空爆殺乙女切り零式”!」
ずばあああああああ!!!!
七瀬の”竹刀”が何とタコの足を次々に寸断するっ!
「行くよっ!」
ごいいいーーーーーーーーーん!
「痛いよー。」
みさき先輩の頭突きがタコの頭にヒットする・・・・当然タコの方が痛そうだ。
「シュン君今よっ!」
「了解だね。」
すがががががががーーーん!
プロフェッサー&シュンの仕掛けた罠が次々にタコに炸裂するっ!
ちなみに多すぎて説明できんっ!
「・・・ワッフル美味しいです。」
もぐもぐ
一人悠然とワッフルを食べる茜っ!(戦わんかいっ!)
そして、オレの前にはかなりダメージを折った大ダコがいる。・・・・ふっ・・いよいよオレの出番か。
「みゅ〜〜〜♪」
繭が岸からオレのボートに飛び移ってくる。
がしっ
で、オレにしがみつく繭。
よし・・・・行くぞっ!
「みゅ〜♪」
オレの中に繭の重い(字違う)が届く。
「お兄ちゃん・・・・。」
何故かみさおの想いも届く・・・・この時、オレ−美男子星人、折原浩平の中に原因不明のパワーが生まれるっ!
オレはまっすぐに大ダコを睨み、叫んだ!
「く〜〜ら〜〜え〜〜!!!ロ◯&シ◯コンビイィィィィィィィィム!!!」
ぐああああああぁぁぁぁぁーーーーーーーん!!!
・・・・・こうして七夕騒動は終わった。
で、本日の一言。
「”天の川”、みんなで渡れば怖くないっ♪」
「お前が言うなっ!詩子っ!」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
その夜、詩子の提案もあってオレの家で「七夕パーティ」が開かれた。
・・・メインディッシュが昼間に倒した大ダコだったことは言うまでもない。
オレは騒ぎまくる面々を横目に見ながら庭に出た。
「・・・・・疲れる一日だった。」
そんなオレに誰かが近づいてきた。
「みゅ〜〜、こーへー・・・・・。」
「繭か・・・どうした?」
何か寂しそうな繭だった。
「こーへー・・・どっかに行っちゃうの・・・?」
「オレは何処にも行かないつもりだが。」
「だって・・・・彦星と織り姫は・・・今日会ったらまた一年会えないんだって・・・・。」
・・・なるほどそう言うことか。
オレと一緒に七夕の織り姫と彦星をやりたくて、天の川を作ってしまった繭。
で、それが終わったから今度は別れを心配してるんだな。
大丈夫・・・お前が望まない願いは・・・起こることはないんだ。
だって・・・今日は七夕なんだからな。
オレはふっ・・と笑みを見せると繭に言った。
「・・・大丈夫だ。オレはここにいる。」
「・・・ホントに?」
「ああ。」
泣きそうになった繭の頭をそっと撫でてやる。
それにオレは彦星には成れなかった。
川を渡れたのも・・・みんなのおかげだし・・・な。
オレには繭という恋人がいて・・・・向こうで騒いでる仲間がいて・・・・やっぱり彦星にはなりたくない。
一年に一回なんて・・・・寂しい事はできないぜ。
「・・・・一緒に中に入ろ。」
「ああ。」
繭に手を引かれて家の中に入ろうとしたオレの目に、竹に付けられた沢山の短冊が目に入った。
さて・・・・繭はどんな願い事をしたのやら。
それが凄く気になる七夕の夜のオレだった。
END
<おまけ>
「ふふふ・・・・”茜&澪ちゃんとラブラブ(死語)になるように♪”って書いたもんね♪」
詩子が短冊を持って葉竹に近づいた。
で、当然と言うか何と言うか、他の連中の短冊も見始める詩子ちゃん。
「えーっと・・・”乙女になれますように”、”七瀬さんに勝てますように”、”浩平が真面目になりますように”、”もっとお代わりできますように”、”もっとぼいんぼいんになれますように”、”オレは南だっ!”、”折原君と(以下過激内容につき略)”、”みさきが借金返してくれますように”、”んあー”・・・ふーん、みんな大変そうね。」(誰が誰だか・・分かりますよね?)
「詩子・・・何見てるんですか?」
「短冊だよ♪で、茜はなんて書いたの?」
「・・・秘密です。」
そんな二人の横で一枚の短冊が風に揺られていた・・・・・。
『こーへーのお嫁さんになれますように 繭』
おしまい♪
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はいっ、どうもでしたぁ。
ポン太さんは7月はインタネができないそうなので、次の登場は8月ということになります。
次回作もお楽しみに〜♪
最後にお知らせです。
ちょっと先の話になりますが、8月28日(土)に名古屋で、『夏のSS座談会』と称して、SS作家さんのオフ会を開催いたします♪
参加希望の方、もう少し詳しい内容を教えて欲しいという方は、いけだものまでメールで連絡下さい。
また、自分のHP(URLは下ねっ)でも、近々告知をさせていただきますので、よろしくです〜♪
さあ、自分もそろそろ1本くらい書けるといいなぁ。
それじゃあ、まったで〜す。http://village.infoweb.ne.jp/~fwiv2654/index.htm