「ふああぁぁぁぁぁーーーーーーー。」
オレは大きなあくびと共に机から立ち上がった。
今日は土曜日。
かったるい授業も昼で終わり・・・・な日だ。
ちなみに雨の降る月−6月でもある。
今朝も雨降ってたしな・・・・・。
「・・・・しかし・・・・昼からやることがないな。」
教室で喋っているクラスメイトの中にも・・・・あまり知り合いは・・・・居ないんだよな。
長森も七瀬も広瀬(何故?)も住井も南もいない。
そして・・・・・
「・・・・・浩平、まだ教室に居たんですか?」
・・・・・何でここに茜が居る?
「・・・・茜、一聞きたいことがある。」
「・・・・何ですか?」
オレはおもむろに咳払いをすると言葉を出す。
「茜が実は留年していたとは知らなかったんだが。」
「・・・・それは浩平だけです。」
そう・・・オレはえいえんの世界に行ったせいで留年していた。
だからクラス内では知り合いが少ない・・・・・・澪は隣のクラスだしな。
ついでに言うと澪は演劇部の現部長だ。フッ・・・コーチが良いとそうなるんだな。(これって誰のシナリオ?)
「・・・・何独り言ぶつぶつ言ってるんですか?」
「いや・・・気にしないでくれ。」
・・・いかんいかんまだ頭がはっきりしてないな。
オレは自分の頭を一回どついてはっきりさせると、茜に言った。
「で、なんで茜がここに居るんだ?」
茜は何も言わず手にしたバスケットを差し出した。
・・・・ひょっとして。
「昼飯作って持ってくれたのか?わざわざここまで?」
「今日は土曜だったので大学の講義も無いですし・・・・久しぶりに浩平に食べて貰いたくて・・・・。」
顔を少し赤くしてこう言う茜・・・・ううっ、オレの彼女ながら最高に可愛いぞっ!
オレは思わず・・・
「・・・・ここでは嫌ですよ。」
・・・抱きしめようとした事、ばれてる・・・。
まあ”ここでは”が入ったことだけ良いと思っておこう。
「晴れたな・・・・。」
「・・・朝まで雨が降っていましたね。」
オレと茜は中庭に来ている。
朝降っていた雨も既に上がり、昼飯を取るにもいい感じに地面は乾いていた。
ホントは教室で「あ〜ん」とかやってクラスの男どもを羨ましがらせたかったんだが・・・・。
「この場所も久しぶりです。」
「・・・・そうだな。・・・好きなのか?ここ。」
「・・・浩平と初めて一緒に昼御飯食べた場所ですから。」
・・・・・まっ、いいか。
どこでも茜と二人っきりなら・・・・
「美味しそうな匂いがするよ〜〜〜〜♪」
『ホントなの』
・・・・・・なんでこういう時に現れるかな・・・。
現演劇部長・上月澪&中崎高校の居候(OBとも言う)・みさき先輩の名(迷?)コンビだ。
「茜・・・・やばいぞ。澪はともかく・・・みさき先輩は・・・。」
「・・・・全部食べられますね。」
ひそひそ話をするオレと茜。
茜もみさき先輩の大食いの事は先刻承知済だ。
「・・・・何かひどいこと言われてるよ〜〜〜。」
『私は食べても良いみたいなの♪』
そんなことを言って勝手にバスケットを開けてしまう澪。
「あっ、待てっ!」
オレの叫びも空しく・・・・茜が”オレの為に”作ってきてくれた弁当は人目にさらされたしまった・・・・。
だが・・・・それは本当に美味しそうだった。
綺麗に揚がった空揚げ、食べやすいように小さく切られたサンドイッチ、可愛く切られたウインナー・・・まだまだあるな。
『ホントに美味しそうなの』
「そうみたいだね・・・・何となくだけど。」
「ふ〜〜ん、折原君ってこんな可愛い彼女がいたのね。」
「さすが茜♪いつ見ても料理上手いよね。」
「みゅ〜〜♪食べたい〜〜♪」
・・・・何かギャラリー増えてないか?
後ろを振り返ったオレの目に飛び込んできた物は・・・・。
「こんにちわ、折原君。・・・みさきが居て私が居ないとでも思ったの?」
深山先輩か・・・たしかにそうだ。・・・て、言うか、ポン太なら絶対彼女を出すと思ったけどな。(おい)
「私と茜は一心同体だよっ♪」
さらっとエライ事口走ったのは詩子・・・・こいつも出てこないわけないよな・・・・。
「みゅ〜〜♪」
・・・・説明不要。繭だ。
「・・・・恥ずかしいです。」
自分の作ってきた弁当を見られてなのか、はたまた可愛いと言われてなのか、恥ずかしがる茜・・・・・・はあっ、何か良いぞ。
と、言うわけで中庭はピクニック状態になってしまったりする。
深山先輩や澪は自分の分の昼御飯持ってきてたけど・・・残りの連中は・・・・
「わあっ♪美味しいよっ、これ。」
「茜の手料理が食べられるなんて・・・・幸せだなっ♪」
「みゅ〜〜♪」
・・・・何も言うまい。
オレはその騒ぎから離れて、少し離れたとこにいた茜の横に座る。
そのまま独り言のように青く澄み切った空を向いたまま呟く。
「・・・・昼飯・・・食えなかったけど、ありがとうな。」
茜も顔をこっちに向けずそのまま答えた。
「いえ、また作ってきますから・・・・いいです。」
オレ達はそのまましばらく何も言わず空を見ていた。
と、ポツリと茜が呟いた。
「・・・・いい天気です。昨日までの雨が嘘みたいに。」
茜の方を向くと・・・・茜もこっちを見ていた。
だから・・・・オレも言った。
「・・・・そうだな。」
「・・・・だから・・・・私は幸せです。」
茜は別に天気のことだけ言ってるわけじゃない・・・・・な。
――――――――――
オレが居なかった一年間
それは茜にとって・・・・・・心に雨が降っていた
帰ってこれて・・・・
・・・・ホントに良かったと思う
――――――――――
「もう・・・雨はふりませんよね?」
茜がオレの方を見てそう言う。
「ああ・・・・もう降らせない、絶対に。」
そう答えた。
もう雨は上がったんだからな・・・・・・
「浩平く〜〜〜〜〜ん、早く来ないとなくなっちゃうよ〜〜〜〜♪」
「もう無いような気もするけどねっ♪」
「みゅ〜〜〜♪」
まだ騒いでいる連中を見ながらオレも茜も微笑んでいた。
そんなオレ達を初夏の風が優しく撫でていく・・・・・。
オレと茜の初めて一緒の夏は・・・・・すぐ近くに来ている
そんな事を思わせる・・・・・・・雨の上がった昼下がりだった
END
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ポン太「はいーーーー!6月だから茜SS、6月だから雨SS・・・・と思わせて実は気の早い雨上がりSSだいっ!」
雪ちゃん「この前、梅雨入りになったばかりじゃ・・・・。」
ポン太「ぐふっ!(吐血)・・・・・・別にいいやん。(TT)」
雪ちゃん「それに他の作家さんと雰囲気似通ってない?」
ポン太「・・・・・さあ?( ̄∇ ̄;;;;;自分のSSと似てると思った作者様、ご免なさい。m( )m」
雪ちゃん「所で今週はこれ一本だけなの?『演劇部は大変だっ!』の第2話は?」
ポン太「えーっと・・・おもろいギャグが考えつかない&このまま書くとヤバイ展開になりかねない・・・で現在完全停止。( ̄∇ ̄)」
雪ちゃん「・・・・・・来週は書くわよね?」
ポン太「・・・・多分。」
雪ちゃん「書きなさいよっ!でないと・・・・・。」
ポン太「ああっ!ぐるぐるメガネだけは掛けないくれっ!あっ!白衣まで!?」
雪ちゃん(プロフェッサーもーど)「・・・・ふふふふふふふふ・・・。」
ポン太「ぎゃあああああああぁぁぁぁーーーー!!????」
その後・・・ポン太がどうなったかは知る者はいない・・・・・。
裏ポン太「・・・・来週はどうするつもりなんだろう。(−−;;;;;;」
1999.6.12