一瞬 投稿者: 変身動物ポン太
「?」

それは少女の後ろで起こったこと

ほんの僅かな時間に起こったこと

それを少女は見ていない


もし


少女が振り返ったなら


 ――――――――


それは雨の降り続いていたある日

ある店に二人はいた


 ・・・・・・・


・・・・少女は成長している

少なくとも

注文をする少女の後ろでそれを見ている青年はそう感じていた

だから

すべてを見届け終わった青年は

店を後にしようとした


自分一人だけで消えるために


 ・・・・・・・・


「・・・?」

自分の好物を注文している少女

しかし・・・・ある事に気付いた


少女の後ろに立っている筈の青年

一番好きなひと

彼が歩き出したことに

だから・・・・少女は振り向く


 ・・・・・・・・


青年は気付かない

少女が振り返った事に

そのまま出口へ

いや、”永遠”へと歩き出していく

 
 ・・・・・・・


少女は見た

店の出口へ歩いていく青年を

一歩歩く度に

気配が無くなっていく青年を


居なくなる


少女はそう感じた


一番大好きなひと

ずっと見守ってくれるひと


そのひとが自分の前から居なくなると


だから少女は・・・走った

ただ

走った


 ・・・・・・・


自分の体の感覚が無くなった

青年がそう感じた時

消えた

青年がそう思った時

それは起こった


 ・・・・・・・


「浩平ーーーーー!!!」

「・・・繭。」


 ・・・・・・・


消えた筈の青年

置いてかれた筈の少女


しかし


一瞬


少女の手は

消えた筈の青年の手を

しっかりと握っていた


 ・・・・・・・


少女の目には何が映ったのか

青年の心には何が残ったのか

分からない


だが

これだけは言える


二人の間の絆は

消えた筈の青年を

一瞬だけ

この世界に引き戻した


この事だけは


 ―――――――――― 


少女は再び一人になった

しかし

少女の目には涙はなかった



それは

自分が青年を

一瞬だけでも

引き戻せた事が

分かったからかもしれない


そして

青年が

いつの日か戻ってくることも。


だから

少女はまた歩き出すだろう


・・・・輝く季節に向かって。



END
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ポン太「うーーーん、初めて繭ちゃんSS書いたけど・・・・何か納得いかない。(−−;;;;;;」
雪ちゃん「今まで使った事無い表現を使ったからじゃないの?」
ポン太「そうかも。」

雪ちゃん「で、このSSは・・・・繭ちゃんとの別れをオリジナルで書いた物よね。」
ポン太「はい。本文読んで分からなかった人に言いますけど、本編では繭は消える浩平を見てないんですよ。」
裏ポン太「で、もしそれを繭が見たら・・・・と言う場合を考えてみたんですな。」
ポン太「でも実際だったら、このSSとは別の行動も取るかもしれないなあ・・・・。(^^;;;;」

ポン太「じゃっ、今日はここまで。」
雪ちゃん「次は・・・・・ホントにいつになるのかしらね・・・・・・・。」
裏ポン太「では、また今度お会いするときまでっ!」

1999.4.30