「ふふっ・・・・ふふふっ、ふふふふふふふふふふっふ。」 オレは・・・・今、でたらめに緊張している。 もうすぐ・・・ホームルームが終わる。 向こうにいる南も緊張しているようだ。 そう・・・・今日は恒例の屋上への競争の日だ。(詳細は・・・・リーフ図書館の更新をまて!←無責任) だが・・・・今日のはひと味違うのだ。 「んあー、今日はここまで・・・・。」 「邪魔だあ!おらああああああ!!!!!!!!」 目の前の七瀬の机を踏み越え、驚く髭を窓の外へと突き飛ばし、オレは扉にダッシュする!(七瀬&髭ファンの方、御免なさい) 南も同様に、住井と中崎を窓の外に突き飛ばしながら扉に突っ込んでいく! オレも南もほぼ叫んでいることは同じだ。 「奴だけには・・・・・詩子(柚木さん)だけには負けるわけにはいかんのだああああああ!!!!!!」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 一昨日の出来事だ。 オレは一人で下校しようとしていた。そんな時、そいつに出会ったのだ。 「あっ!折原君、こんにちは〜〜〜♪」 何がそんなに楽しいのか分からないが、そいつは超上機嫌な詩子だった。 「楽しそうだな、詩子。」 オレがそう言うと、詩子はにこにこ笑いながらこう言いやがった。 「楽しいよ〜♪だってもうすぐバレンタインデーだもん。」 もんって、長森じゃないんだから・・・・。 「バレンタインデーか・・・・誰かチョコあげたい奴でもいるのか?」 「えっ!?あっ!?・・・・・ち、違うよ〜〜〜私が貰うんだもん、あ・か・ね・か・ら♪」 ふ〜〜〜ん、ってなにぃ!? 「茜からチョコ貰うつもりって・・・・義理か?」 「ほ、本命に決まってるでしょ〜〜〜♪」 ・・・・茜が詩子に本命チョコ・・・・そ、そんなこと。 「許さあああぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」 「へっ!?」 「はっ!?」 言っておくが叫んだのはオレでは無いぞ オレの後ろから聞こえた『叫び』にオレ達二人は振り向いた。 そこにはムンク真っ青の『叫び』をかました南がいた。 「ゆ、柚木さん。それだけは許さないぞおぉぉぉ!!!!」 「折原君、南君があんな事言ってるよ。」 「お前のことだと思うぞ。」 その後・・・誰が茜の本命チョコを貰うかで論争になった・・・。 「茜は私に気があるのよ!だから私が本命チョコを貰うのよおおおおお!!!!」 「茜さんは俺のものだああああああ!!!!」 「ヒロインから本命チョコを貰う・・・・・主人公でしか成せない技なんだあああああ!!!!」 ・・・・茜本人の意思は無視かい?(byポン太) そして、キレたオレはえらい事を口走っていた。それがどんな結果を生むかも忘れ・・・・・・。 「なら、こうするぞ!明後日のホームルームが終わったすぐ後に、屋上へ一番先に到着した者が茜の本命チョコを貰うってのはどうだ!?」 「望む所よ!」 「よっしゃあああ!」 オレと南は教室から、詩子は一階の階段からスタートする事になった。 「ふっふっふっ・・・負けんぞ。オレは屋上への競争はやり慣れてるからな・・・。」 「茜さんの為なら・・・・この南明義!誰にも負けん!」 「・・・・私は詩子さんなのよ・・・・負けないからね♪」 そんな面々の事を影から見つめる者が居た・・・・・。 「屋上への競争・・・・私が妨害しなくて誰が妨害するというのかしら?」 ぐるぐるメガネがキラリと光っていた・・・・・。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「折原!先に出させて貰う!」 廊下に近い南が、先に扉に手を掛け一気に開く!その直後! かぷっ 南は扉に喰われた。 「&%#’$♭☆〇( ̄∇ ̄;’&8%$#!!!!???」 理解不可能な事を叫ぶ南!いつも開け親しんでいる(?)扉に喰われたんだから当然だ。 奴は世界で最初に教室の扉に喰われた高校生になったようだ・・・・・おめでとう。(ありがとう・・・って、んな訳ねええぇぇぇ!!!by南) って、扉が何で人を喰うねーーーーーーーん!!! ぎしゃあああああああん 訳のわからん奇声を発する扉・・・・・・ロボットか!? と言うことは・・・・。 「またアンタかい!プロフェッサー雪ちゃん!」 オレはカメラ目線で叫んだ! 「・・・・・浩平、変だよ。」 瑞佳が呟いていたようだが・・・・・気にしないでおこう。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ご存じ(?)学校地下のミッションルーム。 白衣を着てぐるぐるメガネをはめた深山先輩・・・・・プロフェッサー雪ちゃんがふうっと息を吐く。 「う〜〜ん、シュン君をけしかけたのはいいんだけど・・・・。」 そう言ってオペレーター席の人物を見る。 「折原君・・・・君がチョコを貰う相手は里村さんじゃない・・・・この僕だ・・・。」 おおっ、いつもは冷静なシュンがマジになっている! 滑るように彼の手がキーボードの上を動く。 「絶対阻止するよ・・・・・折原君。」 シュンの指がキーを叩くたびに新たな罠が・・・・起動する。 「まさか、”今回は僕が仕切る!”って、タンカ切られるとは・・・・思って無かったわ。」 シュンが罠を総動員したせいで、在庫は無くなっていた・・・・・。 「資金が・・もう無いわよ・・・。」 さすがのプロフェッサーも、切れたシュンには敵わない様だ・・・・・。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「な、なんだこの罠の量は!?」 オレが廊下を通過し、階段に達するまでにくぐり抜けた罠の数・・・・軽く二桁になるぞ。(ところでどうやって教室を出たんだ、浩平・・・) オレは次々と飛び出す網を避けながら思う・・・・。 今回の罠・・・・冷静なプロフェッサー雪ちゃんの物じゃないな!?(さすが屋上への競争のベテラン・・・・見抜いたな) プロフェッサーならばここぞと言うところに”必殺”の罠を仕掛けて居るはずだ・・・・。しかし今回は数だけで必殺の罠は無い。 「だが・・・・なんか執念を感じるな。」 何か寒気がするぐらいだ・・・・何故かは考えたくない。(その方が賢明だ) そんなこんなで階段に着いて・・・・おおっ!?詩子が上がってくる!?あの罠を突破したというのか!? 「この程度の罠で・・・・この詩子さんは止まらないわよ♪」 余裕じゃん・・・・。 どうやら、何故”罠”が仕掛けられているか・・・・と言うことは気にしてないらしい。さすが詩子だ。 オレと詩子は並んで階段を駆け上がる!あ、言っておくがオレ達がお互いに妨害し合うことは禁止だ。何故なら・・・・。 「あ、折原君。上からミサイル飛んでくるよ。」 「・・・・・作者め、本編の余韻引きずってるな・・・・・・。」 そんな事をする前に、罠を避けなくてはいけないからさっ! 身をかわしたオレ達のすぐ脇をミサイルが抜けていく・・・・・。 がががーーーーーーーーん 下の階の方で着弾音がする・・・・・・。澪・・・無事で居てくれ。(何故に澪!?) 「知らん!オレは何も知らんぞおおおおお!!!!!」 「ま、いいか♪」 対照的なオレ達だった・・・・・・・。 ・・・・・・・・ おっと、もう屋上への扉が見えてきたではないか。 オレ達二人がラストスパートを切ろうとした時のことだった。 がたたっ いきなり足下の階段が真っ平らになった。 「なにいぃぃぃぃぃぃ!!!???」 「えええーーーなにこれええぇぇぇ!!!???」 オレと詩子はあっさりとずり落ちていく。その下には・・・・砂のクレーター? いや、なんか真ん中にクワガタムシみたいなもん見えた気が・・・・。 これは・・・・・。 「アリ地獄かああああああああああ!!!!!!!!」 ずるずると落ちながらオレは叫んだ!くそっ・・・落ちてたまるか! オレは上履きと靴下を脱ぎ捨てると、両手両足を使って体を支えた・・・・おっ?なんとか踏みとどまったな? よし、上に上がるぞ・・・そう思ったとき。 「ああ・・・・落ちちゃうよーーー!!」 詩子がクレーターに、はまりかけている!? クワガタムシみたいなハサミがゆっくりと詩子の方に向かう・・・・これはヤバイか!? オレの中で葛藤が起こる。詩子を見捨て・・・茜のチョコをGETとするのか。 あるいは詩子を助け、競争を続行するのか。 ああーーーーーどうすればいいんだあああああ!!!!!!七瀬ならまよわず見捨てるのに・・・・。(おい) 「こ、来ないで・・・・。」 下を見ると・・・・詩子が半泣きになっている!?虫は嫌いなのか?(そう言う問題では無いぞ) くっ、なんかよくわからんが・・・こいつの泣き顔だけは見たくない! 「詩子!手を掴め!」 オレは、不自由な体制から何とか手を詩子の方に延ばす。 「折原君!?」 詩子は驚きながらも・・・・オレの手を掴んだ。オレは詩子を全力で持ち上げた。 ・・・・・・・・・・ 「ああ・・・・怖かった♪」 踊り場まで助け上げられた詩子は・・・・・以外とあっさりしていた。 「お前・・・・アリ地獄が怖くて泣きかけたんじゃなかったのか?」 「違うよ。」 「じゃあ・・・・なんでだよ。」 「・・・・あのハサミが目の前に迫った時、”もう茜のチョコは食べられないのね”って思ったら・・・・涙が出てきたのよね♪」 詩子はにこにこしながら答えた。 「その位で泣くなあああーーーーーー!!!!!!」 とりあえず・・・・・・・突っ込んでおいた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− そして・・・・日曜日。バレンタインデー。 オレはチョコをかじっている。・・・・・・詩子のだ。 「茜のチョコの代わりに・・・・しーこさんの義理チョコをあげる。」 そう・・・・勝ったのは詩子だ。 結局オレは勝ちを詩子に譲った・・・・・茜のチョコの為に泣かれては・・・・譲るしかないわ。 オレっていい奴だな。(自分で言うな) 「しかし・・・・このチョコ、義理な割には・・・・やたら豪華だな。」 オレはそう呟くと・・・・・残りのチョコをぽいっと口に入れた。ん?箱の下になんか張ってあるな。何だ? そこには・・・・詩子のメッセージが書いてあった。 『義理じゃないよ♪ byしーこさん』 ・・・・・・素直じゃないねえ。オレ達。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− その頃の関係者の皆さんは・・・・・・。 「ふっふっふっ・・・・僕の”チョコ”を受け取って欲しいな、折原君。」 シュン運転の一トン積みトラックが・・・静かに発進していった。 その後の折原家がどうなったか・・・言うまでもない。(激爆) 「・・・・浩平にチョコレート渡すの・・・・忘れてました。・・・詩子なら食べてくれるでしょうか?」 茜ちゃんのチョコはそうなったのね。 「・・・・誰も来ないのは何故なんだあああああああ!!!!!!」 病院の一室で南君が叫んでいた・・・・・・・。 「雪ちゃん・・・・今年も誰にもチョコあげないの?」 「・・・シュン君のせいでお金が無いのよ・・・・しくしく。」 いつも通りの深山&みさきの先輩コンビだった。 ”バレンタインの奇跡&悪夢” 完 (確かにそうだけど・・・・) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ポン太「おお!?書き終わってみれば詩子SSか!?(違う)」 雪ちゃん「私の出番・・・・このSSでも少なくなってきてるけど・・・・・。」 ポン太「ちゃんと後で書くよ。”雪ちゃん専門SS作家”の名にかけて!」 雪ちゃん「それ・・・・久しぶりに聞いたわね。」 ポン太「しかし・・・自分で書いといて何だが・・・・ギャグ少ないねえ。」 雪ちゃん「壊れるよりはましかもね。」 ポン太「まあ、第二章であれだけ暴走したから・・・・外伝がほのぼのしてもいいでしょう。」 裏ポン太「ところで・・・・本編と時系列合ってないような気がしますが・・・・?(バレンタイン2回あるし・・・・。)」 ポン太「本編は本編、外伝は外伝で違う時間の流れなのさっ♪( ̄∇ ̄)」 雪ちゃん「すっごくいい加減だわ・・・・。」 ポン太「では今日はこのくらいで・・・・。」 雪ちゃん「次のUPは月曜日・・・・ね。」 裏ポン太「では皆さん。」 3人「またね〜〜〜。」 1999.2.13