待ち人 投稿者:変身動物ポン太



『高台の公園、わかるよな?』

・・・・勝手だったあいつ

『じゃあ、待ってるからな』

待ってるのは・・・・あいつじゃなくて、あたし

『すぐそれ着て、来てくれよな』

誰も覚えてない・・・・あいつ

『じゃあな』

最後の言葉は・・・・それだけ



あたしは今日もこの公園で待っている。
なんでかな・・・・信じてるのかな、あいつのこと。

そんなあたしを、みんな奇異な目で見ていく。

『なにか妄想癖でもあるのかしら・・・・・』
くっ・・・・ほっといてよっ・・・・何も分かんない癖に!
そうよ・・・誰も覚えてないんだから・・・・あいつの事。

やかましくて、勝手で、自己中で・・・・・でも・・・・・好きだったのよ!

「はあっ・・・・・・・・・。」


うくっ・・・・何やってるんだろうなぁ、あたし・・・
心の中で怒鳴って・・・・ため息をつく。何回同じ事を繰り返しただろう。

長いよ・・・・長すぎるよ・・・・。
・・・・もう待てないよ。限界・・・・・。

あたしの中に、そんな気持ちが芽生え初めた時の事・・・・・。



ふと気づくと誰かがあたしを見ていた。
くっ・・・また冷やかしとか悪口じゃないでしょうね。

「・・・・・・・・えっ?」

振り返ったあたしの視界に映ったのは・・・・・一人のクラスメイト。

確か・・・・里村さん、だっけ。
静かな雰囲気と綺麗な顔立ち・・・・あいつは、フランス人形のような雰囲気があるって言ってわよね。

・・・・彼女も、あたしの噂聞きつけて来たのかな・・・・・。
『七瀬さん、帰った方がいいよ〜〜』
長森さんがそうだったわね。心配してきてくれんたんだ・・・。
でも、里村さんの表情はそんな感じじゃない。哀れんでるのでもないし、かと言って見下してるような感じでもない。
強いて言えば・・・・分かんないわ。今まであたしを見ていた人には無かった表情だから・・・・。

「な、なに?里村さん?」
なんかおどおどして聞くあたし。
彼女は静かに口を開いた。


「あなたも・・・・待ってるんですか?」
「えっ・・・・・?」


驚いた・・・・今まであたしに声を掛けた人で、あたしが”誰かを待っている”って見抜いた人は・・・・居なかったから。

「な、なんで分かるのよ・・・・あたしが・・・・待ってるって事。」
「・・・・・見えたから。」
「な、何が?」
「・・・七瀬さんの中に私が見えたから・・・・・同じに見えたから。」

同じ・・・・・?
「何が同じって・・・・あっ!?」
あたしの中にある光景が・・・・・・浮かんだ。

雨の中・・・・他に誰もいない空き地で・・・・・・。

ずっと前に一度だけ見たことがある・・・・あいつに聞いて。


「里村さん・・・・あなた・・・・ひょっとして。」
「はい。」
彼女にも居たんだ・・・・皆が忘れた”待ち人”が。


それから少しの間・・・・・里村さんと話した。
あいつではない・・・・だけど誰も覚えてない・・・・あいつと同じ人の事。
そして・・・・彼女は待つ場所を奪われ・・・・”待ち人”は未だに帰ってこないという事。


話していく内に・・・・あたしの中では不安が広がっていった。

あいつも・・・里村さんの言う”彼”のようにずっと帰ってこないのではないか・・・・・と。
そんなこと・・・・嫌よ。


暗くなってきたので・・・・あたし達は帰ることにした。
あたしは・・・・沈んだ表情で里村さんにさよならを言おうとした、その時だった。


「あなたの”待ち人”は・・・・ここに来るって言ったんですよね。」
里村さんがそう言った。あたしが力無く頷くと、彼女は。
「・・・羨ましいです。」
と言った。・・・・何が羨ましいの?同じじゃないの?と、あたしが聞くと。

「私の”待ち人”そんな事・・・・そんな希望の持てる事・・・・言い残してませんから・・・・とても・・・羨ましいです。」
里村さんはそう言った。そしてこう続けた。

ごめんなさい、同じでは無かったですね・・・・・と。


『じゃあ、待ってるからな』
・・・・あいつが言い残したセリフ・・・・それだけなのに・・・・・。


気がつくと周りはすっかり暗くなっていた。・・・・あたしは一人だった。
「夢・・・・?」
よく・・・・分からなかった・・・・。


里村さん・・・・待ってるのは私も同じ・・・・違うのは”待ち人”。


後少し・・・・もう少しだけ・・・・待ってみよう。
あたしは・・・・そう心に決めた。


「里村さん・・・・あなたもまだ待つの・・・?」
誰もいなくなった公園にあたしの声が吸い込まれていった・・・・・・・・・。


END
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ポン太「・・・・茜様、御免なさい。m(_ _)m」
雪ちゃん「いきなり土下座は・・・・・(汗)」
ポン太「ううっ・・・・だって茜様不幸なまんまだも〜〜ん。」
雪ちゃん「仕方ないでしょ、茜シナリオじゃないんだから。」
ポン太「と、言うわけでシナリオ中での”待つ描写のあるヒロイン”七瀬&茜様のSSです。」
雪ちゃん「初めは同じと思って書いてみたら・・・違うのよね。」
ポン太「うむ、全然違うんだな。これが。」
雪ちゃん「最後が終わって無いみたいな終わり方なんだけど・・・・・。」
ポン太「それが狙いなんです。( ̄∇ ̄)」

裏ポン太「で、短編2連発って・・・うわあああああああ!!!」
がきっどがっべきっ!
ポン太「言ってはならんことをぺらぺらと・・・・ギャグならともかく、シリアス2連発なんて私に書けるかああああ!!!!あ、ギャグが簡単って言う訳じゃあないんです、あしからず。」
雪ちゃん「短編ギャグはもう書いてあるのよね、一本だけど。」
ポン太「だからと言って・・・・シリアスの後にギャグ入れるわけにはいかんでしょ。しかも同じ七瀬ネタ・・・・。(^^;;;」

雪ちゃん「で、次のUPは明日・・・ね。」
ポン太「うー、疲れたですぅ〜最近忙しくて・・・・・あうあう。」
裏ポン太(重傷)「では、皆様。」

三人「またね〜〜〜。」

1999.2.12