喧噪と泡沫のなかで、日々は人の胸の中を通り過ぎていく・・・・・。
普通ならそう・・・・ではある。
だが今は違う・・・・・・少なくとも彼の中では。
彼は思う。
オレは・・・・・何してるんだろう・・・・・と。
しかし、彼はまた・・・・・声を掛けるのだった。
「繭!・・・・たまにはてりやきバーガー奢ってやろうか?」
「うん!」
・・・・・・・素直に頷いてくれる繭に、少し嬉しい折原浩平17歳であった・・・・・・。
第三話 ”賭けと乙女とバカ女”
三日目
・・・・・クラス内はかなりの盛り上がりだな。
・・・・・向こうで、女子数人に昼飯を奢ると声を掛けているのは・・・・南森か。
さすがに独自のルートを持っているだけ有って、今日も接待攻勢か・・・・・。
その他の男子どもも、誰かしらの女子に声を掛けているな・・・・・オレもだけど。
とにかく今日は何か異常だ。
原因はただ一つ・・・・明日の昼に中間発表が張り出されるからだ。
詩子の奴・・・・校内掲示板に張るとか言ってるからな・・・・。
そう言えば昨日から住井の姿も見かけない・・・・この男子人気投票に関係あるのだろうか?
とりあえず、オレは七瀬に声を掛けてみる。
「お〜〜い、七瀬〜〜。お前はいつものように錦ノ海に一票を投じるのか?」
「投じるかっ!」
凄い顔してこっちを振り向く七瀬。
手に投票用紙を持っているところを見ると・・・・・これから記入するつもりなのだろうか?
「他愛ない人気投票にも儚げに悩む・・・・・乙女にしか成せない事よ。」
さすが乙女研究家の大家(乙女本人ではない)・・・・こんな時でもそれをやっているとは・・・・。
「で、誰に入れるんだ?」
「・・・・・・まだ決めてないわ。」
「オレなんかどうだ?」
「・・・・・・絶対嫌。」
ちっ、昨日キムチラーメン奢ったのは無駄になったか。
「ふ〜〜〜ん。七瀬さんは折原君には入れないのね。」
うっ、この声は・・・・・・。
「出たわね、バカ女。今日は取り巻きは居ないのね。」
「・・・・・ひどい言い方ね。猫っかぶり女さん。」
オレ達に声を掛けてきたのは広瀬真希・・・・・七瀬とはなにかと因縁のある奴だ。
こんな軽口を言い合えるまで仲良くなっているとは・・・・・・お父さんは嬉しいぞ♪
「誰がお父さんなんじゃい!」
「・・・・私は七瀬さんと仲良くした覚えはないわよ。」
すかさず怒る七瀬と、ふふんとした態度で返す広瀬・・・・・けっこう良いコンビだと思うのはオレだけか?
「で、何の用なの?」
「七瀬さんは折原君に入れない・・・・・と言うことは彼が一位に成れないと思ってるからでしょ?」
「こいつが一位に成れるわけ無いでしょ。」
すいぶんな言い方だな・・・・七瀬。広瀬は一瞬ムッとしたようだったが・・・・続けて言った。
「だから・・・・賭けしない?私は折原君に賭けるって言うことで。」
おいおい、いきなり何を言い出す!?
だが・・・・七瀬はやはり七瀬だった。
「いいわよ。・・・・私は・・・・。」
やはり賭けに乗ったか・・・・。その七瀬はその辺を少し見回して・・・・・・言った。
「住井君に賭けるわよ・・・・・で、何賭けるのよ?」
「それはね・・・・・。」
オレを無視して話は進んでいるようなので・・・・・オレは静かに教室を出た。
やれやれ・・・・偉いことになったもんだな。
その時だった。オレの首に一気に体重が掛かった。
ぐえっ!?こ、これは・・・・・!?
「澪か!」
『こんにちわなの』
首に巻き付いた腕を振りほどいて振り向くと・・・・やはり澪がそこに居た。
「どうした、澪?なんか用事でもあるのか?」
『あのね』
『参加するの』
参加って・・・・・まさか?
『先輩のクラスの人気投票に”参加するの”』
・・・・・それって。
青ざめたオレの前に澪がにこにこしながら・・・・ある物を見せた。
「詩子めええぇぇぇぇーーーーー!!!他学年まで投票用紙バラまいたなあああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!!!」
叫び続けるオレに、澪がトドメの一撃を放った。
『先輩に一票いれるからお寿司奢ってなの』
・・・・今月のオレの小遣いは無くなった。
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そして、男子人気投票本部にて。
「どんどん集まって来てるわね・・・・票が。」
「さすがに他のクラスや学年にまで、投票用紙をばらまいた甲斐があったわね♪」
「さて、第一次集計に入らないと・・・柚木さん、口が堅そうな人・・・応援に呼んできてくれる?」
「・・・・ワッフルで一人呼べるよ。」
「・・・・その子って・・・・ワッフルで秘密バラシそうなんだけど・・・・・。」
「そうかもね♪」
「・・・・・。」
いよいよ明日・・・・四日目は中間発表の日である。
第三話 完
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ポン太「・・・・全五話のつもりだったが・・・・もう少し長くなりそうだな。」
雪ちゃん「一日一話になってるからね。」
ポン太「3月はあまり大学に来られないんだけどな・・・・ま、続きは気長に待ってくださいな♪」
雪ちゃん「大丈夫。ポン太のSS待ってる人居ないから。」
ポン太「・・・・・ううっ。」
ポン太「今日は書くこと無いんでここまで。」
雪ちゃん「明日は・・・UP出来るかしら?」
裏ポン太「出たとこ勝負でいっ!では皆様。」
3人「またね〜〜〜。」
1999.3.1