チチチチチチチチチ・・・・
スズメ達のさえずりが、彼に朝を運んでくる・・・・。
彼はパソコンの電源を切ると、ゆっくりと朝の食卓へ向かう・・・・・・。
その表情は疲労で疲れ切っている・・・・が目だけはギラついている。
そして、一言つぶやく・・・。
「むう・・・・・俺の情報網にも捉えられないとは・・・・・何奴だ?」
彼−住井護は、この男子人気投票の黒幕を探し出すことに執念を燃やしていた・・・・・。
第二話 ”南”
二日目
「やれやれ・・・・偉いことになったな・・・。」
里村茜の席の前に座る、という羨ましい男・・・・・・南明義はそう言ってため息をついた。
このため息はもちろん今行われているイベント−男子人気投票に向けて放たれた物である。
彼にはこのイベントについて悩みがある。
彼の周りでは
何やら円陣を組んで妖しげな会議をしている男ども。
ブツブツと何かの妄想に耽っている男子生徒。
人気投票の話題で会話に花を咲かせる女子。
そして・・・・・・・。
「はい、これ投票用紙ね。一人一枚だよ〜♪書いたら私の所まで持ってきてね〜♪」
『男子人気投票広報』のワッペンをはめた詩子が、投票用紙を女子に配っている光景なんかがあったりする。
お祭り女の本領発揮と言ったところだろうか。(お祭り女って・・・・誰が決めたねん)
「あの〜・・・・柚木さん?」
彼は悩みに関係ある質問をしようと詩子を呼び止める。
「なに?明義君?」
南は、ちゃんと名前で呼ばれた事に多少感動を覚えながらも詩子に聞いた。
「この投票の結果って、男子は教えて貰えるのかなーっと思って・・・。あと・・・。」
「教えてあげるけど?」
詩子はあっさりとそう言った。
「どっちみち・・・・中間発表と最終発表は校内に張り出すけどね♪」
こう付け加えて。
「校内に張り出すなああああぁぁぁぁーーーーー!!!!!」
南明義は、叫んだ折原浩平が「うるさいわよ!」と、七瀬留美に窓の外へ蹴り飛ばされるのを目撃した。
・・・・・・・
「はあっ・・・・。」
南明義はそんなこんなでため息をつき続けている。
先ほどの質問では彼の満足な回答は得られなかったのだ。
そう・・・・彼の知りたかったのは投票の結果の”中身”だったのである。その”中身”とは・・・・
里村茜は誰に投票するか?・・・・と言うことだ。
つまり彼の悩みは・・・・・・里村茜の票をGET出来るかどうかなのである。
早い話、それだけかなえば彼は一位になろうが最下位になろうが関係ないのである。
だが・・・・
「茜さん本人に『誰に入れるの?』って聞くわけには行かないし・・・・・どうしよう。」
彼は今回ばかりは弱気になっている。告白回数327回を誇る彼には珍しいことではあるが。
「そうか、こういう場合はあいつに聞くのが一番だな。」
そう言って彼は、机の上で一心不乱にノートパソコンで何かやっている男・・・・・住井護の方に視線を向けた。
だが・・・・・・・・。
「わからああああぁぁぁぁぁぁん!!!!ふがぐぶっ!!??」
住井は突然吐血して倒れた。・・・・・・昨夜から、この投票の黒幕を徹夜で探したなれの果てである。(徹夜は体力に余裕のある時にやりましょう)
あっさりと住井は保健室に運ばれていった・・・・・・。
「・・・・・何かよく分からんが、俺は情報収集源を失ったと言うことか?」
南は呆然としてその光景を見ていた。・・・・そして再び思考モードになる。
悩み続ける彼は、ちらっと自分の後ろの茜の席を見る。そして・・・・・・。
「そうだっ!」
突然、彼は天から啓示を受けたように(こ奴はモー◯か)ある事を思いついた!
「茜さんが誰に入れるかを知る必要なんか無いんだ!要は茜さんが俺に票を入れるように仕向ければ良いんだああああああぁぁぁーーーー!!!!」
絶叫する南明義、17歳。
「茜さんが俺に票を入れてくれるためには・・・・・・まず!」
南君の目がキラッと光った。
・・・・・・・・・
「ふはははははははははは!折原浩平!天に変わってこの南明義が成敗してくれるわ!」
その日の放課後、下校しようとした浩平を南君が急襲した。
思いついた事って・・・・・・闇討ちかい!
しかし・・・・南君は不幸だった。何故なら・・・・・・・。
「・・・・乙女の今日のパートナーになにするつもりよ!」
「げっ!?七瀬さんが何でここに!?」
久しぶりに浩平が七瀬を誘っていたからだった。無論、浩平の投票対策だろう。
「・・・・七瀬、乙女の見せ場だ!」
「おっけー、折原!行くわよ!」
「ひいいいい!????」
「「『外道&乙女乱舞』ぅぅぅぅぅーーーーーー!!!」」
ドカッ、バキッ、グキッ、ズドドドドド!!!
「ぎやあああぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!」
合唱
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その頃・・・・・学校内「男子人気投票本部」。
「これが今日届いた、記念すべき第一票目よ。」
「誰なの?」
「えーっとね・・・・。」
詩子の手が投票用紙をめくる。
パラッ
『髭』
「・・・・・・予想どおりだね♪」
「何でよおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
本部に黒幕の絶叫が響いた。
第二話 完
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ポン太「うむ、後半ギャグ入って良かった。前半あまりにギャグ少なかったからヒヤヒヤしてたからな。」
雪ちゃん「・・・・ポン太って、ギャグとシリアスしか書かないわよね。」
ポン太「・・・・・ほのぼのやダークは苦手な部類・・・・かな?」
雪ちゃん「で、黒幕って・・・・誰?」
ポン太「みんなも予想してみよう!」
雪ちゃん「・・・・・また無責任なことを。」
ポン太「やっとインフルエンザから立ち直った・・・・・流行が終わったと思って油断していたのがいけなかったのか・・・・・。」
雪ちゃん「直ったんだから良いでしょ。はい、続き書く。・・・・3月満足に大学来られるか分かんないんでしょ?」
ポン太「・・・・病み上がりの作者にそゆこと言うのね・・・・・いいもん、雪ちゃん出すから。」
雪ちゃん「・・・・普通は出さないって言うんじゃないの?」
ポン太「”プロフェッサー雪ちゃん”で出してやる・・・・・・。」
雪ちゃん「・・・・・嫌です。」
ポン太「じゃ、今日はここまで。」
雪ちゃん「次のUPは・・・不明ね、・・・・はあ。」
裏ポン太「もちっと出番くれ・・・(泣)」
3人「またね〜〜〜。」
1999.2.26