激突!! 第二章 (最終話) 投稿者: 変身動物ポン太
僕の目の前には、日常では有り得ない光景が広がっている。

怪物・・・・・としか表現できない暴走ハムスターこと”主”の巨大メカ。

自称乙女の女生徒を模した巨大メカ。

この二体が睨み合っている・・・・・・これが日常だという奴は折原ぐらいだろう。

そして・・・・・戦いの幕は斬って落とされた。

「きゅいーーーーーーーーーーん。」
「なめないでよ!私は七瀬なんだよーーーーーーーー!」

そして二体の放った爆炎は僕の体を吹き飛ばした・・・・・。


「南・・・・・吹き飛ばされたな。」
「・・・・・誰ですか、その人。」


最終話 ”決着!!”

「うおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
乙女とは思えない声を挙げて、人造人間ルミちゃんFXは突進する!
「きゅいーーーーーーーーーん!!!!!」
その突進を”主”が受け止める!

ガシィーーーーン!

二体の巨大メカは真っ正面から組み合う・・・・手の短い”主”が何故組み合えるのか・・・・謎だ。
「微笑ましいです。」
茜の感想・・・・確かに傍目から見れば、2頭身の七瀬と”可愛い”主のじゃれ合いに見えないこともない。

「うーーーん、きっと本物の七瀬も喜んでいるに違いない。」
「んなわけないでしょうがあああああああああああ!!!!!!」

ががーん!

「・・・・ふっ、いい真空飛び膝蹴りだ。お父さんは嬉しいぞ。」
「何でよ!」

げしっ

「・・・・・・・久しぶりだな、七瀬。」
「何であんなもんが居るのよ!」
七瀬が、人造人間ルミちゃんFXと”主”を指さしながら言う。
「・・・・可愛いから。」
「理由になってなあーーーーーーーーい!」

ごきっ

・・・・言ったのは茜なんだが・・・・何故にオレを殴る?
「美少女を殴らず、ばかばか星人を殴る・・・・乙女でしか成せない技よ。」
「・・・・おい。」
オレが七瀬に何か言ってやろうとしたとき、茜が静かに言った。

「何か言い合いしてます。」
言い合い?・・・・何がだ?
その声は風に乗って・・・・・オレ達の所まで聞こえてきていた。


「私に勝てると思ってるのかしら・・・・・弟子の分際で。」
グアーーーーン!
「・・・・もう俺はあんたの弟子だった頃の南森じゃない!」
ズドドーーーン!
「たいして・・・・変わってないくせに、あの頃と。」
グシャッ!
「うるさい!俺はあんたを・・・・・プロフェッサー雪ちゃんを越えてやる!」
バキッ!
「出来る物ならやってみなさい!」
ガガーーーーン!

・・・・あの二人って。
「師弟ゲンカだったのか・・・・・この戦い。」
「・・・・・凄く迷惑な師弟ゲンカです。」
「同感だわ。」
オレ達はしばらく世界一迷惑な師弟ゲンカを見ていた・・・・・・・ん?何か忘れてることがあったような?

「みゅ〜!」
あ、繭の事忘れてた。繭のほうを向いたオレ達の目に写った物は・・・・・・。

「はっはっは!”能力者”はこの高槻様が頂いて行くぞ!」
繭を抱えた高槻が、生き残っていた地下通路へ逃げていく。
「しまった!追うぞ、七瀬!」
「ラジャーーー!」
オレと七瀬は高槻を追った!

「やっぱり”アレ”は可愛いです。」
・・・・・・・茜だけがその場に残った。(追いかけんかい!)

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「待てやあぁぁーーーーー!!!!!!」
「・・・・七瀬、怖いぞ。」
しかし高槻はあっと言う間に通路の奥へ逃げてしまった。その先は迷路のようになっている。
「ちっ、逃がしたわ。」
「・・・・迂闊だったな。」
だが、奴の居場所は恐ろしく簡単に解った。

『・・・・高槻はコントロールルームに居ると思います。』
茜だった。
「・・・・何で解るんだ?茜。」
『カンです』
・・・・・そうですか。所で無線機は何処にあったんだろ?
「考えたら負けよ。折原。」
七瀬はさっさと行ってしまう。・・・・・それでいいのか?
『いいんです』
茜・・・何度も言うようだが、人の心を読むのは止めてくれ。
『嫌です』
・・・・・・。


オレと七瀬はコントロールルームの前に着いた。
「突っ込むわよ!」
「おう!」
七瀬はドアの前で特殊木刀を構える。
「はあああああああ!」

一閃!

ドアは粉々に砕け散った!さすが七瀬だ。
「おっと・・・近づかないで貰おう。」
高槻の声がした。
「うるさいわよ!」
七瀬が木刀を構える。だが、コントロールルームの中を覗き込んで動きが止まった。
オレも中を見てみる。
「うっ!」
七瀬の動きが止まった訳が分かった。

さっきと同じように繭が妙な機械に埋もれていて・・・・・高槻が何かキーボードのような物を持っていたからだ。
繭は眠っているのか・・・・目を閉じたままだ。
「はっはっは!これが”能力者”の力を増幅する装置の完成版だ!」
高槻が笑いながらそう叫ぶ。
「言っておくが・・・・自爆装置も兼ねているので近づかない方がいいぞ。」
・・・・ちっ、これでは近づけないわけだ。

「では・・・・改めて世界中の主要都市を壊滅させるとしよう。」
そう言いながら高槻がキーボードを叩く。すると、向こうにあったスクリーンに東京やニューヨークなどの映像が映る。
やばい・・・・このままでは・・・・。
「このSSがシリアスになってしまう!」
「アホかああああああああ!!!!」
がすごすげしっ!

・・・・・冗談だよ。

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「なかなか勝負がつかないです。」
茜の言うとおり・・・・巨大メカ同士の戦闘はまだ続いていた。

「おりゃあああああ!」
人造人間ルミちゃんFXのロケットパンチ改が”主”にヒットする!
さすがにこれは効いたのか”主”が後ろに下がる。
しかし、その隙を逃すようなルミちゃん&ドクター南森では無い。
「今だああああああ!!!」
ルミちゃんが全身からビーム・ミサイル・ロケットパンチを一斉発射した!

ドガゴゴゴーーーーーーン

全弾喰らった”主”は大きく傾いて仰け反った。・・・・・ピンチか!?
とどめを刺すべくルミちゃんはダッシュする!
中に乗っているドクター南森も興奮気味だ!
「ふはははははは!やはり勝つのはこの俺だああああああ!!」

しかし・・・・”主”の操縦席でプロフェッサー雪ちゃんは余裕の笑みを見せていた。
「力任せ・・・・だから南森君は甘いのよ。」
そう言うと・・・手にした無線機にこう告げる。
「今よ・・・シュン君」

人造人間ルミちゃんが”主”にトドメのパンチを喰らわせようとした時・・・・・それは起こった。
いきなり何もない筈の地面から、巨大なパンチが飛び出したのだ!

ゴイィィィィーーーーン

ルミちゃんの頭にそれはクリティカルヒットした!
さらにもう一発。

ガイィィィィーーーーン

もうルミちゃんはふらふらだ。
ドクター南森が呻く。
「バカな・・・・ここにまで彼女の”罠”があるわけが・・・あるわけが・・・。」

バキイィィィィーーーーン
トドメの一発が炸裂する!
たまらずルミちゃんは地面に倒れ込む・・・・・そこに悠然と”主”が歩み寄る。
「・・・・終わりよ。」
プロフェッサー雪ちゃんの無情なセリフと共に”主”はルミちゃん目掛けて口から火炎放射した!

ゴオオオオオオオオオオオ!

哀れ、人造人間ルミちゃんは丸焼けになった・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・

「ようやく終わったね。」
シュンが笑顔でその光景を見ている。裏方の満足、と言うところだろうか。
「さて・・・・・あとは折原君達しだいだね。」

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近寄ることの出来ないオレ達の前で、高槻がデータ入力を終了させる。
「はっはっはっはっ!データのインプットは終わったぞ!後はこのボタンを押すだけだ!」
・・・・わざわざ教えるところがバカだな、こいつは。
しかし・・・・どうすればいいんだ。せめて繭が目を覚ましてくれれば・・・・・・。

「繭!てりやきバーガーたくさんあげるから起きて!」
七瀬が叫ぶ!しかし・・・・繭は起きない。
「無駄だ!何を叫ぼうが・・・”能力者”は起きないのだあああああ!!!!」
高槻が一々反応する・・・うるさい。

しかし・・・・てりやきバーガーにも反応しないとは。と、言うことは七瀬のおさげでも駄目だろうな。
うう・・・・こういう時にはどうすれば・・・はっ!

昨日読んだ小説の一説が頭の中をよぎる。
『ピンチの時ほどチャンスはたくさん来る物だ』
・・・・・ホントか?
だが・・・・チャンスはホントに訪れたのだった。

ヒュンッ!

「えっ!?」
「なにっ!?」
何かが飛来した・・・ように見えた。

グシャッ!
「ぐほおおお・・・・。」
高槻の顔面に”何か”が当たり・・・・・手からキーボードが落ちる。

一瞬七瀬がオレに目配せする。チャンス到来・・・だな。
「ロ◯&シ◯コンビイィィィィィィィィム!!!」
「はっ!?・・・ぐあああああああ!!!!」
オレの手から放たれた原理不明の光線が高槻を捉える!

「ぐっ・・・・はっ!?」
「くっくっくっ・・・よくも乙女を弄んでくれたわね・・・。」
ぼろくずのようになった高槻の前に・・・・・七瀬が立った。
「ま、待ってくれ・・・か、金なら・・・」
「問答無用!七瀬流剣術最終奥義!”断空爆殺乙女切り零式”!!!!!!!」

グガドカアアアアァァァァーーーン

高槻は七瀬の奥義で吹き飛ばされる!あ、壁をぶち抜いて消えた・・・・・お星様になったな。
オレはすぐに繭を機械から救い出す。

勝負は一瞬で決した・・・・かに見えた。

 ・・・・・・・・

「みゅ〜〜♪」
自由になった繭が、オレと七瀬に飛びついてくる。
七瀬ははっとしておさげを”両手”で押さえる・・・・手から木刀が落ちる。その下には・・・・。

高槻のキーボードがあったりして。

ピッ

落ちた木刀はキーボードのキーを押していた。
オレと七瀬は・・・・青い顔で”装置”を見た。

ういぃぃぃぃぃぃぃぃん

装置は稼働した。
オレ達が今までやってきた事って一体・・・・・・・・。

「・・・・・どうしよう七瀬。地球上がハンバーガーだらけになるぞ。」
「・・・・分からないわ、折原。」
「ほえ?」
そしてオレ達はスクリーンを見た・・・・・・そして。

「「へっ!?」」
「みゅ〜〜♪」
オレと七瀬は驚き・・・・繭は喜んだ。

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いつもは無表情な街並み・・・・・しかしこの日は違った。

空から降る小さな白い妖精達――雪・・・・・・それだけでない。

もう一つ降る物があった・・・・・・それは。

色とりどりにラッピングされた物・・・・・・ハートの形や四角い形。

ゆっくりと・・・・ゆっくりと街へ降り注ぐ。そして・・・・

静かに街の色を変えていく・・・・・・・。

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「壊滅はしてないけど・・・・何なのよ、これ。」
七瀬が呆然としてスクリーンを見つめる。
「これは・・・・・ん?繭、どうした?」
いつのまにかオレの前に、繭が立っていた。

繭は・・・・オレの手に小さな包みを渡して言った。

「・・・・バレンタインデーのチョコレート・・・。」

・・・・・・バレンタイン?

あ、そうだったな。もうそんな季節だった。
しかし・・・・繭がオレにチョコをくれるなんて・・・・成長してんだな・・・色んなとこで。
じーーーーーっと、繭はオレの顔を見ている。

「あ、ありがとう。」
な、なんでオレは照れてるんだ。しかしオレの返事に繭はニコッと笑みを見せた。
「みゅ〜〜♪」
オレに飛び付いてくる。オレは繭を抱き留めてやりながら・・・・もう一度画面を見た。
街は・・・・・チョコレートで埋もれていく・・・・。

気まぐれな天使の・・・・世界一迷惑で素敵なバレンタインの贈り物・・・・・だな。

そんな事を思いながら・・・・・オレは繭を抱きしめていた。

 ・・・・・・・

「あーあ、良くやるわね・・・・私の目の前で。」
七瀬が少し離れたところで見ている。
そして廊下の方に目をやり・・・・ビッと親指を立てて突き出した。
「師匠・・・・見ててくれた!?」

 ・・・・・・・

「・・・・繭、一人でバレンタインのプレゼントをするなんて・・・・成長したのね。」
その廊下には華穂さんが居て・・・・感動していた。
「華穂・・・・貴女もやっぱり母親なのね。」
何故か由起子さんも居たりする。
「由起子だって・・・・浩平さんの事が心配なんでしょ。」
「当たり前よ、浩平は私の大切な”息子”ですから。」
ふふっ、と二人は笑う。
「さて・・・・浩平は繭ちゃんとどうなるのかしらね。」
「それは・・・・二人が選ぶことでしょ。」
二人の”母親”はそれぞれの自分の子供を・・・・温かい目で見続けていた。(七瀬・・・・気づかれて無いぞ)

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その頃・・・・・忘れられた者達は・・・・・。


”主”の操縦席でプロフェッサー雪ちゃんが画面を見ながら呟いている。
「・・・・結局、南森君の装置は不完全なままだったのね。にしても・・・・もうそんな季節だったのね。」
そう言ってニヤリと笑う。何か思いついたようだ・・・・・・。


「チョコレートの雨・・・・素敵です。」
茜がノートパソコンを覗き込んで喜んでいた。


「バレンタインデーか・・・・折原君は僕のチョコ受け取ってくれるかな。」
シュンは一人で妖しい妄想に浸っている・・・・(おいおい)


そして・・・お星様の二人も・・・。
「ああーーーーー!!!!!茜さあああああああああん!!!!!!!」
「無理だよ・・・茜は南君には振り向かないって・・・・と、いう所で私なんかどう?」
「えっ!?・・・どうって・・・。」
「私のこと・・・・嫌い?」
「え・・・柚木さんのこと・・・嫌いじゃないけど・・・・。」
「じゃあ、好きなのね!?」
「いや・・・そう言う事じゃなくて・・・・。」
島の沖合50キロでも・・・・恋の花が咲いていた♪


激突!!第二章  END
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ポン太「長かったああああああーーーー!!!!でもやっと終わり♪」
雪ちゃん「なんか・・・最後の方、思いっきりほのぼのしてるけど・・・・・。」
ポン太「ふっ・・・バイオレンスで始まり、ジェノサイドな展開が続き、ほのぼので締めくくる。これが激突!!さ♪( ̄∇ ̄)(第一章もそうだった・・・読んでない人、リーフ図書館の更新を待て!)
雪ちゃん「・・・・しまらない終わり方だわ・・・・。」
ポン太「確かにそうかも・・・。( ̄∇ ̄;;;;」

ポン太「でも、”ONEの名前あり人物、全員出すぞ!”は成功しなかったな・・・・澪ちゃん出せなかった。(T‐T)。」
雪ちゃん「・・・・無理よ、その計画。」

裏ポン太「で、次からは何書くんですか?」
ポン太「とりあえず短編連発。シリアスもギャグも両方。」
雪ちゃん「長編は・・・・しばらくお休みね。」
ポン太「そーゆー事ですな。( ̄∇ ̄)」

雪ちゃん「この顔文字・・・・↑誰かのに似てるような気が・・・・。」
ポン太「気のせいです。」

ポン太「とりあえず・・・・明日は感想SSですな。」
雪ちゃん「今日はここまで。」
裏ポン太「ではでは、皆様。」

三人「またね〜〜〜。」

1999.2.9