激突!! 第二章 (第一話) 投稿者: 変身動物ポン太
チュンチュン・・・・スズメ達のたわむれる声、
日が上り始め、人々が起き始める時間・・・・。
一人の少女が学校の裏手に走っていく。

椎名繭の朝は早い。
「みゅー♪おはよー♪」
彼女は週に2回はここ・・・・・みゅーの墓にやってきている。
「今日はこのお花持ってきたんだよ〜」
どうやら、お供え物を持って来ているようだ。

もしここに浩平が居たら、
『繭・・・一人でこんな事が出来るようになったのか・・・・もう大人だな、お兄さんは嬉しいぞ♪』
とか言って、ここでは書けないような事をするに違いない。(んな訳ねえ!by浩平)


しかし、楽しそうに作業する彼女の後ろに・・・・黒い影がせまっていた。
「みゅっ?」
妖しい気配を感じ、振り向く繭・・・・その目に写った物は・・・・。

「みゅうううううううう!!!!!!!」

林の中に美少女の悲鳴がこだました・・・・・・・。


第一話 ”さらわれた能力者”


「今日は久しぶりにゆっくり行けるね。」
「ああ。」
オレと長森は、珍しくゆっくりと通学路を歩いている。
常に刺激を求める男−オレこと折原浩平にとっては多少退屈だが・・・・・むっ!?
オレは長森に耳打ちする。
「”浩平、前!!”って叫んでくれるか?」
「え?別にいいよ。浩平、前!!」
・・・・とりあえず、オレは動かない。・・・・これでオレの予想だと・・・・。

ずざああああああああああ!!!

「おおっ!七瀬、見事なヘッドスライディングだ。」
「な、七瀬さん・・・おはよう。」
オレと長森の前には、5メートルほど滑った自称乙女の七瀬が突っ伏していた。
「あ、あんたねえ・・・・なんで今日は突っ込んでこないのよ。」
「いやあ、たまには平和的なのもいいかなと。」
オレが突っ込まなかったから・・・・当然七瀬は止まれんわな。
「七瀬さん・・・・チャレンジャーなんだね。」
「長森さん!あなたもあんなこと言わないでよ!」

なんのことはない平和な朝・・・・・のはずだったが・・・・・・。
次のだよもん星人の一言が・・・オレをこの事件に引きずり込むことになった。

「あっ、そうだ。久しぶりに三人そろったんだから・・・裏山越えで学校行かない?」
今考えると、止めておいた方が良かったんだが・・・・その時のオレと七瀬は、

「そうだな、久しぶりだし。」
「今日は時間もあるから、ゆっくり歩けるし・・・いいわよ。」
なんて言ってしまったんだよな。

 ・・・・・・・・・

「うーん、ホントに久しぶりだな。」
「結構空気が綺麗なんだよね。」
「ぎゃー!ネズミの死骸がまだあるー!蜘蛛の巣にかかったあー!」
オレ達は学校裏の森の中を進んでいる。
「学校には早く着くし、七瀬は大喜びだし、良いことずくめの道だな。」
「そうだよね。」
「喜んでないわー!!って、長森さんも同意しないでよー!」
あれ?・・・・確かこの先は。
「”みゅー”のお墓があるんだもん。」
「ああ、そうだな。」
「”みゅー”のお墓?繭の言ってたフェレットの”みゅー”の?」
ああ、七瀬は知らなかったか。
「七瀬・・・お前は知らないと思うが、みゅーは繭を弾丸の雨からかばってだな・・・。」
「折原・・・いくら私でも、あんたが言ってる事が嘘だって分かるわよ。」
「浩平〜嘘はいけないんだよ。」
「嘘なもんか。現に繭が・・・・。」


ズガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!


オレの目の前を無数の”死”が通り過ぎた。
「・・・・・七瀬。みゅーの次はお前がオレ達をかばう番だ、頼むぞ。」
「するかああああ!って、本当に弾丸の雨がなんで振ってくるのよ!」
「あっ!繭ちゃんだよ!」
「「何!?」」
逃げようとしていたオレと七瀬は、長森の声に振り向く。

「みゅ〜!!!」
声がする方を見ると、繭がこっちに向かって走って来るのが視界に入ってきた。
「あっ、ホントだわ。」
七瀬が自分のおさげをさっと押さえた。
だが、繭の目は七瀬のおさげは見てなかった。それほど必死になって走っているようだ。
そして繭の後ろから現れたのは・・・・・

「・・・・・・南?」

そこにいたのは、茜命の男−南に間違いなかった。
「みゅー。」
繭がオレに抱きついてくる。うむ、泣かなかったのは偉いぞ、繭。
しかし・・・・何故に南が繭を追いかけるんだ?はっ!まさか・・・・。

「南・・・・いくら茜に通算298回振られているからって・・・・・繭を狙うなよ。」
「南君・・・この前、里村さんに無視されたのがそんなに辛かったんだね・・・。」
「南・・・あんたひょっとして・・・・・R?」(←Lだっけ?)
・・・・どうやら3人とも同じ事を思いついたらしい。

「違ううううううううぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
おっ、南が血の涙を流している。持っていたライフルを捨てて、苦悶してるな・・・。
「俺だってこんな事・・・・こんな事したくない。作者の陰謀で一人目の戦闘員にされただけなんだ・・・ううっ、茜さん一筋の俺が・・・。」
・・・・どうやら複雑な事情があるらしい。
「南君・・・ついに別の世界に行っちゃんたんだ・・・・。」
「ロ◯って、サイテーだわ。」
長森と七瀬・・・・人の話聞いてないし・・・・。

「南!繭の敵は乙女の敵!覚悟しなさい!」
グレかけてる南の前に七瀬が立ちふさがる!
「うう・・・・命令には逆らえん・・・いくぞ!」
そう言った南は・・・・素早く七瀬との間合いを詰めてくる!
「乙女をなめないで!」
七瀬が腕を高速で振る。と、その手の中に魔法のように木刀が出現した。凄い!手品師としても喰っていけるぞ!
そして七瀬と南の影が交錯した!
「はあっ!」
「があっ!」
ばきっ!

「!?」
「そんなバカな・・・・七瀬の一撃が見切られるなんて。」
七瀬の木刀は・・・完全に折られていた。そして折りとられた木刀は・・・南の手の中にあった。
オレは七瀬と毎朝激突してるから分かるが・・・・七瀬の腕はそんじょそこらの奴がかなう腕じゃないぞ。
それをあっさり見切るとは。

「ふっふっふ、いつも過酷な役周りで鍛えられている南様をなめるな・・・・まあ、今回はそれだけじゃないけどな・・・。」
南はこっちに向かってゆっくりと歩いてくる。
「くっ・・・・。」
七瀬がじりじりと後退する。オレ達も当然後ずさる。
七瀬が一瞬こっちに目配せを送る。オレも七瀬の方を見る。
・・・・考えてることは同じかよ・・・はあ、仕方ねえな。

「七瀬!後頼む!」
そう言って逃げようとしたオレの後頭部に、七瀬の乙女突き(途中から折れてるため、ギザギザが当たって痛いんですモード)がヒットする!
「・・・・さっきの目配せは”後は乙女の私にまかせて、美男子星人様は逃げて!”じゃなかったのか?」
「違うわあああああ!一緒に戦ってって言ってるのよ!・・・・それに美男子星人様って誰よ!」
・・・・ツッコミありがとう、七瀬。
仕方ない・・・・し切り直し・・・・っと。

「長森!繭を連れて逃げろ!」
「えっ!?浩平はどうするんだよ!?」
「あたし達はここで奴を倒して行くから・・・・そうよね、折原。」
オレは、にやりと不適な笑みを浮かべて言う
「南ごときに、主人公のオレがに逃げるわけにはいかんのだあああ!!」
「さっき逃げようとしたのは・・・・誰よ。」
七瀬の一言はとりあえず無視することにする。

「・・・そう言うことなら、逃げるんだもん!繭ちゃん来て!」
「みゅー・・・こうへい。」
繭はオレの方をじっと見つめていたが・・・・オレの目を見て納得したのか、長森と共に公園の方へ走っていった。
走っていく長森から声が響く。
「後で浩平と七瀬さんの骨は拾ってあげるんだもーーーーーん・・・・・。」
その声・・・・止めて。
「メチャメチャやる気削がれるわね・・・・。」
七瀬も同感らしい。

「うっ、逃げたな!」
南が長森達を追おうとしたが・・・・オレと七瀬が立ちはだかる。
「よくも、愛用の木刀折ってくれたわね・・・・。」
「南の分際でオレとやるつもりかよ。」
南は・・・
「ううっ、ホントは茜さんがいいんだああああああ!!」
不可解な絶叫と共に高く飛び上がった!
「うおっ!?」
その高さ、約10メートル!オレ達を飛び越えるつもりか!?
「逃がさないわよ!」
七瀬が木刀の破片を投げつける!その破片はあやまたず南の足にヒット!
南は空中でバランスをくずし、地面に叩き付けられる。

「もらったああああああ!!」
間髪入れずオレが飛びかかった。すぐに組み合いになる。
「茜さーーーーーん!」
「くっ、なんて力なんだよ!」
南の力は明らかにオレより上だった。と、いうより人間の物とは思えない力だった。
くっ、このままでは組み伏せられる!
・・・っていうか、こんなアホな絶叫してる奴に組み伏せられるのは嫌だ・・・貞操奪われそうで気持ち悪いわっ!
「折原っ!」
七瀬の悲鳴が上がる。ふっ、大丈夫だセニョリータ(何者だ、お前は)。
力は、奴の方が確かに上だが・・・・・。
「外道さでは・・・・どうかな!?」
「なにい!?」

びっ
南の顔前にある写真を突き出す。
「う、うおおおおおおおお!!!!茜さんの着替えだああああ!!」
完全に動きの止まる南。ふっ、他愛のない奴め。

ごいーーーーーん
「んぎゃあああああああああ!!!。」
奴の股間を蹴り上げる。当然、奴はオレから離れてもがいている。
「今だ、七瀬!奴は無防備だ!」
「あんまりやりたくなかったんだけど・・・・いくわよ・・・乙女必殺!”ジェノサイドバスター”!」
七瀬がきめっ!のポーズをとる。(自称、乙女のポーズ)そして彼女の両目から、青い光線が発射される!

ぐわあああああああああん

どさっ
まともに光線をくらった南は、吹っ飛んで倒れた。

「はあはあ、終わったわね・・・・この技がタメ無しで撃てたら、とっとと片が付いたんだけど。」
「タメ技だったのか・・・・その技。」
オレ達は倒れている南を見やる。
「踏みつけてみようかな・・・・・。」
「折原、それGOODよ。」
「その後で”プロフェッサー”の所へ連行して拷問して貰おう。」
そんな事を話してたのがいけなかった。

「きゃあああああああああ!」
公園の方から悲鳴・・・・・長森の声!?
「しまった!まだ居たか!」
「走るわよ!」
オレと七瀬は公園へ走った。


オレ達二人が公園に着いたとき、一機のヘリコプターが飛び立って行くところだった。
長森が下に倒れている。ヘリの中には・・・・繭の姿が!
「長森さん!」
「繭!」

バタバタバタバタバタバタバタ

ヘリは一気に飛び上がっていく。その機体には『T・A・K・A・T・U・K・I』の文字が・・・。
「くっそおおおおおおおお!まゆうううぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
オレ達の絶叫も虚しく、ヘリは飛んでいった・・・・・。

 ・・・・・・・・・

「はっ!繭!なんでそんな所に!」
家を抜け出した繭を、探しに出たその人物は偶然にもこの光景を目撃した!
「さらわれたの!?・・・・繭!必ず助けるわ!」


この偶然がこの物語に与える影響は・・・・・まだ解らない。


第一話 完
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ポン太「と、いう訳でやっと・・・激突!!第二章のUPだあああああ!!!」
雪ちゃん「初めに書いてた方はシリアスアクションだったのに、なんでギャグに走るのよ。」
ポン太「その方が面白い!・・・・だって書き直す前(シリアスな方ね)はつまんなかったもん。」
雪ちゃん「いいのかしら、これで・・・・そういえば激突!!第一章読んでない人・・・今回の題名とかストーリーが解らないと思うけど・・・いいの?」
ポン太「ああ、それは次の第二話で今までの”激突!!”シリーズのおさらいみたいな事も書くから、それで解ると思うよ。」
裏ポン太「プロフェッサー雪ちゃんの説明も書くそうです。」
雪ちゃん「ふーん。考えてるんだ・・・一応。」
ポン太「一応って・・・。」

雪ちゃん「今回はちゃんと構成考えたでしょうね?」
ポン太「あう、何とかね。」
雪ちゃん「ホントに大丈夫かな。」

ポン太「と、言うわけで今日はここまで。次のUP予定日はまだ未定。」
雪ちゃん「では皆さん。」

三人「また今度〜〜。」

1999.1.22