忘却者達の鎮魂歌 (6) 投稿者: 変身動物ポン太
何故・・・・・この世界を拒絶するんだ・・・・・この僕を

そして・・・・あなたは、この世界を忘れるのかい・・・・また


ちがうよ


えっ?


このせかいは・・・・きみじゃないんだよ・・・・だから

だから・・・・ぜつぼうしなくて・・・・いいよ


何故?


だってこのせかいは・・・・・かってに、できたものなんだから


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「みずか・・・・来てくれたのか。」
「うん。」
ここは・・・・”この世界”の入り口・・・・オレが倒れていた場所。
「”永遠の世界”は・・・・どうなったんだ。」
「・・・・まだあるよ。いってみたい?」
「いや・・・・やめておく。」
「そういうとおもった。」

オレの目の前のみずかは・・・・もう小さいみずかでは無かった。
例えて言うなら・・・・数年後の”瑞佳”がこうなるだろうと予想できる姿・・・・・だった。

「おどろかないんだね。このすがたをみても。」
「ああ、予想はしてたからな。・・・・こういう世界なんだよな、ここは。」
「そう、きえるちょくぜんのあなたがこうあってほしいとおもったせかい・・・・。」
そう、平和で、気のあった仲間が居て、そして・・・・平凡だった日常の世界。
ここはそれが具現化した世界だった。
・・・・気のあった仲間が年上なのは・・・・オレが大人になったと信じていたから。

「あのこのことわすれていたんだよね?」
「忘れていた・・・・オレがあの時作り出した、世界の制作者。幼き日のオレのことだな。」
「あのこは”えいえんのせかい”をつくってからずっとまってたんだよ。」

『えいえんはあるよ』
あの時、オレは永遠の世界を渇望し・・・・そして作ったんだよな。
そして・・・・みずかと”そいつ”はオレ自身が来るのを待って・・・・・オレは来なかった。

「あなたは、いまになって”むこうのせかい”をひていした・・・・でも”えいえんのせかい”もひていしていた。そのむじゅんがこのせかいをつくったんだよ」
「・・・・・彼女達も、君みたいなものなんだな。」
「そう、うしなわれたあなたのきおくがつくりだしたまぼろしなのよ。」
桜さん、直さん、いりえさん、深由さん・・・・。
「長森が居なかったのは・・・・・。」
「わたしがあなたのなかにそんざいしてたから。つくりたくてもつくれなかった。ななせさんもみかさんがいたから・・・・・つくられなかった。」

「わたしはこのままでもいいとおもった。このせかいでも。・・・・”かのじょ”がよけいなことをしなければ・・・・ずっとあなたとここでいっしょにいられたのに」
「”彼女”?」
「みさおちゃんのことだよ。」
そういえば・・・・みさおは、
『終わってないよ、お兄ちゃんの絆は』
と言っていたな。

「みさおちゃんがこのせかいへ”みかさん”をつれてきたのよ。ぼうきゃくされて・・・・じかんのなかをさまよっていたみかさんを。」
・・・・やはり美香さんは、本当の・・・・。
「そして・・・・あなたはえらんだのよ。このせかいではなく、”むこうのせかい”とみかさんを」
・・・・ごめん、みずか。
「もういいよ。”あのこ”もわかってくれたし。それにこのせかいは、あなたがつくろうとしてつくったせかいじゃないから・・・・そうながくはもたないわ。」
君は・・・・どうなるんだ。
「わたしも”あのこ”も・・・・あなたのなかからうまれたから・・・・だから、あなたのなかにかえるだけ。」
・・・・・・そうか。
「みかさんと・・・・なかよくね。あと”むこうのせかい”のひとたちとも。」
ああ。
「さようなら、おとうさん。いや、おかあさんといえばいいのかな。」
その言い方は・・・やめてほしいな。
「ふふふっ、じゃあ・・・・さよなら、こうへい。」
ああ・・・・さよなら、みずか。


「終わったようね。こっちも・・・・挨拶は終わったけど。」
「・・・・・そうか。」
「折原君の妹さん・・・・何で私を連れてきたのかな。」
「昔・・・・ちょっとな。」
「?」


『おみあいって、なんなの?お兄ちゃん。』
『しょうらい、いっしょになるおんなのひとと会うことって・・・・おかあさんはいってたな』
『ふーん、お兄ちゃんもいつかするんだ』
『そんなの・・・・わかんないぞ』
『じゃあ、おにいちゃんがおみあいするひと・・・・わたしがえらんであげる』
『えっ?』
『いいでしょ?』
『うーん・・・・べつにいいぞ』
『ありがとう、おにいちゃん』


「みさおの奴・・・・覚えてたのか、あの約束」
オレの頭の中に、みさおの声が届く。

『だって・・・・お兄ちゃん、ちちおやさんかんのやくそく・・・・まもってくれたから。』

「ホントに・・・・・オレのことばっかり・・・・気にしやがって。」
「・・・・いい妹さんをもってよかったね。」
「ああ、オレみたいなバカには最高の・・・・・妹だよ。」
「じゃあ・・・・そろそろ帰る?」
「帰り方・・・・忘れてないかな。」
「・・・・大丈夫だよ。」

『みかさん、おにいちゃんのこと・・・・よろしくね』
「まかせて・・・・・一生離れないから。」

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あの人は帰っていったんだね。

そうだね

・・・・これで良かったんだよね。

うん、あのひとはこのせかいでは・・・・・いきられないからね

・・・・・僕らのこと・・・・忘れないかな。

ひとはね・・・・・わすれるどうぶつなんだよ

・・・・・・・・

でもね、わすれるからこそ・・・・おもいだすこともできるんだよ
そして・・・・おもいだすから、きおくになるんだよ

だから・・・・人は忘却という残酷な物を・・・・持っているのか。
そして、記憶というあやふやな物を大切に持っているんだ。

そう・・・・ひとはそのきおくが、かけがえのないきずなにかわるまで・・・・・・うたいつづけるんだよ


忘却という名の鎮魂歌を・・・・・・・・・・・・




忘却者達の鎮魂歌   END
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<今日はポン太一人の後書き>
不本意だな・・・・・これが私の今の感想です。
本来なら、バッドエンディング後の浩平のストーリーを書こうと企画したんですが・・・・オリジナル入りすぎましたね。
それにせっかく出したオリキャラも、美香さん以外は活躍させれずじまいでした。・・・・私の力不足です。
・このSSについて
このSSのテーマは、”忘却”です。
ゲーム中では、浩平がこの世界から消えるために皆が彼のことを忘却していきます。
私はこの”忘却”について突っ込んで考えてみて、このSSを書いてみました。
本当は”忘却”するのが人の習性であり、これがあればこその絆ではないか?ということです。
が、これを書けたのはこの第6話だけであり、それ以外の話では書けませんでした。・・・・これも私の力不足です。初めの方のストーリーで混乱された方、すいませんでした。

偉そうなこと書いてます・・・・・”それは違うぞ!”と思う方、いっぱいいらっしゃるでしょう。
全部まとめて・・・・・すいません。

このSSは、かなり矛盾したストーリーだと思います。方針が途中で何回も変わったからです。それに細かい設定もずれてます。
”初めの方と違ってるぞ!”とか”この辺は強引すぎるぞ!”とか突っ込みたい人・・・・ズバリです。返す言葉もございません。

このように今回のSSは、私にとって・・・・かなり悔いの残る作品になってしましましたので・・・・。
変な所とかここが違うって事を・・・・感想で言って頂くと、反省材料になります。ぜひお願いします。

こんな強引で矛盾したSSを最後まで読んで頂いて・・・・・本当にありがとうございます。

では、またお会いしましょう。

1999.1.20

追伸 次のシリーズの構想はしっかり考えます!