忘却者達の鎮魂歌 (3) 投稿者: 変身動物ポン太
人としての存在・・・・・形としての人格・・・・・

一人では・・・・分からない・・・・・たった一人では

誰かと居なきゃ・・・・・駄目なんだ・・・・・ここでは

最近僕はそう考えている・・・・・

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「・・・・あるよ。」
美香さんは、そう言った。
「誰に、・・・誰に忘れられて・・・。」
「みんなに・・・周りの人全員」
美香さんは淡々と喋っていた。・・・・別に落ち込んでるとか暗くなってるとか、そんな素振りは・・・・無いな。

二人の間に沈黙が流れる。
そして、沈黙をやぶったのはオレだった。
「・・・・簡単に言えるんだな・・・・見ず知らずのオレみたいな奴に。」
「事実だし、そう言うことは誤魔化したくないもの。」
あっさりと美香さんは言った。
オレには信じられない・・・・あんな事を納得できるなんて。

親友に・・・・親と思っていた人に・・・・・幼なじみに。
簡単に忘れられて・・・・消えそうになったんだ。
いや・・・・”むこうの世界”からは消えたんだよな。
・・・・そんな事、納得できるかよ。


「・・・・折原君もそうなのね。みんなに忘れられたって事・・・」
「ああ。認めたくなかったけど・・・。」
「やっぱりね。」
やっぱりって・・・・
「倒れてた折原君を見て、思ったのよ。この人は・・・・」
「この人は・・・なんだよ。」
なんか・・・美香さんの目が、怪しい。

「この人は私と同じ境遇で、凄く落ち込んでる人だって。だから・・・・」
「だ、だから?」
まあ・・・其処までは有ってないことも無いが・・・・美香さん、目が怖いんですけど、凄く。

「私が・・・って、あああああああああああ!」
「美香さんの髪って・・・・(はあと)」
・・・・いつの間にか、美香さんの後ろに深由さんが回り込んで髪をいじってたりして・・・・。
「深由うううううう、止めてよ。」
「駄目なの?・・・・・うー。」
・・・・オレはその光景を見ながら、思った。
日常か・・・・平和な。
忘れられる前、オレにはいろいろな出会いがあった。

七瀬、繭、茜、みさき先輩、澪・・・・そして長森。
後一人居たような気がしたけど・・・・誰だったか。


そして忘れられた後・・・この”世界”にやってきて・・・また出会いがあった。

美香さん、深由さん、桜さん、いりえさん、直さん。
・・・・・一人足らない・・・・?


「残酷だよな・・・・”この世界”は。」
ぽつりと呟いてみる。

ひゅー

風がオレの顔をゆっくりと撫でていく。暖かい風の筈なのに・・・・
それはオレの心を少し冷やしていった・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・

一日は瞬く間にすぎて、日が落ちれば外は暗くなる。
・・・・ホントに普通の世界だ。”見た目”は。

「いりえさん!つまみ食いしないでよ!」
「美味しいからだよ〜仕方ないんだよ〜。」
台所の方で、美香さんやいりえさんの声が聞こえる。
『いつも桜さんばかりじゃ、女がすたる!』
とか言って、美香さんが夕食を作るって言い張ったんだよな。
で、直さんといりえさんを助手に作っているわけだが・・・・・。
「ああー焦げてるううううう!わ、そっちのお湯が煮立ってる!って、あああああ。髪撫でないで・・・。」
・・・・どんな料理が出来るのか楽しみではあるな・・・。

居間に戻ると桜さんが居た。
「あ、ここにいたんですか、桜さん。」
本を読んでいたらしい桜さんは、オレの方を向いた。
「・・・・美香さんにずいぶんと気に入られたみたいですね。浩平さん。」
にこりと微笑んでそう言う。
「えっ!?そ、そんな、まだ会ってから二日と経たないんですよ?」
「恋に時間は関係ありませんよ。」
表情を変えずにそう言う桜さん。
こ、恋って・・・・・。
「オレは、そんな事無理だって。」
・・・・”むこうの世界”でもそんな事無かったしな・・・・。
「彼女の事は嫌いじゃないですよね。」
「ま、まあそうですけど・・・。」
なんか・・・鋭いつっこみだな。

「じゃあ、・・・美香さんに言っておきますね。」
な、なにを言うつもりなんだああああ!
「内緒です。」
・・・・・・桜さんって、よく分かんない。

 ・・・・・・・・・・

夕食が終わってから(美香さんの料理は旨かった、意外と)オレは外に出た。

「・・・・・・・・」
田んぼの脇のあぜ道を歩く。月明かりが先に何があるのかを示してくれる。
外はまだ肌寒い。・・・一体どんな季節なんだろうな、”ここ”は。

「ここからならよく見えるな。」
昼間、美香さんに案内されて来た丘の上にオレはいた。
「・・・・星は見えるな。」
いや、見えるなんてもんじゃない。満天の星空だった。

「誰が”考えた”んだろうな・・・・この”世界”は。」
星空を見ながらそう思う。

幼い頃におれが望んだ・・・”永遠の世界”
永久不変で、”彼女”がいつもそばにいる。
それが・・・オレが行くはずだった世界・・・・だ。
しかし・・・オレは”ここ”にいる。みさおのおかげで・・・・。

「オレとはまったく違うな。ここを考えた奴は」
今日一日で行き着いた結論。”この世界”は誰かの作った世界。
オレ達は・・・そこに入り込んでしまった異邦人。

「どんな奴なのか・・・・会えるのか。」
そう思ってここに来てしまったんだよな。ここに来ても会える訳が・・・・。
「無い訳じゃないか。・・・・ここは一番いい景色が見えるからな。」
いつか、きっと会えるだろう・・・ここで奴と。そんな気がしていた。

「まあ、今すぐには会えないと思うけどな・・・・。」
草の上に体を投げ出してみる。
ひんやりとした風が、草を揺らしている。


「・・・・あんたは”この世界”に何を望んだんだよ・・・・・。」


風は・・・・何も答えてはくれなかった・・・・・・。

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ポン太「・・・・・展開が強引すぎるわああああああ!!!!(←自分で言うなよ)」
雪ちゃん「強引さは”粉雪の・・・”以上ね。」
ポン太「やっぱ、オリキャラ出しすぎたな・・・・直さんなんか全然喋ってないし。」
雪ちゃん「で、後一人・・・出てくるわよね。」
ポン太「その一人が結構・・・・重要なんですわ。(あくまで予定)。」
雪ちゃん「皆さん・・・誰か分かります?」(当たるか)

雪ちゃん「で、あとどれくらい続くの?」
ポン太「まったくの未定。今の状況は序盤といえばそうだし、核心に近いといえば近いかもしれない。」
雪ちゃん「ホントに行き当たりばったりね。」
ポン太「うう・・・・今回はマジで辛い。」

ポン太「相変わらず、謎だらけのSSですが・・・・すいませんが・・読んでくださいー!(必死&涙)ちゃんと後で謎は解きますから・・・。」
雪ちゃん「じゃあ今日はここまでね。」
裏ポン太「(最近出番少なくてブルー)・・・それでは皆さん。」

三人「また会いましょー。」

1999.1.13