粉雪の舞う舞台で・・・ (1) 投稿者: 変身動物ポン太
幼き日の約束・・・・・それは未来の束縛になるのだろうか・・・・・。

そうとも言える・・・・そうでないとも言える。

ただ一つ、言えることがある・・・・それを決めるのは、己自身だということ・・・・・。



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『浩平君の負けだよ』
みさき先輩の言葉が、オレの頭の中で反すうされる
『負けたんだから、私の頼み事を一つ聞いてもらうよ』
・・・・・うかつだった。
たかが競争だとあなどっていたのが間違いだったのだろうか・・・・。
『えーっとね、私ある人に借金してるんだけどね・・・・』
・・・・余裕なんて見せるべきじゃなかった・・・・。

オレはクラブの部室練のある校舎へと向かっていた。
今はテストが終わってすぐの放課後。
なぜ歩いているのか・・・・・・。
全てはみさき先輩との競争にあった。

オレはある部室の前に立った。今まで入っていた軽音部ではない。
『演劇部』
そう書いてある。

ガラガラガラッ

扉を開いて中に入る。
「あっ、折原君。来てくれたのね。」
中で待っていたのは深山先輩。みさき先輩の親友でここ、演劇部の部長でもある。
「みさきが言った時は信じられなかったけど・・・・ホントに三日間も手伝ってくれるんだ。」
そうーーオレは屋上への競争でみさき先輩に負け、なぜかここで三日間働くはめになったのだ。
・・・・あれからかなり日にちはたってるけど。

「で、みさきは?」
深山先輩の言葉にオレは、へっ?という顔になる。
「えっと・・・オレがみさき先輩の代わりにここで働くんじゃなかったんですか?」
それを聞いた深山先輩は、
「みさき・・・・・手伝いの応援探してくるって言ったと思ったら・・・・こんなことだったのね。」
と、言ってやれやれという表情になった。
・・・・どうやらみさき先輩はオレを使って逃げたらしい・・・・・。
オレは困っている様子の深山先輩を見て、彼女と初めて会った時の事を思い出していた・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『あれ?ここだと思ったんだけど・・・・勘が鈍ったのかな?』
深山先輩と会ったのは、みさき先輩と同じく屋上だった。
『ねぇ、あなた』
『ここに、ぼーーーーっとしてて脳天気そうな女の子来なかった?』
(綺麗な髪の人だな・・・・・・・。)
そんな印象をオレは受けていた・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「・・・折原君?」
で、オレがいいがげんな事を言って先輩にほっぺをつねられたりして・・・・
「折原君ってば!」
「うおっ!」
追憶に浸っていたオレを、深山先輩の大声が現実に引き戻す。
びっくりした・・・・・先輩の大声はいつ聞いてもでっかい・・・。
「で、今日の仕事なんだけど・・・・。」
「はい。」
「とりあえず・・・・みんなに自己紹介してくれる?」

オレは部室の中にいた部員たちに自己紹介する。
部員達の中にはオレにラーメンをかけた少女・・・澪もいて、何故か喜んでいた・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「うー、疲れるなあ・・・・・。」
「あー、浩平君もそう思うよね。雪ちゃん厳しすぎるよー。」
『がんばるの』
「はいそこ、無駄口叩かずに手を働かせてね。」


それからの三日間は・・・・・充実していた。
オレの仕事は大道具。結構疲れる仕事だと思う。
朝は早く、帰りは遅い。いつものオレだったら逃げ出していたかもしれなかった。

でも・・・・この時は違った・・・・。
オレは・・・・楽しかった・・・・のかもしれない。
澪やみさき先輩(捕まった)やその他の仲間達と共に働く・・・・この事がオレの中の何かを満たしていくような気がしたから・・・。

そして気づいたことがある・・・・。
自分が時々作業の手を休めて、ある人を見いっていることを。

「そう、もっと体全体を使って・・・舞台で体が映えるように・・・。」
「背景の看板はもっと大きいのに変えた方がいいわね。」
「みんな、すぐに集まって!」

深山先輩

別に一目惚れとかじゃない。

彼女が他の部員に稽古をつける姿、オレ達大道具にてきぱきと指示を出す姿・・・・・。
・・・・・厳しく、冷静で、それでいてなんか安心できて・・・・。
・・・・・何か普通じゃないような・・・そんな気がしていたから・・・・だ。

仕事をするために、誰よりも早く部室に入った時。
仕事が終わり帰ろうとして、部室にまだ付いている明かりが目に入る時。

そんな時、彼女はいつも一人で何かの作業をしていた。


(何が、そんなに深山先輩を演劇へと駆り立てるのか・・・・・・。)


3日目・・・最後の仕事を終え、家路につくオレの頭の中にはその事しかなかった。
そしてオレの中にある決意(・・・というほど大げさな物ではないけどな・・)が生まれていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

12月22日
オレは再び演劇部の部室の前に立っていた。

扉を叩くとみさき先輩が顔を出した。
「あれ?浩平君、また手伝いにきたの?」
「いや、そうじゃないんだけど・・・・深山先輩いる?」
すると後ろから声がした。
「私ならここにいるけど・・・本当にどうしたの?」
振り向くと、なにやら小道具が一杯入った紙袋を持った深山先輩がいた。
「ああ、一言言いたいことがあって・・・・。」
オレは一呼吸おくと声を出した。


「ここ−演劇部にオレを入部させてほしい。」


To be continued・・・・
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ポン太「はーい、ポン太でーす。満を持してお届けする深山先輩SSですぅー。」
雪ちゃん「満を持してって・・・構想期間が長かっただけじゃない。」(前回の事を根に持ってる)
ポン太「ぐふぅ!」(久しぶりの吐血)
ぱたり
・・・・・・・・復活
ポン太「うーん、予告ぐらいしとくべきだったかなー。」
雪ちゃん「そういえばポン太は最近私のSSしか書いてないような・・・・・・。」
ポン太「・・・・確かに偏ってるかも・・・。こうなったら雪ちゃん専用SS作家になるか・・・・」
雪ちゃん「・・・・なんだか分かんないけど、いやだって言っておくわ・・。」
ポン太「それはみさき先輩だって・・・。」

雪ちゃん「で・・・・このSS、一応私のシナリオ・・・ってこと?」
ポン太「目指したのはそうだけど・・・なんか本編と合ってないし・・・雪ちゃんはあまりしゃべってないし・・・続き次第かな・・・。」
裏ポン太「全四話・・・という予定でしたっけ?」(年内完結を目指してます)
ポン太「うーん、どうかな・・・・今回はかなり早い段階で終わったし・・・。」
雪ちゃん・裏ポン太「出たとこ勝負・・・・だそうです。」(いつも通り)

ポン太「そう言えば、朗報があるぞい!」
雪ちゃん「え、なになに。」
ポン太「いけだもの様が、わたくしめにつっこみ茜ちゃん普及委員会の会員番号06を授けてくださったのだああー!!!いけだもの様、ありがとうございますぅー。」
裏ポン太「つっこみ茜ちゃんはこのSSの最終回でゲストとしてお招きしますぅー。」

ポン太「と、言ったところで今回はおしまいです。つぎは・・・月曜日ですかな。」
雪ちゃん「感想はいつも通り後でまとめてだしますので。」
裏ポン太「それではみなさん。」

三人「また会いましょー。」

1998.12.19