三つの想い(1) 投稿者: 変身動物ポン太


「あなたはふられたのよ。」
彼女はそう言った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
沈黙するしかなかった。


もう一度彼女は言った。
「あなたはふられたのよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・そうだな。」
「ふられたんだ・・・・・・・・・・・・・オレは」




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12月24日

オレと茜と詩子と澪はクリスマスパーティをした。

その帰り道、雨のふる空き地。

「・・・待ってるんです。」

辛かった。

「私が好きだった人だから・・・・。」

そして何よりも悲しかった。


1月5日

オレは一人で商店街に出かけた。

そして・・・・・・・彼女はそこにいた。

「私にできることはこれだけなんです。」

待っている

「あいつ・・・傘もってなかったから・・・。」

茜・・・・なぜ待てるんだ・・・・・・・・・。

いつ帰ってくるか分からないのに
帰ってくる保証などどこにもないのに

好きだったから・・・
大好きだったから・・・・・

そんな茜の想いが伝わってきた。

オレは茜が好きだ
どうしようもなく好きだ

じゃあオレは茜を待てるのか?

・・・・・・

待つ?
なにをだ?

突然の問い、もう一人の自分から自分への。
茜がその幼なじみをあきらめるまで待つということか?

答えはなかった。


そして1月26日・・・・・・・・・・・・
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廊下を走り抜けて。3段抜かしで階段を駆け下る。

雨、それも季節はずれの嵐。

「・・・・待ってるんです。」

それは確信だった。


昇降口に詩子がいた。ここ最近毎日来ている。

「あれ、折原君もかえるの?」
「茜を探しに行ってくる。」

オレは詩子を無視して外へ出ようとした。

「まさか・・・・・・・・茜、今日も待ってるの・・・・・・・・?」

「な・・・・・・・・・。」
オレは詩子の方を振り返った。


「私も行く!」
いつものとは比べものにならないくらいの強い調子だった。
「詩子・・・・・・なぜ・・・・・・・・そのことを・・・・・」
「いいから早く!茜のためなんでしょ?」
「・・・・・・・・分かった。」
オレと詩子は嵐の中に飛びだした。


「あの空き地なんでしょ、茜が待ってるのは。」
走りながら詩子が聞いてくる。もちろん傘は持っている。
「詩子も見ていたのか!・・・・・あれを!」
言い・・・いや怒鳴り返す。オレの方は詩子の予備の折り畳み傘なので大声じゃないと通じないのだ。
「親友だから当たり前じゃない・・・・って言いたいとこだけど、偶然にね。」
詩子はそう言って苦笑した・・・・でもすぐ真顔にもどってつぶやいた。
「折原君・・・・・茜の待っている人・・・・知ってるの?」
「茜から聞けなかったのか?」
以外だった。
詩子のことだから、茜の待っている姿を見た瞬間に聞きだしてるものと思っていた。
「聞いたけど・・・・・・”詩子は覚えてないんですよね”って言われたっきりだから・・・・。」
・・・・茜が好きな幼なじみ・・・・・詩子は覚えていない・・・・・・。
オレの頭の中のピースが少しずつ組あがっていきかけた・・・・・そのとき!

「あっ!」

突然詩子が叫んで立ち止まった。
空き地の入り口だった。

オレも止まって詩子を振り返った。
「!」

詩子は頭を抱えて立ちすくんでいた。顔は真っ青だ。
そして・・・小さな声でなにかをつぶやいている。
普段の詩子からは想像もできない姿だった。

「くっ。」
一瞬躊躇した。
しかし・・・・・・

「詩子!先に行くぞ!」
茜は目の前にいる・・・・・・オレは空き地に駆け込んだ。
吹き荒れる雨の中、詩子のつぶやきが聞こえた気がした。
「茜・・・・・忘れちゃってたよ・・・・ごめんね・・・・」


空き地の視界は最悪だった。
茜の姿を探す。
そして彼女はそこにいた。

「あか・・・・。」

オレは最後の文字まで名前を呼べなかった。
近づくこともできなかった。

茜はそこにいた。
ずぶぬれで、でもそれでいて救われたような表情で。

1人ではなかった。

若い男がいた。

茜はその男の胸に顔を埋めていた。


・・・・・・・


「渚・・・・・。」
ナギサ・・・?
オレの後ろから声がした。詩子だ。
2人が振り返った。

「詩子・・・・・浩平・・・・・・・。」

茜は何かに耐えるような表情をしていた。若い男もなぜか悲しい顔をしていた。
オレも詩子も何も言えなかった。

好きだった幼なじみ
帰ってきたんだな・・・・、茜。

オレと詩子
茜と渚

何も言わず向かい合っていた。

そして・・・・・・・茜の一言。



「ごめんなさい・・・・・。」



最初に本気で好きになった人
里村 茜


オレが聞いた彼女の最後の一言だった・・・・・。


・・・・・・・・

気がつくと茜と渚はいなかった。
オレと詩子
二人以外だれもいない雨の降る空き地


オレ達は立ちつくしていた・・・・。



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初投稿の変身動物ポン太と申しますー。どーぞごひいきにー。

・・・・・・・・・・(自分の書いたSSを読み返している。)

げふっ! (あまりのひどさに吐血したらしい。)

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・(10分たったようだ・・・・あ、起きあがった。)

しょっぱなからとんでもないSSを書いてしまいましたね・・・・・
ONEの真のヒロイン(?)、里村 茜様を消してしまうなんて・・・・・
茜様ファンのみなさんごめんなさい。
展開もよく分からないし、ストーリーも未熟だなー。精進しないとなー。

最初の文章とか登場人物の謎の行動とかは(2)以降でおいおい明かしていきますので怒らないでくらはい。

・・・・・・感想とかいただけるとうれしいのですが・・・・メールがないよー。
(ちなみにこのSSは大学から・・・・・あと4か月で卒業・・・・そのあとどーすんだよー。)

それでは次の(2)でお会いしましょうーーー。

1998.11.30