『結婚写真』 −後編− その1 投稿者: ばやん
えー、すみません、文章が長くなってしまったので二つに分けてます
なお、「前編、後編忘れた」と言う方は・・・・私のHPに置いてますので(^^)
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店員「さてと、お嬢さんの方の準備もしないといけないな」
瑞佳「すみません、こんな事までしてもらって」
本当に、この店員さんには感謝してもしたりないよー
店員「ん? 君は気づいてるのかな?」
瑞佳「あれを着せてくれるんですよね?」
そう言って、私はショーウィンドウに飾ってあるドレスを指した
店員「うん、そのつもりだけど、ちょっとその前にスタイリストの許可をもらわなくっちゃな」
瑞佳「???」
店員さんが何を言ってるのか分からなかったけど、聞かなくても話してくれそうなので私は続きを待った
店員「いや、実はあの衣装は今度僕の彼女が着る物でね、特注品なんだ」
とても恥ずかしそうな顔をしながらそう言ってくれた、やっぱりそうだったんだー
っと言うことは、きっとそのスタイリストさんが婚約者なんだね
瑞佳「あ、おめでとうございます」
店員「うん、ありがと じゃ、ちょっと聞いてくるから」
そう言って、店員さんはお店の奥に消えていった

  店員「話は聞いてただろう、そう言うわけだから頼むよ」
  奥の人「えーっ、だってあれはわたしのために...」
  店員「分かってる、あれは君の物なんだから、何回着たって構わないんだから」
  奥の人「わたしだって、1回しか着ないよーっ」
  店員「せっかく作ったのにもったいないなー、1回とは言わず、たまには着て見せてくれよー」
  奥の人「あ、そう言うことなんだ」
  店員「何のことだと思ったんだ?」
  奥の人「え、うぅん何でもないよ」
  店員「すっごく気になるぞ」
  奥の人「と、とにかく、そう言うことならわたしはO.Kだよ」
  店員「そうか、それじゃあ今夜は......」
  奥の人「わっ、そっちの話じゃないよー」
  店員「冗談だって」
  奥の人「もう、」
  店員「ははは、じゃあ早速準備に入ってくれ」
  奥の人「うん、いいよ」

何とか話はまとまったみたい、でも、やっぱり仲良さそうだなー
いつかは、私と浩平もあんな関係になれたらいいな

店員「おまたせ、じゃあ、早速始めようか」
瑞佳「はい」
ついに、待ちに待ったウェディングドレスが着れるんだー
店員「じゃあ、君はあっちに行っててくれ、僕は撮影の準備するから」
どうやら、かなり本格的な撮影をするみたい
瑞佳「はい」
店員「あ、そうだ、今の間に聞いて起きたいんだけど、今回撮った写真、上手くとれたら店頭に飾っても良いかな?」
瑞佳「え!? 飾るんですか?」
この話は以外だった
店員「うん、せっかく撮影するんだし、撮ったまんまって言うのもなんかもったいないしね。 だから、宣伝用に使わせてもらおうかと...」
そっか、フィルムもったいないもんね
瑞佳「はい、もちろんですよ」
浩平が嫌がるかも知れないけど仕方ないよね
それに、私は嬉しいし
店員「ありがとう、そう言ってもらえると助かるよ」
瑞佳「いいえ、こちらこそ、なんか私のわがままに付き合わせちゃったみたいで...」
ホント、この店員さん達には頭が上がらないよー
店員「いや、良いんだよ。 それに、なんか君たちを見てると他人のような気がしないしね」
瑞佳「え?」
まるで店員さんは昔の自分でも思いだしているように遠くを見ていた
店員「うん、まぁ、僕と彼女も その、昔からいろいろと・・・ねっ」
なんか照れながらそんなことを言ってくれる
そっか、私と浩平みたいな感じだったんだ。 きっと意識をだぶらせちゃったんだね
成功者が目の前にいると、私もなんか望みが見えてきたよ
店員「それに、まぁ、君たちがモデルなら良い『絵』が撮れそうだし僕としても決して無駄な事じゃないはずだからね」
そうかなー? 私たちってそんなに良い被写体なのかな?
瑞佳「そ、そうですか?」
店員「謙遜すること無いよ、君は十分に可愛いよ。 こんな可愛い娘にあんな衣装着せたらと思うと・・・ふっふっふ」
な、なんか店員さんの私を見る目が変わってきたような...
瑞佳「え? え?」
ちょっと危なくなってきたような...
店員「今度、僕の専属モデルになってくれないかなー?」
は、はぅ〜〜、目が怪しいよー
ボカッ
店員「いてっ」
奥の人「ナンパしないのっ」

店員「じょ、冗談だって」
奥の人「もう、」
店員「それはともかく、何でここに居るんだ?」
奥の人「うん、準備ができたから彼女を呼びに来たんだよ。 そしたら...」
あ、ちょっと顔を膨らませてる。 怒ってるんだね
店員「そ、そっか  じゃあ、早速連れていってくれ」
店員さんは場が悪いことを感じ取って、話を逸らそうとしてるよー
奥の人「その前に...」
店員「さぁさぁ、あんまり時間もないぞっ さっさと行った行った」
どんどん
私と女の人は、店員さんに控え室に追い立てられた
奥の人「わかったよー、そっちも早く準備してね」
店員「おうっ、まかせとけっ」
妙に自信満々な店員さんがちょっと不安だった


ここは控え室、私はウェディングドレスを取りに行ったお姉さんを待っている
ガチャ
奥の人「お待たせっ」
嬉しそうにウェディングドレスを手に持ってお姉さんが戻ってくる
自分のウェディングドレスを他人に着られて嬉しいはずはないと思うんだけど、そんなそぶりは微塵も見せていないこの人は凄いなーと思った
瑞佳「あ、あのう、ご迷惑をおかけします」
だから、私は先ず謝った
奥の人「うん? いいんだよ、やっぱり女の子にとってウェディングドレスは憧れだからね」
そんなことを言って私の心の負担を軽くしてくれた。 うー、優しい人だよー
奥の人「じゃ、始めようね」
瑞佳「はいっ」

さ、さ、さ
お姉さんが私の髪にブラシをかけてくれている
奥の人「さらさらしてて綺麗な髪だね、羨ましいよ」
今にも鼻歌が聞こえてきそうなほどのにお姉さんは機嫌が良さそうだ
瑞佳「そ、そうですか?」
奥の人「そうだよ、きっと良い恋してるからだね」
瑞佳「えっ!」
さりげなくドキッっとするようなことをこともなげなに言うお姉さん、見た目がボーっとしたような感じなだけに、ものすごくびっくりしちゃった
瑞佳「えっと、あの、その、えっと、あ、あう」
は、はぅ〜自分でも何言ってるのかわかんないよー
奥の人「あれ? まだちゃんとした恋になってないのかな?」
・・・このお姉さん、鋭すぎるよー
瑞佳「・・・・・はい」
私は正直に答えた
奥の人「そっか、でも、好きな人は居るんだよね」
瑞佳「はい」
奥の人「うんうん、好きな人がいるって事は幸せなことだよ」
お姉さんが、本当に嬉しそうな顔をしている
今の雰囲気なら、あの事が聞けるかも知れないね
瑞佳「あ、あのっ」
私は意を決して話しかけてみた
奥の人「どうしたの?」
笑顔で聞き返してくれるお姉さん、やっぱり、この人なら話しても良いよね
瑞佳「あのー、お二人は幼なじみだったんですか?」
奥の人「うんっと、そうだね、従兄弟だったから昔から割と一緒にいたよ。 あの人が家に居候してた時もあったしね」
そうなんだー、さっき店員さんの話は本当だったんだね
瑞佳「そうなんですか、・・・あの・・・恋人になるきっかけはどんな感じだったんですか?」
そう、これが私が聞きたかったこと
今の私にとっては、やっぱり浩平しか居ないから...だから、成功者の意見を聞きたかったんだよ
奥の人「じゃあ、本当にさっきの男の子の事を...」
お姉さんが、すぐさま切り返してくる
瑞佳「はいっ」
もちろん、私はこのことを相談したかったんだから隠す必要はなかった
奥の人「そっか・・・」
あれ? 何かお姉さんの顔が暗くなったような...
瑞佳「どうしたんですか?」
奥の人「うん、さっきの話を聞いてる限り、彼ってかなり鈍そうだなーっと思って...」
・・・鋭いよ
瑞佳「・・・はい」
私の中では、自分の考えが間違っていると思いたかっただけに
全くの他人から見ても、浩平はそう言う風に見えるというのが悲しかった
奥の人「でも、大丈夫だよ きっと彼もわかってくれる日がきっと来るよ」
もう笑顔に戻ってお姉さんが私を励ましてくれる
お姉さんは『大丈夫』って言ってるけど、それが何の根拠もないことだって事はわかってると思う
奥の人「だって、こんなに想ってくれてる娘が居るんだもん、どんな人だって絶対に気づくよ」
さらに励ましの言葉
瑞佳「ありがとうございます」
ここまで私のことを気遣ってくれて、私はなんだか涙が出てきちゃいそうだよ
奥の人「うん、頑張ってね。きっともうちょっとの辛抱だよ」
瑞佳「あの、それでお二人はどうやって結ばれたんですか?」
奥の人「え? 私たち? なんだか恥ずかしいよー」
顔を真っ赤に染めてお姉さんが照れてる
なんだか、その仕草が凄く可愛らしかった
瑞佳「はいっ、是非知りたいです」
奥の人「うーん、大まかにだけだよ」
お姉さんが照れてる、なんだか見てて面白いな
瑞佳「それでそれで?」
奥の人「あれ? あはは、忘れちゃったよー」
あ、逃げてる
瑞佳「あーっ、ずるいですよー」
私は追い打ちをかけた
奥の人「あはは、やっぱり言わないといけないかな?」
瑞佳「もちろんです」
奥の人「それじゃあね...」

どんどんどん

店員「おーい、準備は進んでるかー?」
店員さんが横やりを入れる
もう、肝心なときに〜
奥の人「うーーん、もうちょっと待ってねー」
店員「ちゃんと手を動かしてたか」
奥の人「動かしてたよー」
店員「じゃあ、今何やってるんだ?」
奥の人「髪をとかしてるところだよー」
店員「それって...まだ全然進んでないじゃないかっ! 今日中に撮影できるのか?」
奥の人「うん、大丈夫だよ」
なんだか、このお姉さんの『大丈夫』って、本当に自信があって言ってるのか不安になってきたよ
店員「お前の大丈夫は一番信用ならないんだっ とにかく早くしろよ」
奥の人「・・・ひょっとして、今失礼なこと言ってる?」
店員「ぜんっぜんっ そんなこと無いぞ」
奥の人「言ってるよー」
店員「いや、とんだ被害妄想だ」
奥の人「そんなこと無いよー」
店員「まぁ、そんなこと言ってる暇があったらさっさと準備しろよ」
奥の人「話そらさないで」
店員「じゃな」
奥の人「うーー」
本当に、この二人って本当に仲良いなって思えるよ、羨ましいなー
瑞佳「仲良いですね」
奥の人「え、私虐められてたんだよ」
嘘だよ、顔が嬉しそうだもん
瑞佳「楽しそうですね」私が笑いながらそう言うと
奥の人「わー、本当なんだよー」
ますます向きになって否定する、私より年上のはずなのに、なんだか子供っぽくて面白い
瑞佳「でも、羨ましいです」
私は、素直に感想を述べた
奥の人「そうかな?」
お姉さんは、しきりに首を傾げてる、きっといつものこと何であんまり実感がないんだね
奥の人「でも、あなただって、さっきの彼と楽しそうだったよ」
瑞佳「えっ!!?」
きっと、お姉さんにとってはささやかな反撃のつもりだったんだと思うけど、私はあからさまに慌ててしまった。
奥の人「あらあら、すっかり赤くなっちゃって、ふふふ」
はぅーーーーー
やっぱり、年上の人には勝てないよーー
瑞佳「あの、その、えっと...」
奥の人「大丈夫だよ、今の関係がそのまま続いて行けたら、きっと彼から告白してくれる時が来るよ。」
穏やかに微笑みながらそう言ってくれるお姉さん
瑞佳「あの、本当なんですか?」
私は、くってかかるように聞き返していた
奥の人「うん、経験者が言うんだから間違いないよ」
わっ、そうなんだーーー
瑞佳「はいっ」
私は元気に答えた。 それなら、私にも望みが見えてきたよ

店員「おーい、準備は進んでるかーー?」
再び店員さんの声
奥の人「うん、順調だよーー」
店員「わかったーーー」

奥の人「さ、あの人が待ちくたびれてるから、急いで支度しようね」
瑞佳「はいっ、お願いします」
うん、私、絶対に頑張るもんっ!

−撮影所−
店員「全く、あいつの要領の悪さも何とかならないもんかね、おかげでいっつも仕事が予定よりも遅れる。 待たされるこっちの身にもなって欲しいもんだよ」

カララン

浩平「はぁはぁはぁ、た、ただいま」
店員「お帰り、って早かったね」
浩平「全力疾走してきたからな」
店員「そんなに急がなくても良かったのに」
浩平「それより、これを見ろっ! M249Aマシンガンだっ!(←適当に名前付けてます) ふっふっふ、この鈍い輝き、我ながらほれぼれするぜ」
店員「そんなモデルガン、いったい何に使うんだい?」
浩平「ポーズ取る時にこれを手に持ってみようかと思ってな、急いで住井からかっぱらってきたんだ」
店員「住井?」
浩平「俺の悪友だ」
店員「なるほどね、じゃあ、君にも早速着替えてもらおうか」
浩平「おう、まかせとけ」
店員「部屋はあそこだから、着る物もそこに置いてあるよ」
浩平「わかった、あんたはどうするんだ?」
店員「僕は、まだカメラの調整が終わってないんだよ」
浩平「じゃあ、そっちも頑張ってくれ同志よっ」
店員「・・・君、どこの国の人だい?」
浩平「同志店員よ、しっかりと任務を果たせっ!」
店員「僕は、そんな名前じゃないっ!」
浩平「じゃ、俺着替えてくるな」

店員「・・・はぁ、やっぱり変わった子だな」

ガチャ

店員「ん?」
奥の人「準備できたよー」
店員「お、できたのか。 それじゃあ、早速拝見...」
ぐい
店員「・・・おい、手を離してくれないと、控え室に行けないじゃないか」
奥の人「先に、花婿候補に見せてあげなきゃだよ」
店員「その花婿候補なら、今着替え中だ」
奥の人「じゃあ、今の間に準備終わらせなくちゃね」
店員「あーもう、わかったわかった」
奥の人「あとどれぐらいなの?」
店員「後は三脚に乗せてっと、よし終わりっ!  さぁ、見てこよう♪」
がしっ!
店員「・・・おい」
奥の人「浮気しそうだからダメだよ」
店員「っと言うことはそんなに可愛いのか?」
奥の人「うんっ」
店員「じゃあ、大丈夫だな」
奥の人「そうだね、あの二人きっと結ばれるよ」
店員「そうじゃなくてだな、いくら素材が良いからと言っても、衣装が悪かったらお前だってそこまで誉めることはないだろう?」
奥の人「うん、そうだね」
店員「それじゃ今度の結婚式の時、俺は恥かかなくてすみそうだな」
奥の人「どういう事?」
店員「まぁ、『馬子にも衣装』って言うからな」
奥の人「あー、ひどいよー」
店員「いや、冗談だって」
奥の人「うー、ひどいひどい」

バンッ!

浩平「おいっ、これはいったいなんだっ!!」
店員「お、花婿のご登場だ。 なかなか決まってるじゃないか」
奥の人「本当だねー、あ、ちょっとネクタイおかしいよ・・・・・これでよしっ」
浩平「あ、ども」(ペコ)
奥の人「どういたしましてだよ」
浩平「って、そうじゃないっ! 何なんだこの衣装はっ! 俺は『黒服』が着たかったんだぞっ!」
店員「いや、それって黒い服だろ」(本当は白い服の方が良いと思うけど)
浩平「だから、俺が言ってるのは、こう、宇宙人をばったばったと倒すような...」
店員「それはまた・・・偏ったイメージだとは思うけど、それが今日の予定していた撮影なんだからさ」
浩平「帰るっ!」
店員「とか言いつつ、しっかりと着込んでるじゃないか、頭もピシッと決めてるし」
浩平「うっ! そ、それは...」
店員「ま、ご託はもう一人の主役を見てからにしてもらおうか」
浩平「ま、まさか」
店員「そのまさかだよ、準備はできてるんだよな?」
奥の人「うん、バッチリだよ。 わたしの自信作だよ」
店員「じゃ、案内してきてくれ」
奥の人「うんっ! きっとびっくりするよ」
店員「ほぉー、そりゃ楽しみだ」
浩平「・・・・・・・」
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その2は、下にあります

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