『結婚写真』 −後編− その2 投稿者: ばやん
上の続きです
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奥の人「さぁ、出番だよ」
お姉さんがこっちに戻ってきて私にそんなことを言う
瑞佳「は、はい」
はぅ〜、緊張するよ〜
奥の人「あはは、大丈夫だよ。 そんなに緊張しなくても」
そんなこと言われても〜
瑞佳「は、ははははははい」
奥の人「あは、その姿であの子の目は釘付けだよ。 絶対にっ」
そ、そうかなー、浩平私を見てびっくりするかなー
奥の人「じゃ、出発だよ」
私は、お姉さんに促されるままに出口へと向かった
  ・
  ・
  ・
奥の人「お待たせっ」
浩平「・・・・・・・」
店員「どれどれ、おおぉっ」
浩平「・・・・・・・」
店員「ほら、君もちゃんと見なきゃ」
ぐいぐい
浩平「いや、俺は....」
瑞佳「こ、浩平、あ、あのね...」
ドキドキ
私、浩平にはどんな風に見えてるのかな
あ、浩平こっち見てくれないよーー
店員「ほらほら、往生際が悪いね」
ガシッ
あ、店員さんが強引にこっちを向かせてくれた
浩平「な、な、なっ!」
瑞佳「・・・・浩平」
こ、浩平が私を見てる、は、恥ずかしいよーーー
浩平「っっっっっっっっっっっっ!!!!!!」(絶句)
瑞佳「浩平?」
浩平「・・・・・・・・」(固まってる)
こ、浩平どうしちゃったの?
瑞佳「浩平っ!」
私は、鳩が豆鉄砲で撃たれたような顔をしてる浩平に再び声をかけてみた
浩平「・・・・・な、長森なのか?」(ちょっと、あっちの世界行ってる)
暫くしてから、浩平から鈍い反応が返ってくる
瑞佳「う、うん、私だよ」
浩平「・・・・・・・・・そうか」
浩平、なんだか様子が変だよーーーー
じーーーーーーー
はぅ〜、浩平がじっと私を見てるよーーーー
瑞佳「あの、浩平、わ、私変じゃないかな?」
浩平「・・・・・・・・」  ぶんぶんぶん
店員「すっごく可愛いよ」
奥の人「そうだよねー」
浩平「・・・・・・・・・・・・・」
店員「ほらほら、君も何か感想を言ってあげなきゃ」
浩平「・・・・・・・・・・・・・」
奥の人「感想は、ちゃんと言ってあげなきゃね」
店員さんと、お姉さんが交互になって浩平を後押ししてる
はぅ〜、すっごく恥ずかしいよー
浩平「・・・長森」
瑞佳」「な、何?」
浩平が真剣な表情で私の目をじっと見つめてる
な、なんだか浩平の目を見てると私...(かぁ〜)
浩平「その、お前............さ、さぁてと、さっさと写真とっちまおうか」
ずるっ
店員「(ボソ)逃げたな」
奥の人「(ボソ)照れ屋さんなんだね」
浩平「ん? 二人ともなんか言ったか?」
店員「いや、何にも」
奥の人「言ってないよ」
とっさに言ったのに、二人の会話が見事につながってる。 二人して何考えてたのかな?
浩平「おっさん、早く支度しろよ」
店員「おい、僕はまだ若いぞ」
奥の人「まぁ、気にしない気にしない」
浩平「早くしてくれよー 見たいドラマの再放送がはじまっちまう」
うー、なんだか浩平に話をはぐらかされたような気がするよー
店員「はいはい、おい、手伝ってくれ」
奥の人「うん」
店員さんとお姉さんは撮影の準備をし始めた、私のそばにいるのは浩平だけになった
浩平「・・・・・」
瑞佳「・・・・・」
なんて言ったらいいのか、私たち二人はその風景を黙ってみている
な、なんか気まずい雰囲気だよー
瑞佳「・・・・・ねぇ、浩平」
浩平「・・・何だ?」
瑞佳「浩平、怒ってる?」
浩平「どうして、そう思うんだ?」
瑞佳「だって、浩平なんだかいらいらしてるみたいなんだもん」
浩平「・・・そうか、そう見えるか」
瑞佳「うん」
浩平「でもな、別に怒ってるわけじゃないぞ」
浩平がぼそりと答える、やっぱり、変だよ。 浩平らしくないよー
瑞佳「そうなんだ、でも、浩平ってこういう写真撮られるのって嫌なんじゃないかなって思ったんだよ」
私にとっては、嬉しいことだけど、考えてみたら浩平の気持ちなんか私考えてなかった
浩平「まぁ、まだ俺にとっては早すぎる衣装だからな、正直どうでも良いって言うか、わけわかんないって所だな。  でも、不思議と怒る気はしないよ」
浩平がぽつりぽつりと話してくれる
なんか、いつもの元気がないけど、それでも怒ってないって事がわかって良かった


店員「よし、スタンバイO.K 二人ともこっちに来てくれ」
浩平「おう、ほら、長森行くぞ」
瑞佳「う、うん」
浩平「・・・結構似合ってるぞ」
・・・・・え?
瑞佳「えっ!? 浩平今なんて?」
浩平「何でもないっ ほら、さっさと行くぞっ」
瑞佳「あー、浩平待ってよー」
浩平がぼそりと言ったセリフ、もう一度聞きたいよー

店員「はい、二人ともそこに並んでー」
浩平「ここか?」
店員「うん、そこ、あ、お嬢さんもうちょっと彼の方に寄って」
瑞佳「は、はい」
店員「こら、君は動かなくて良いんだよ」
浩平「いや、なんか窮屈になったから」
店員「ダ〜メ、元の位置に戻りなさい」
浩平「わかったよ」
う〜、なんか店員さんは私たちを密着させて撮りたいみたいだけど、浩平が逃げるよー
店員「よ〜し、そこ、そこだよ。 二人とも動いちゃダメだよ」
浩平「な、なんか窮屈だな」
瑞佳「そだね」
店員「あ、彼の方、ちょっと右肩を下げて・・・うん、そうそう」
店員さんがてきぱきと指示を出す、この辺はやっぱり手慣れてるね
店員「よ〜し、じゃあ、撮るぞ。 二人とも笑って笑ってー」
浩平「・・・・・・・」
瑞佳「・・・・・・・」
店員「どうしたんだ? ほら、笑って笑って」
そ、そんなこと言ったって、緊張しちゃって笑えないよーー
隣を見てみると、浩平の顔も思いっきりこわばってる
浩平「・・・・・・」
瑞佳「・・・・・・」
店員「もう、二人ともどうしたんだ? そんなんじゃ、写真が撮れ無いじゃないか」
瑞佳「えっと、その...」
浩平「な、何というか...」
二人とも、がちがちになってるのはわかってるんだけど、何ともならないんだよー
店員「もう、そんなに緊張しちゃってー、いつもやってるみたいにブッチュ〜〜〜とディープキスの一つも見せてくれないのかい?」
浩平&瑞佳「してませんっ!! そんなことっ!!」
店員「はっはっは、やっぱり息ぴったりじゃないか」
浩平&瑞佳「あっ...」(かぁ〜)
はぅ〜、自分でも顔が赤くなってるのがわかるよーー
浩平「ご、ごほん」
浩平は、何か逃げようとしてるよー
店員「ん? 風邪かい? 体は大事にね」
店員さんの反応がなんだかずれてるよー
浩平「と、ともかく、さっきのお姉さんがいないぞ。 ひょっとして、あんた逃げられたんじゃないのか?」
店員「おや? 僕とあいつの関係がよくわかったね。 まだ紹介してないのに」
浩平「ま、何となくな」
店員「そうかそうか、ま、それはともかく、あいつなら君たちにご馳走する分のお菓子を作ってる最中のはずだよ」
浩平「えっ! 本当かっ!」
浩平がいち早く声を上げる、浩平本当においしそうに食べてたもんね
瑞佳「わーーーー♪」
あ、私も歓喜の声を上げちゃったよー
浩平「楽しみだなー」
瑞佳「うん、そだね」
私たちは、そろってニコニコ顔になっていた
店員「よしっ、いただきっ!」
パシャッ
浩平&瑞佳「あっ!」
店員「ふっふっふ、いい表情が撮れたぜ」
浩平「不意打ちとはずるいぞっ」
店員「隙を作る方が悪いのさっ」
店員さんはしてやったりと言った感じの顔をしてる
浩平「くっそー、今度は負けないぞ」
店員「さぁ、それはどうかな〜」
浩平「長森、お前も油断するなよっ」
瑞佳「うんっ」
よしっ、私も頑張るもんっ
店員「ふふふ」
あれ? 店員さんどうして笑ってるの?
浩平「な、何が可笑しいんだよー」
店員「さぁ、何だろうね〜」
浩平「うー、気になるぞー」
あはは、なんだか浩平が元に戻ってるよ
瑞佳「あはは〜」
あ、つい声に出ちゃった
浩平「長森、何が面白いんだ?」
瑞佳「エヘヘ、何でもないんだよ」
浩平「だから、何で笑ってるんだよ?」
突っかかってくる浩平、わ〜、いつも通りだよー
瑞佳「エヘヘ、教えてあげないもんっ」
うん、やっぱり浩平はこうじゃなくっちゃ
浩平「だから〜」
なおも浩平は突っかかってくる
瑞佳「あはは」
店員「はっはっは」
浩平「・・・・・はは、ま、いっか」
そうだよ、浩平細かいことを気にしちゃダメだよ
瑞佳「そうだよ、面白いことに理由なんか無いよー」
浩平「ま、そうだな」
瑞佳「うん」
気が付いてみたら、私たちは普段の二人に戻っていた
店員「ははは、さぁ、撮影再会だ、二人とも笑って笑ってー」
瑞佳「は〜い♪」
浩平「おう、」
私たち二人は、ごく自然に笑っていた
店員「うん、その表情いいねー、 じゃあ撮るよー、 はーーーーい」

カシャ

−回想終わり−

瑞佳「って言うことだったんだよ」
娘「・・・へぇー、そんなことがあったんだー」
娘は、しきりにうんうん頷いてる
今にして思えば、あの時私を元気づけてくれたお姉さんの予言は当たっていた。
あれから、1年とちょっと後、浩平は私に告白してくれた。 そして、ほんのちょっとの心のすれ違いの後、私たちは本当の恋人になれたのだから
娘「でも、お父さんがお母さんのウェディングドレス姿をみてびっくりしてる時の顔見てみたかったよー」
ふふふ、そんなことを考えるところなんかやっぱり私達の娘だよ。
瑞佳「ふふふ、そうだねー、あの時の顔は写真に撮っておきたかったねー」
娘「あ〜あ、残念だよー」
娘は、しきりに残念がっている
瑞佳「わっ、もうこんな時間だよー。 ご飯の支度しないと」
あまりに懐かしい思い出だったので、時間を忘れてつい話し込んでしまったらしい
娘「うん、わたしも手伝うよー」
娘が私について来る。 この子も、結構料理が上手になってきたから、今や我が家の貴重な戦力だ

−ちょっと時間が進んで−
外は、ちょっと雨が降っている、浩平カサ持っていってたかなー
などと私が考え事をしながら夕食の準備をしていると
ガチャ
浩平「ただいまー、おーい、タオル取ってくれーー」
浩平がいつもよりちょっと早めに帰ってきた
娘「あ、お父さん帰ってきたよー」
瑞佳「あ、お母さん今手が放せないからお願い」
娘「うん、わかった」
娘がタオルを持って玄関に走る

−玄関−
娘「お父さんお帰りなさーい」
浩平「ただいま」
娘「はい、タオル」
浩平「サンキュ」
ごしごし
浩平「いや〜、参った参った、突然降り出して来るんだもんなー」
娘「ねえ、お父さん」
浩平「うん?」
娘「この写真に見覚え無い?」
浩平「写真? ・・・・・・・ぐ・あっ!」
ガバッ
ドタドタドタドタドタ

−台所−
ドタドタドタドタドタドタドタドタ
ん? 浩平が走ってるのかな?
浩平「瑞佳っ!!!!」
はぁはぁはぁ
瑞佳「あ、浩平お帰り」
浩平「『お帰り』じゃあないっっ!!」
あれ、浩平がなんだか血相を変えてるよ
瑞佳「浩平どうしたの?」
浩平「どっからこれを持ち出したぁっ!」
ものすごい形相の浩平が手に持っていたのは、さっきの結婚写真だった
瑞佳「あ、これね、今日大掃除したときに見つけたんだよ。 懐かしいよねー」
浩平「懐かしくなんか無いっ! 俺はこれでひどい目にあったんだっ!」
瑞佳「そうだった?」
浩平「そうだっ!!」
娘「へぇー、何があったのか気になるなー」
浩平「うっ!」
娘「ねぇ、お父さん何があったの?」
浩平「こ、子供には関係ないことだっ!」
瑞佳「うわー、私も気になるよーー」
娘「ねぇねぇ、お父さ〜ん」
瑞佳「浩平〜」
私と娘は二人で浩平を質問責めにした
浩平「あー、もう、同じ顔で迫ってくるなーーっ!」
瑞佳&娘「あはははは」
浩平「笑い事じゃないぞーっ」

こうしてこの日の夜は更けていった

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――終わり
は〜い、ようやく終わりましたー
真希「引っ張りすぎ」
・・・ごめんなさい
それにしても、おおぉぉぉっ、ギャグを入れられないのは辛かったー。 基本的に僕はこう言うのは柄じゃないんだよね
真希「それ、自業自得って言わない?」
・・・かもしんないね(汗)
 ま、それはともかく、この『後編』は、「前編」「中編」に比べて異様に長くなってしまったので、申し訳ないことに、分割するという暴挙に出てしまいました。 いや、この長さで一本として投稿すると、読み込むときに、異様に重くなっちゃうので(汗)
 おまけに、前編、中編は、だいぶ前に投稿してるので、「知らねぇぞー」って人も居そうですけど、一応僕のHPに置いてますんで、気になる人は、暇なときにでも見に来てやってください  (おまけシナリオもありますんで...)
 それでは

>GOMIMUSI様
D.S chapter.2
徐々に明らかになる世界、続きが楽しみです
でも、瑞佳第2形態って...(汗)

>SOMO様
争奪戦3
ホレ薬、私も欲しいです(爆)
暴言を吐きまくる澪ちゃん、可愛いです。彼女がやれば怒れないなー(笑)
次回、瑞佳と茜の浩平を巡る壮絶な戦いの火蓋がついに切って...落とされないんだろうなー(笑)

>本間ゆーじ様
Go!Go!あっちの世界へ!!!
うおおぉぉーーー、・・・・・・・七瀬こわひ(爆)
瑞佳、早く助けに行ってやってくれー

えー、以上です、感想少なくてすみません
あ、私のは別に書かなくて良いですよ(^^)
では、リレーSSが久しぶりに続いて狂喜乱舞しているばやんでしたー

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/3821/