結婚写真 −中編− 投稿者: ばやん
私と浩平は、お店の店員さんに促されるままにそのお店の中に入った
お店にはいると、その店員さんは焼きたてのチーズケーキを食べていたところらしく、おいしそうなにおいが店内に立ちこめていた
いつもの私なら『あ、おいしそうなにおいですね』ぐらいのことは言いそうなものだけど、今の私はボロボロと泣いている最中だった
瑞佳「うぐっ、えぐっ」
浩平「長森〜、いい加減に機嫌直せよ〜」
だって、浩平がいつまでたっても私の気持ちに気づいてくれないんだもん
瑞佳「えぐっ、うっく」
店員「まぁまぁ、いきなり泣きやめって言われてもなかなかそうはいかないだろう。 気長に待つことだね」
浩平「俺は、そんなに待てない」
店員「やれやれ、せっかちさんだね」
瑞佳「ひっく」
浩平「ほら、長森さっさと泣きやめ」
ゆさゆさ
浩平が私を揺さぶりながらそんなことを言う。 浩平勝手だよー
店員「こらこら、泣いてる女の子になんて事するんだい」
浩平「長森にはこれぐらいがちょうどいいんだ」
うぐっ、浩平ひどいよー
瑞佳「うわーん」
気が付いたら、また私は激しく泣き出していた
浩平「ぐあ、元に戻ってしまった」
店員「・・・・・・・」
あれ? 店員さんどうしちゃったんだろう?
ぼかっ
浩平「いてっ、何するんだっ!」
店員「これぐらいは当然だと思うぞ、全くこんな可愛い彼女がいながらなんて事するんだい」
あ、私の代わりに怒ってくれたんだ
浩平「ちょ、ちょっと待てっ」
店員「この期に及んで言い逃れとは見苦しいぞ越前屋っ!」
浩平「・・・・・・・・・」
瑞佳「・・・・・・・・・」
店員「・・・・・・・すまない、つまらないことを言ってしまった」
浩平「いや、いい」
この店員さんって、センス無いね
店員「ごほんっ!」
あ、ごまかしてるよ
店員「それで、ちょっと待てとはどういう事かな?」
浩平「あ、ああ。 まだ言ってなかったが長森は俺の彼女じゃない」
店員「え? そうなのかい?」
浩平「そうだ」
店員「本当にホント?」
浩平「本当に本当だって」
店員「うーん.....本当に君たちは恋人じゃないのかい?」
そう言って店員さんが私の方を向いている
浩平「・・・なんで長森に聞いてるんだよ」
店員「男は、良く照れ隠しで嘘を付くからね」
浩平「照れてないっ!」
店員「あー、わかったわかった。 で、どうなんだい?」
店員さんが優しく私に聞いてくる
瑞佳「ぐすっ、違うもん」
−今のところは−
本当は、このセリフも入れたかったけど、今ここで言っても浩平にはわからないだろうからやめておいた
店員「・・・そうか」
あれ? なんか今間があったよ
浩平「な? 俺は嘘付いてないだろう」
店員「そうだな、それじゃ、君たちの関係はどういう関係なんだい?」
浩平「俺と長森は幼なじみだ」
店員「あ、なるほどー、『腐れ縁』って奴か」
浩平「そうそう、そんな感じだ」
浩平が力一杯頷いてる
何もそんなに力一杯に肯定しなくても良いのに...わかっていたことだけど私悲しくなって来ちゃったよ
店員「おや、そろそろ泣きやんでくれたかな?」

浩平「長森、少しは落ち着いたか?」
浩平が心配そうな顔をして私の顔を覗いている
ちゃんと心配してくれてたんだ
そう思うと、嬉しかった
瑞佳「ぐすっ、大丈夫だよ」
浩平「そうかそうか、そいつは良かった」
浩平が嬉しそうに笑ってる
浩平もちゃんと心配してくれてたんだね
私すっごく嬉しいよ
浩平「それじゃあ、そろそろ言えるな、なんでさっき泣いていたのか」
え?
浩平「なぁ〜、長森話してくれるんだよなー?」
はぅ〜、浩平がなんか不適な笑みを浮かべてるよー
さっきの笑顔は、このためだったんだー
浩平を甘く見ていた私の考えが浅はかだったよー
私が自分の中で後悔しているときも、浩平の攻撃は容赦なく続いている
浩平「ほら、長森さっさと吐けっ」
い、嫌だよー
瑞佳「・・・・・・・・」
私は、取りあえず無言を通した
浩平「ふっふっふ、あくまでしらを切るつもりだな、それなら...」
そう言って、浩平が突然立ち上がって私の後ろに回る
な、何をするつもりなの?
浩平「そう言う奴には、お仕置きだ〜っ!」
ぐりぐりぐりぐり
浩平が私のこめかみをぐりぐりする
瑞佳「きゃーー、浩平痛い、痛いよー」
浩平、乱暴だよー
店員「こ、こら、君やめなさいっ!」
見かねた店員さんが私に助け船を出してくれた
浩平「ちぇっ、わかったよ」
浩平が渋々を手を引く
うー、痛かったよー
店員「君もなかなか乱暴なことをするね」
浩平「こんなの普段の挨拶だろう」
店員「いや、それは...相手が男ならそうかもしれないけど...」
そうだよっ!
とても女の子相手にする行動じゃないよー
浩平「えっ!? そうなのかっ!?」
浩平は、まるで今まで知らなかったと言うぐらいに驚いてる
店員「・・・・・・・君、他人から変わってるってよく言われるだろう」
浩平「ま、“ごくたまに”な」
違うよっ!
浩平いっつも言われてるよー
店員「・・・・・・・はぁ、まぁいい」
店員さん、私と同じ様な溜息付いてる
やっぱり、浩平と付き合うとみんなこうなるのかな?
店員「とにかく、彼女も泣きやんだみたいだし。そっちでケーキでも食べながらゆっくりと話でも聞こうか」
瑞佳「え? いただいて良いんですか?」
すかさず私が聞き返していた
だって、あのチーズケーキ本当においしそうなんだもん
店員「どうぞどうぞ、一人じゃちょっと多かったしね」
瑞佳「わ〜〜♪」
浩平「長森、お前って現金な奴だな、そんなんじゃもてないぞ」
瑞佳「いいもんっ もてなくても」
これは私の本心だった。
私は、浩平にさえ気に入られていられたら良いんだよ
浩平「よし、それでこそ長森だ」
・・・なんか、浩平が失礼なこと言ってるけどこの際気にしない事にする

店員「さぁ、どうぞ」
店員さんが、私と浩平の分のチーズケーキを切って私たちの前に運んできてくれた
浩平&瑞佳「いただきま〜す」
パク
モグモグ
瑞佳「おいしいっ」
浩平「本当だ」
店員「そうか、良かった」
暖かいチーズケーキって言うのも珍しい気がするけど、これもおいしいね
私は新たな発見をした気分だった
瑞佳「あの、これって手作りですよね?」
店員「あぁ、そうだよ」
幸せそうな顔をして店員さんが答えてくれる、きっと彼女が作ってきてくれたんだね
いいなー、私がこういうの作ったら浩平こんな顔してくれないかな?
ふと浩平の方を見てみると、浩平は黙々とフォークを動かしていた
よっぽど気に入ったみたいだね
私も作ってみようかな?
浩平「おかわりっ!」
いち早く食べた浩平が皿を店員さんに差し出す
瑞佳「ちょ、ちょっと浩平、いくら何でも厚かましいよー」
浩平「いいじゃないか、減るもんじゃないし」
瑞佳「しっかりと減るよーっ」
浩平「作った人だって、俺に食われた方がきっと幸せだぞ」
瑞佳「その人は、浩平の事知らないよーっ」
浩平「っと言うわけで、おかわり」
瑞佳「ぜんっぜん、どういう訳かわかんないよーっ」
店員「はっはっはっは、よっぽど気に入ったんだね」
浩平「ああ、これ美味いぞ」
うー、浩平がこんなに気に入ってる、絶対に今度作ってみよう
そしたら、浩平私に振り向いてくれるかもしれないもん
店員「気に入ってもらえたのは嬉しいけど、これ以上はあげられないよ」
やっぱり、愛情のこもった差し入れを人に食べられるのは嫌なんだよ
浩平「なんでだよ」
浩平、気づいてないみたい
店員「いや、まぁ、せっかく僕の彼女が作ってくれたんだから、これ以上はちょっと...」
浩平「そんな冷たいこと言わないでさ」
店員「ダ〜メ、どうしても食べたかったら、そちらのお嬢さんにでも頼んでみたらどうだい?」
そう言って、私の方に話を振ってくれた。 気を使ってくれたのかな?
浩平「うーん、  長森、これ作れるか?」
浩平が真剣な顔をして私に聞いてきてる
瑞佳「うーん、やってみないとわかんないけど、多分できると思うよ」
浩平「そうか、よしっ、今度頼むな」
瑞佳「うんっ!」
私は力一杯答えた
店員「どうやら仲直りができたみたいで、よかったよかった」
店員さんがニコニコしながら私たちを見ていた
やっぱり、気を使っていてくれてたんだ
浩平「いや、まだ謎は解けてないぞ」
うー、浩平まだ根に持ってるよー
瑞佳「え、えっとー....あ、あははは」
私は何とかごまかそうと笑った
浩平「長森っ」
ぎゅっ
瑞佳「え? わっ、こ、浩平ー」
浩平が私の手を握りながら真剣な顔をして私を見つめる
な、なんだか恥ずかしいよー
浩平「長森、俺達はずっと一緒にいたよな」
浩平が凄く真剣な表情で私に聞いてくる
瑞佳「え、う、うん」
浩平「それじゃあ、俺達って、お互いに秘密のない関係だよな」
瑞佳「え、そ、それは...」
うわー、浩平そのセリフって・・・
はぅ〜、胸がドキドキして来ちゃったよー
店員「幼なじみで普通そこまでの関係には行かないと思うよ」
・・・店員さん、せっかくのいい雰囲気を壊さないでよ
浩平「あ、それもそうだ」
浩平も納得しないでよーっ
はぅ〜、ひょっとしてドキドキしてたのって私一人だけなのかな
瑞佳「・・・・はぁ」
浩平「ん? 長森どうした?  ま、いっかとにかくそろそろ理由を教えてくれ」
瑞佳「え、えっとー」
ど、どうしよう
こんな事恥ずかしくて言えないよー
私はそんなことを考えながら、店頭のウェディングドレスをちらちらと見ていた
そうしていると
店員「ああぁぁっっ!!」
突然店員さんが大きな声を上げた
店員「うん、そうか、そう言うことか」
なんだか、一人で納得してるみたい
浩平「どうしたんすか?」
店員「ふむ、こっちはそうでもないみたいだな」
浩平「は?」
店員「あ、いやいや、なんでもないよ」
浩平「すっごく気になるぞ」
店員「大丈夫、大丈夫」
浩平「何が大丈夫なんだよー」
店員「まぁ、それはいいとして」
浩平「よくないっ!」
店員「ちょっと君たちに頼まれ事をお願いしても良いかな?」
瑞佳「なんですか?」
なんだか店員さんが気を利かせてくれてるみたいだから、私はいち早く答えた
浩平「嫌だ」
やっぱり、浩平は嫌がってるよ
きっと、自分を無視されて怒ってるんだよ
もう、本当に子供だよね
瑞佳「浩平、せめて話を聞いてからにしようよー」
店員「そうそう、人の話はちゃんと聞こうね」
浩平「ふっ、俺はそんなに暇じゃないさ」
ガタッ
あ、浩平帰ろうとしてるよー
店員「ケーキもう一つどうだい?」
浩平「ま、まぁ、聞くぐらいなら別に構わないかな」
・・・浩平、単純すぎるよ
瑞佳「・・・はぅ」
店員「君も普段大変だろう?」
店員さんが同情のまなざしで私を見ている
瑞佳「・・・はい」
私は素直に頷いた
店員「そうだろうなー」
浩平「????? なぁ、もらって良いのか?」
浩平がケーキを催促してる、食い意地貼りすぎだよ
店員「あ、どうぞどうぞ」
浩平「いっただっきま〜す」
パクパク、モグモグ
ガツガツ
浩平が夢中で食べてる、このケーキおいしいもんね
店員「さて、そろそろ話を戻してもいいかい?」
瑞佳「は、はい」
浩平「俺達に頼まれ事とか言ってたな」
口の周りを汚しながら浩平が答える、汚いよー
店員「あぁ、実はそうなんだ。 今日ちょっとした撮影をする予定だったんだけど、モデルが急にこれなくなっちゃってね。困ってた所なんだよ」
浩平「撮影って、ここはなんの店なんだ?」
店員「・・・見りゃ分かるだろう、写真屋だよ」
浩平「えっ!? そうだったのか 全然気づかなかった」
店員「・・・・・・・・・・」(泣いてる)
瑞佳「え、えっとー、げ、元気出して下さい」
取りあえず、フォローは入れてみた
店員「・・・ありがと。それでだ、急なことで悪いんだけど、君たちが代わりにモデルになってくれないかな?」
浩平「ペアヌードか?」
うわー、浩平とんでもないこと言ってるよー
瑞佳「わ、こ、浩平いきなり何言い出すんだよー」
浩平「ん? 何かおかしいか?」
瑞佳「おかしいもなにも、普通そんなこと考えないよー」
浩平「そうか?」
瑞佳「・・・・・はぁ」
浩平、どこまで本気で考えてるかわかんないよー
店員「大丈夫大丈夫、怪しいもんじゃないから」
店員さんが、あわててフォローを入れてくれる
浩平「なんだ、つまらないな じゃ、やらね」
はぅ〜、浩平せっかく店員さんが私たちに気を使ってくれてるのに〜
店員「まぁまぁ、君黒い服は着てみたくないかい?」
浩平「なに?」
店員「いや、だから、黒くて格好いい衣装だけど」
浩平「いいね〜、俺『黒服』って憧れてたんだ、なんか血沸き肉が踊るって感じがするし、黒服こそ男のロマンだよなー」
店員「そうかそうか、男に生まれてきたからには、一回ぐらいはあの衣装を着ないとね」
浩平「あんたも分かってるじゃないか」
店員「当たり前じゃないか」
浩平「ふっふっふ」
店員「わっはっは」
・・・・私思うんだけど、浩平と店員さんが考えてる衣装って違うと思う
店員「はっはっは、はぁー疲れた、っと言うわけで了承してくれるな?」
浩平「もちろんだっ! 心の友よっ!」
浩平、大げさだよー
店員「よしっ、じゃあ、お嬢さん、君はどうだい?」
店員さんが私に優しい口調で聞いてくれる
瑞佳「もちろんいいですよ」
わざわざ、私のためにあんな嘘まで付いてくれているのに、断る理由なんか私にはなかった
店員「そうか、助かったよ」
本当にほっとしたような表情を作りながら店員さんが私たちに感謝の言葉をかけてくれる
結構演技が上手だね
浩平「んで、ギャラは?」
店員「チーズケーキおいしかっただろう?」
浩平「しまった、買いたたかれてたのかっ!」
店員「んっふっふ、まだまだ青いな」
浩平「くっそーーーっ!」
店員「ま、そんなことはともかく、二人とも着替えてもらうよ」
瑞佳「はい」
浩平「おう」
店員「うーん、しかし...お嬢さんの方はちょっと時間かかるね。 君の方はまだゆっくりして良いよ」
浩平「あ、それなら俺サングラス取ってくる」
店員「サングラス?」
浩平「やっぱり、黒服には必須アイテムだろう?」
やっぱり、浩平はそっちで考えてたんだね
店員「えっとー。あ、そうかっ うんうんそうだねー」
浩平「じゃ、俺一端帰るわ」
瑞佳「うん、浩平ゆっくりしてきてもいいけど、すっぽかしたらダメだよ」
浩平「こんな面白そうなことすっぽかすはず無いだろう、じゃな」
バタン

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−つづく
うわっ、2話で終わらなかった(汗)
真希「それもあるけど、ちょっと間が空きすぎじゃないの?」
それは、僕の実力不足
真希「・・・・内容もとんでもなくベタだし、やっぱあんた才能無いわよ」
うぇーん、真希ちゃんが虐めるよー
真希「はいはい、どうせ私は虐めっ子よ」
開き直んないでよ
真希「んで、続きは?」
・・・まだ全然できてない(汗)
真希「はぁ、とにかく急ぎなさいよ すずうたSSだって出てきてるんだからね」
・・・いっつも頑張ってるんだけどね(泣) じゃ、今日のつぶやきは終わり〜

>パル様
メドゥーサの瞳
うっ、僕はすずうたやってないけど  なんか可愛いですね(^^)

>YOSHI 様
〜永遠の過ごし方〜
なんか、みんな暗いですねー  自分の生きた証か...なんかあるかな?

>シン様
パーティー
うわー、どたばたしてるなー(^^) まるで、記念SSの様な感じですね(^^;

えー、以上です(たった3人かいっ!)
すんません、忙しくて最近全然読んでないんですよ(泣) ログはちゃんと取ってるんですけど...

http://http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/3821/