剣技修行ZERO NO.1 投稿者: ブラック火消しの風
「お帰り、姉さん。」
「ただいま、お父さんとお母さんは?」
「今日も仕事で遅くなるって。」
「そう、じゃあご飯まだでしょ?」
「うん。」
「ちょっと待っててね?今、作るから。」

姉さんは台所に行って料理を始めた。
僕はテレビの前に寝っころがりテレビをつけた。

「シュン?今日は学校は?」
「・・・つまんないから、帰ってきた。」
「だめよ、ちゃんと授業受けないと?」
「うん、でも、もう、入る学校決まってるし、
 必要ないかなと思って。」
「でも、最後までちゃんとやりなさいね?」
「うん、わかった。姉さんがそういうなら。」
「さあ、ご飯できたわよ?」

ピンポーン!

僕がテーブルに向かうとチャイムが鳴った。

「僕が出るよ。」

僕は玄関に行った。

「はーい、誰ですか?」
「・・・私です。」
「ミユか?ちょっと待っててね。」

ガチャ

ドアを開け、外に出た。

「こんばんわ、ミユ、所で何か用事?」
「はい、あなたの分の手紙等持ってきました。」
「あ、ごめんね、わざわざ。」
「いえ、いいんです、どうぞ。」
「ありがとう。」

ミユから手紙等が入ったクリアファイルを受け取った。

「それじゃあ、私はこれで帰ります。」
「うん、わざわざありがとうね?」
「・・・あの、明日は学校に来るの?」
「うーん、多分行くと思うけど。」
「そうですか・・・それではさようなら。」
「ばいばい。」

ミユを見送って家に入った。

「誰だったの?」
「ミユだった、今日の学校の配布物を届けてくれたんだ。」
「そう、どれ、姉さんにちょっと見せて?」
「うん、はい。」

僕はクリアファイルを姉さんに渡した。

「さあ、冷めないうちに食べて。」
「うん、いただきます。」

・・・・・・・
・・・・・・

僕は夕御飯を食べ終わり一休みした。

「シュン、お母さん、卒業式行けるって?」
「・・・仕事があるから、だって。」
「そう・・・だったら、姉さんが行こうか?」
「え?!」

僕は嬉しかった。大好きな姉が来てくれるって言うから。

「本当?お願いしてもいいかな?」
「うん、いいわよ。そのかわり明日から一日も学校休んじゃだめよ?」
「うん、そんなんでいいの?わかったよ。」
「さてと、あとかたずけしてお風呂に入ろうかな。」
「さて、僕は部屋に戻ろうかな。」

部屋に戻りベッドに寝っころがった。
しばらくごろごろしていると電話が鳴った。

プルルルルルル・・・

僕は無視して目を閉じた。

プルルルルルル・・・

なかなか鳴りやまないので電話に向かった。

「姉さんいないのかな・・・」

僕は電話にでた。

「はい、もしもし。」
「柳だけど、お姉さんいる?」
「・・・いえ、今、いませんけど。」
「いつぐらいに帰ってくるのかな?」
「さあ、わかりません。」
「・・・わかった、また電話します。」

ガチャン!

この柳という男、姉さんと同じ大学の一年で最近よく姉さんに電話してくる
やつで、姉さんもけっこう楽しそうに話しているやつだ。

「・・・邪魔だな、彼奴。」

カチャ

お風呂場のドアが開く音がして姉さんが話しかけてきた。

「シュン?電話誰だったの?姉さんお風呂入っていてでられなかったから。」
「・・・でようと思ったんだけど・・・切れちゃったよ。」
「そう、まあいいわ、用があればまたかかってくると思うから。」
「僕、もう寝るね。」
「そう、おやすみ。」
「おやすみなさい。」

部屋に戻って眠りについた。


僕はいつも通り5時に起きて修行にでた。
いつもの裏山に行くとミユもいつも通りいた。

「おはよう。」
「おはようございます。」
「さて、始めるかな。」

僕は剣気を集中して岩の前に立った。

「ふう、バーニングブレード、レベル百五十三。」

ブーーン、ドバーーン

「今日は調子が悪いな。」

そう、いつものことだが彼奴からの電話があるたびに僕はそのことが
頭から離れなくて、調子がでない。もしかするとあの男が姉さんの・・・

「・・・邪魔だな、アルテマブレード、レベル四百二!」

ズーー、ドッ!グアーーン!!

「・・・・・」
「・・・シュン、あぶな、」
「え?」

ガン!

アルテマブレードの爆発により飛んできた岩の塊が僕の頭に直撃した。
頭からは血が流れてきた。

「あいててて、またやっちゃった。」
「・・・大丈夫ですか?」
「けっこう、やばいかも。」
「頭ですね、私の膝に頭をおいてください。」
「うん。」

僕はミユの膝に頭をおいた。
するとミユは僕の頭に手を置いて、傷をなおしてくれた。

「・・・はあ、はあ、これ、で、大丈夫。」
「ありがとう。」
「・・はい。」

その後僕たちは家に帰った。
僕は姉さんの作ってくれた朝ご飯を食べて学校に行く準備をした。
準備が終わり家を出るとミユがいた。

「どうしたの?」
「・・・今日、学校に行くと言っていたので、迎えに来ました。」
「そう、あれ?ミユ、髪型変えたの?」

僕の前にいたミユはいつもの髪型と違いポニーテールに変わっていた。

「はい、今、気づいたんですか?」
「うん、そうだけど。」
「朝は気づきませんでしたか・・・」
「うん、全然気づかなかった。」
「そうですか、あの、似合いませんか?」
「似合うと思うよ。みてくれる人はみてくれるんじゃない?
 君の変わった所。」
「(あなただけにみて欲しいのに・・・)」
「じゃあ、学校行こうか?」
「はい。」

僕たちは学校に向かった。
学校につき教室に入ると、席についた。
やがて長い自習時間になった。

「なんで半日も自習してなきゃいけないんだろ・・・」

僕はしびれをきらして体育館に行った。

「ここは静かでいいや・・・」

僕は体育準備室にマットを敷いて寝ころんだ。
・・・・・
・・・・
・・・

ガコン!

でかい音に起こされた。
僕は体育準備室を出て体育館の出口にいくと見事に鍵が閉まっていた。

「あちゃー、寝過ごしたか・・・どうやって出ようかな?
 まあ、いいや。もう少し寝ようっと。」

僕は再び体育準備室に入りマットに寝ころんだ。

「スー、スー。」
「何の音だろ?僕の寝息か。」
「スー、スー。」
「まだ僕寝てないんですけど・・・」

音のする方を見た。誰か他に寝ている人がいた。

「誰ですかー?」
「スー、スー。」

返事は帰って来なかった。

「まあ、いいや。僕も寝よう。」

僕は再び眠りについた。
・・・・・

ユサユサユサ

誰かが僕を揺すっている。

「うーん、もうちょっとだけ、寝かして、ん、あと、五分。」

五分たつと再び僕の体を揺すってくる。

「起きてください。」

この声はミユの声だった。

「ミユかい?」
「はい。」
「なんでここにいるの?」
「・・・私もしばらく寝ちゃって、起こしそびれちゃいました。」
「そう。」
「早く帰りましょう?」
「さっき、鍵閉められちゃって出られないよ。」
「そうなんですか。」
「ドア壊して出ようか?」
「・・・その方法しかないなら明日まで待ちましょう。」
「でも、姉さんが心配するからな・・・」

僕は体育準備室を出て周りを見渡した。
上を見たとこで窓があることに気がついた。

「あそこから出ようかな?」
「待ってください。私は?」
「一緒に出よ。」
「私があそこから飛び降りたら両足粉砕骨折しちゃいますよ。」
「じゃあ、僕が抱いて飛び降りるから。」
「・・・・・」
「よし、じゃあ行こうか。」

僕達は二階に上がり窓を開けた。

「地上まで4メートルってとこかな。」

僕はミユを抱いて飛び降りた。

「はい、着地っと、どうぞ。」
「・・・ありがとう。」
「じゃあ、帰ろうか?」
「・・はい。」

そして僕たちは帰宅した。

「ただいまー。」

家に入ったが誰も出迎えてはくれなかった。

「誰も、いないのかな?」

僕はかばんをおろして部屋に入った。

「もう、こんな時間なのに、誰もいないのか・・・」

時計を見ると9時を回っていた。
とりあえず何か食べようと思い台所に足を運んだ。

台所に着いたら冷蔵庫を適当にあさって食料を調達した。
ご飯と適当に食べあわせて夕飯を終わりにした。
そのあとすぐに部屋に戻り勉強をした。

「今日はこの教科書を見てみよう。」

フリーズブレードはレベル八百を越えるとそのときの温度は絶対零度
(セ氏マイナス273.16度・・・物理的に考えられる最低温度)になり
斬りつけたあらゆるものを凍りつくす。さらにこの剣技で斬りつけた場合
主防御剣技(クリスタルブレードは除く)ではその冷たさに対応できず砕けて
しまう。

「なるほど、勉強になるな・・・さてと、そろそろ寝るかな。」

教科書を閉じて着替えてベッドに入り眠りについた。


チリリリ・・・

カチャ!

目覚ましを止めてベッドから出た。

「修行の・・・時間か・・・グウ。」

眠気をさますために顔を洗う水に氷を入れた。

バシャ!バシャ!

「・・・きたーーーーーー!」

眠気は一気にさめた。

「さあ、行くか。」

僕はいつもの裏山に向かった。
またいつも通りミユが待っていた。

「おはようございます。」
「おはよう。」

岩の前に立ち精神を集中させる。

「ブラックルブレード、レベル五十四!」

ズッ、ズズズズ・・ガギィーン!
ボトッ、ゴロゴロ、コト・・

「この技はいまいちだな・・・いろいろ試してみるか。」

・・・・・・・
・・・・・
・・・

「そろそろ終わりにしようかな、はは、いい気分だ。」

家に帰り準備をして学校に行った。

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・

いつものように自習を受け、午前が終了して家に帰った。

「ただいま。」

家には誰もいなかった。

「また一人、か・・・」

僕は軽く昼食を食べて裏山に行った。

・・・・・・
・・・・

「今日は特別に昼も修行だ。」

いらいらさせる気持ちが僕に修行させる気持ちを起こした。

・・・・・・
・・・・
・・・

「(なんで姉さんはいつも僕の側にいてくれないのだろう・・・)」

ガン、ガラガラ・・

「(僕だっていつも一人でいたいわけじゃないのに。)」

シュィーーン、ズーーー

「はあ、はあ、はあ、まだ、まだ!消えない!何でこんなにいらいらするんだ!」

あちこちの岩を破壊して剣気が尽きかけていた。

「まだだ、でろぉ!フレームブレーーード!」

ブーーン、ブーーン

「ふう、う、う、ううう、ぐぐ、・・」

体がきしむように痛かった。僕の命から力を吸収して作り上げた剣だった。

「は、はは、こういう作り方、も、あるんだ。」

僕はその剣で残っている岩に斬りかかろうとしたとき体の力がすべて抜けて
剣も消え、意識も消えた。

・・・・・・・
・・・・・

「あなたは何故そんなに苦しんでいるの?」
「わかんないけど、なんか苦しいんだ。姉さんと一緒にいられないことが。
 家の中に一緒にいるだけでいい。一人になりたくないんだ。」
「ふふふ。」
「何がおかしいんだい?」
「あなたは人を信用しすぎているのよ。特に好きな人にね。」
「信用しちゃいけないのかい?」
「信用するから苦しむんじゃない・・・信用するから思いこむんじゃない。」
「・・・間違いじゃないような気もするなあ。」
「世の中で信用していい人、信用しなきゃいけない人は・・・自分自身よ。」
「・・・・・」
「だから、私の言うことも信用してはいけないんじゃない?ふふふ。
 まあ、私の言ったことは未熟なあなたの心の参考程度にね?」
「でも、僕は・・・」
「あなた自身、答を見つけなさい。一つだけ言っておいてあげる
 信じるから裏切られるのよ。」
「信じるから・・・裏切られる?」

・・・・・・・・
・・・・・

気がつくと僕は芝生の上に倒れていた。
空を見上げながら思った。

「(あの言葉・・・正しいかも。)」

意識の中に出てきたあの言葉がやけに頭から離れなかった。





ブラック火消し「読んでくれた方々、感想をくれた方々どうもありがとうございます。
        それでは失礼いたします。」