人の想い NO.3 投稿者: ブラック火消しの風
しばらく無言のまま抱き合っていた俺と長森、俺は長森がこのままだと
濡れて風邪ひくと思い下に落ちた傘を拾って話しかけた。

浩平「さあ、帰ろうか、お前も寒いだろう?」
瑞佳「うん、そうだね。」
浩平「家までおくってやるよ。」
瑞佳「うん、ありがとう。」

俺たちは長森の家に向かって歩き始めた。
10分位歩いた所で長森の家が見えてきた。

浩平「今日は悪かったな、ちょっと勘違いしていてな。」
瑞佳「・・・そう、でも、もうあんなこと言わないでね。」
浩平「ああ、約束する。」
瑞佳「それと、約束ついでにもう一つ、明日、朝起こしに行くから
   寝ていてね。起きてちゃだめだよ?」
浩平「うーん、けっこう難しいなそれ、そういう時に限って
   起きちゃうんだよなー、これがまた。」
瑞佳「大丈夫だよ、浩平なら起きてるわけないから。」
浩平「そうだな、わかった、よろしくな!」
瑞佳「うん。」

俺たちは久しぶりに笑顔で話をしていた。久しぶりといっても
何十日も話してなかった訳でもないのにとてもなつかしく感じた。
そして俺は長森と別れ自分の家に向かった。
家についたら服を乾かして風呂に入り、ベッドに入った。
まだ俺の居場所はあったようだ。特に俺がいても
変わった様子はなかった。
そんなことを考えているうちに眠りについた。

???「この世界はあなたが本当に望んでる?」
浩平「ああ。」
???「なんで?」
浩平「理由、か・・・」
???「くるしいから?」
浩平「・・・わからない。」
???「にげるの?」
浩平「・・・逃げる?・・俺が、逃げる、か・・にげる・・・」
???「その望み・・・悲しいな、私。」
浩平「・・・・・」
???「えいえん・・・か。」


ガバッ!

浩平「ふう、夢か。そうか、夢なのか・・・」

俺は時計を見た。

浩平「まだ5時か・・・本当に、来てくれるのかな。」

俺はもう少し眠ろうと思いベッドに入った。
・・・・・
・・・

カシャ

瑞佳「浩平、起きて、朝だよ。」
浩平「んー、来てくれたのか・・・ありがとう。」
瑞佳「え?や、やだぁ、いつもそんなこと言わないのに
   てれちゃうよ。」
浩平「そうか、さて、学校行こうか?」
瑞佳「うん。」

俺はスパ、スパッと準備をして長森と一緒に学校に向かった。
学校につき俺がもらった他のやつの視線はとても痛かった。

護「君、うちのクラスだったっけ?」
浩平「・・・・」
瑞佳「・・・何言ってるの、住井君!」
浩平「長森・・・いいんだ。」
瑞佳「え?なんでよ。良くないよ!」
浩平「もう、いいんだ。」

俺は席につきつらい視線に耐えていた。
しかし、さすがにしびれをきらして昼休み前に学校を後にした。
誰にもわからないように・・・
そして俺がやってきた場所は、何もない草原だった。
ここは広くて良かった。なんか、こう・・・

茜「やっぱり、ここにいましたか。」
浩平「・・・よくわかったな。」
茜「ええ、ここは、二つの思い出の場所だから、一つは悲しいこと
  もう一つはうれしいこと。」
浩平「そういえば、雨の日以外でお前とここで会うの、
   初めてだな。」
茜「そうですね。」

茜は周りを歩きながら喋っていた。
しかし、その姿はうれしそうではなかった。

茜「浩平、なんで帰ったんです?」
浩平「何となくつまらなかったから。」
茜「・・・嘘は、いいです。帰った理由も知っています。」
浩平「そうか、ならその通りだ。かまわないでくれ。」
茜「そうはいきません。」

茜は足を止め、俺の瞳をみつめた。
俺はその視線から目をそらした。

浩平「・・・・」
茜「どうしたんです?私の目がみれないんですか?」
浩平「いや、そんなに真顔でみられるとな。」

茜はとても悲しい表情をしながら話した。

茜「この世界はきらいですか?」
浩平「いや、きらいじゃない。」
茜「だったらなぜ遠くに行こうとするんですか?」

俺は草の所に座り話した。

浩平「俺はこの世界が好きだ。俺の友達もみんないいやつだ。
   俺の今流れている時間に感謝したい。それは俺自身
   心から認める。」
茜「だったらなぜ?」

俺は茜の瞳を真っ直ぐに見た、茜も負けずと俺の瞳を見ていた。

浩平「話、聞いてくれるか?」
茜「はい、お願いします。」

話してみようと思った。
それでわかってもらえるのなら・・・


ブラック火消しの風「読んでくれた方々、感想をくれた方々どうもありがとう
          ございます。それでは失礼いたします。」