人の想い NO.2 投稿者: ブラック火消しの風
雨が降っている中、無意味に歩く。
浩平はもう帰る家がないことを予想して帰らなかった。
何も考えず時間が過ぎるのを待つかのように歩いていると
小さい女の子が傘もささずに歩いていた。
浩平は女の子に近づき傘に入れてあげた。

浩平「どうした?傘は?」
女の子「ないよ。」
浩平「どうしてだ?」
女の子「公園で遊んでたらまた雨ふってきたの。」
浩平「そうか・・・俺の傘、使え。」
女の子「お兄ちゃん、自分が濡れちゃうよ?」
浩平「いいんだ、俺は。・・・もう、家、近いから。」
女の子「でも・・・」
浩平「風邪ひいたら大変だから、な?」
女の子「うん、ありがとう。明日必ず返すね。お兄ちゃんの
    お名前は?」
浩平「言ってもすぐ忘れるから、その傘あげる。」
女の子「ぶぅ、私、そんなに頭悪くないもん!」
浩平「そうじゃないんだ・・・そうじゃ。」

浩平は女の子に傘を持たせると雨が降っている中歩き始めた。

女の子「あ、お兄ちゃん!明日この公園に来てねー!約束だよ!」

浩平は叶わない約束だとわかっていたが答えた。

浩平「ああ、わかった!絶対行く。」
女の子「うん、じゃあねー。」

女の子は自分の家に向かい、浩平もまた歩き始めた。
浩平はあれから一時間程、びしょびしょになりながらも歩いていた。
そして学校を通り過ぎようとすると前から長森が傘をさして歩いていた。
今朝のことを思い出し他人のように通り過ぎようとしたが、
目の前で長森は立ち止り話しかけてきた。

瑞佳「傘に、入れてあげるよ。」
浩平「・・・ありがとう、長森さん。」

そして次の瞬間、長森は浩平の頬を叩いた。

浩平「・・・痛い。」
瑞佳「当たり前だよ・・・ぶったんだもん。」
浩平「・・・理由は?」
瑞佳「浩平のこと、好きだから。」
浩平「そんなんじゃ理由にならないぞ、長森。」

瑞佳は浩平を抱きしめ泣きながら言った。

瑞佳「ごめんね、ごめんね・・・」
浩平「いや、俺が悪かったんだ・・・すまん。」

二人は雨にうたれながらただ抱き合っていた。


ブラック火消しの風「読んでくれた方々、感想をくれた方々どうもありがとう
          ございます。また、迷惑でなければ読んでください。」