本当の自分 NO.2 投稿者: ブラック火消しの風
浩平「シュン、お前が正しいと言うのなら、なぜみさおを助けてくれなかった。」
シュン「みさお?」
浩平「俺の妹だ・・・父さんと母さんが事故で死んで生き別れた
   たった一人の妹だった・・・たった一人の家族だった!」
シュン「浩、平・・」
浩平「さあ、どけ!シュン!・・・言っても無駄なようだな。
   俺はお前を殺す!」
 
 ガシィィィ!

 シュンは浩平の攻撃を受け止めた。

シュン「君は、何も、何もわかっていない!」
浩平「なんだと?」
シュン「みさおちゃんは君がそんなことをすることを願っていると思うか?」
浩平「みさおは、不幸な人生だった・・・誰がその恨みをはらすんだ?
   それはたった一人の家族、たった一人の兄の俺しかいない!」
シュン「くそ、どうして、どうしてそうなんだよぉぉぉ!!!」

 ガン、ガシィ、ドーン・・・
 ・・・・・・・・・・
 ・・・・・・

浩平「はあ、はあ、はあ。」
シュン「うう、く、く、はあ、はあ。」
浩平「今、楽にしてやる・・・」

 浩平が手にした物、それは刀。

浩平「光輝剣、こんなことに使いたく、なかったが・・・お前を
   殺すためだ・・・全力でいく!」

 浩平は自分の暗気力を剣にこめて全力で突いた。
 シィィィィィ・・・ズシャッ!
 血しぶきが浩平にシャワーのようにかかった。

浩平「長、森・・・」

 浩平が突き刺したのはシュンではなく瑞佳だった。

瑞佳「こう、へい、んん、もう、やめよ?」
浩平「なぜだ、なぜだぁぁぁぁ!」
瑞佳「これ、以上、浩平の姿、・・・はあ、え、へ・・浩平、私、笑顔だよね?
   好き、な、人の、前に、いるんだもん、だから、浩平も、笑って。」
浩平「・・・・・」
瑞佳「だ、だめだ、よ、涙、流しちゃ、笑わ、なきゃ、あのとき、みたいに
   また、一緒に、遊びたかった・・・あ、あ、こ、こう、へ、い・・・」

 瑞佳は笑顔のまま力、を失っていった・・・

浩平「長森・・・」
シュン「なぜ長森さんのやさしさを信用してあげなかったんだ、君は
    みさおちゃんの死のせいにしてやさしさを否定してきたんじゃないのか?」
浩平「そ、そんなことは、そんなことは!!」
シュン「そんなことをしても、みさおちゃんは喜ばない、君も一人の人間だよ、君が
    みさおちゃんの幸せを願っていたようにみさおちゃんも君の幸せを願って
    いたと思う。それをわかってあげるのもわかってあげれるのも本当の兄弟じゃないのか?」
浩平「本当の・・・兄弟・・・」
シュン「君の行動もやさしさからきたもの、そのやさしさがあるんだ・・・
    長森さんの行動の意味、わかるよね。」
浩平「長森・・・長森!!」

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 俺は瑞佳のやさしさを信用できなかったわけじゃなかった、信用したくなかったのだ。
 また運命に裏切られるのが怖かった・・・ずっとみさおと一緒にいられると思った、
 こんなあたりまえの日常が壊れることはないと思っていた、だけど・・・・
 もう、こんな心の痛い思いをしたくなかった。自分の心の弱さからきたものだった。
 俺はあの日から本当の自分を探さず、隠して生きてきた・・・
 瑞佳と再会した日、本当はうれしかったんだと思う、だけど、その生き方が、
 自分の心を封じ込めていた・・・そして意識の中に出てきた炎、あれは・・・
 俺の中の黒い心の炎だった。
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浩平「俺の、俺のために!死ぬことなんかない!」

 俺は自分の生命力をすべて瑞佳に送り込んだ。
 瑞佳の傷口は完全にふさがり体は再び生命活動を行った。

浩平「シュン、お前には教えられたよ・・・ありがとう。」
シュン「・・・・・・・」

 俺は瑞佳を抱きしめた。

浩平「これからは新しい人生を幸せに生きてくれ・・・俺は消える。
   今までありがとう、そして・・・さようなら・・・」

 心に力を込め、俺を知ってる人間すべてに送り込んだ。
 俺の存在を消すために・・・

シュン「この光は・・・そうか、それが君の選んだ道か。」

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浩平「さて、この世界で探そう・・・本当の自分を・・・」

 俺はこの世界を一歩、一歩、歩いて行った。

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ブラック火消しの風「読んでくれた方、感想をくれた方、長い間どうもありがとうございました。
          それでは、失礼します。またお会いしましょう。」