>まえがき
繭が心を開いた存在、みゅー・主人公・長森・七瀬?・おかあさん。
しかし、もしあの日、12月7日、主人公が裏山越えをしなかったら・・・
プレイヤーがその選択肢を選ばなかったら・・・
繭が心を許せる相手というのは・・・?
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第1話「ひとりといっぴき」
11月30日
きょうは公園であそんだ。もちろんみゅーもいっしょ♪ひとが少なかったから、くらくなるまであそんだ。
12月1日
公園はひとがいっぱい。いつものように山へいってあそんだ。みゅーも山が好きみたい。
12月2日
あさから雨だった。家であそんだけど、つまらない。みゅーもたのしくなさそうだった。
12月3日
はれたからきょうも山へいった。でも、みゅーにあまり元気がなかった。心配・・・
12月4日
みゅーに元気がない。おかあさんがおいしゃさんに連れていってくれた。びょうきみたいだけど、よく分からない。
12月5日
みゅー、はやく元気になってほしい。
12月6日
みゅーといっしょに布団でねた。少しでもみゅーに元気を分けてあげたい。みゅー・・・
みゅー、おきて・・・うごいて・・・またあそんで・・・
みゅーも、みゅーも、いなくなってしまうの?
またひとりぼっちになるの?
ううん、みゅーはいなくなったりしないよね。
ずっといっしょにいるから・・・いつまでもみゅーのそばにいるから・・・
〜〜つづく〜〜
スタッフロール(文:光夜じんB、掲載:ひろやん)
短いので第2話すぐに行きます。
分けた理由は、文のスタイルが違うからです。
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第2話「Time To Exit」
12月7日
キーンコーンカーンコーン・・・
近くの学校から始業を知らせるチャイムが流れてくる。たまに遅刻間際の生徒たちが走り抜ける山の道だが、今日は何事もなく静かだ。
ざくっ・・・ざくっ・・・
弱々しい音。小さな少女が小さな木切れで土を掘っている音。手も服も顔も土のまみれた少女・繭。涙をこらえて黙々と土に木切れを刺していく。遅々としてなかなか進まない作業。誰も通らない山の道。繭の傍らにはきれいにまとめられたマフラーの包み。
みゅーが死んだという事実は繭にも十分理解出来るものだった。だから、みゅーの墓を作って埋めようともした。しかし、一人でみゅーと別れを済ますことが出来るほど繭の精神は強くはなかった。
繭の義母に限らず、その光景は誰の目にも異常に映ったに違いない。繭はその晩もその次の晩も、みゅーと一緒に同じ布団で眠っているのだから。その『みゅーだったもの』がやがて動物の死体特有の異臭を放ち始めても、繭がそれを気にする様子は全くなかった。だから義母が、繭の寝ている間にみゅーの死体を家の庭に埋めたのも仕方のないことだった。それでもみゅーの墓をきちんと作り、花を添え、線香までたてた。しかし、翌日義母が目にしたのは、その墓を掘り返そうとして、それも途中であきらめ、ただその場でうずくまり泣き続ける義娘の姿だった。
起きては泣き、泣いては寝る繭の生活。娘の健康と心情を気遣う義母の慰めの言葉も、繭の耳の鼓膜を震わせても心までは至らない。
やがて繭の目から涙が消えた。涙の雫も枯れ果てたのか、それとも楽しい思い出が現実を辛くさせるだけだということに気づいたのか。しかし涙が消えても、その顔に笑みは、いや表情は戻らなかった。
繭に元気を取り戻してもらうため、義母がみゅーにそっくりなフェレットを買ってきた。しばらく何も興味を示さなかった繭の瞳だが、その小動物の姿は映したように思えた。
同じ頃、堅く閉ざされていた繭の心の扉を叩くものがあった。それは『声』だった。
「ずっといっしょにいるから・・・いつまでもみゅーのそばにいるから・・・」
「みゅーはいるよ・・・ここに、いるよ・・・」
忘れかけていた自分の声。そして、初めて聞く、みゅーの声。
繭の寝顔に少し笑みが戻ったように見えたその夜。新しいフェレットと一緒に同じ布団で眠る繭。その小さな手の指はしっかりとその寄り添う生き物の喉元に食い込んでいた。
それは、おそらく喜びと楽しさにあふれた世界。そして、きっと最も辛く悲しい世界。いつまでもいつまでもたのしいおもいでとたわむれていられるせかい。
今が今日か明日か昨日か分からない、そんな世界で、繭は遊びつづける。
大好きな『みゅー』といっしょに・・・
繭「みゅ〜♪」
〜〜終劇〜〜(Bad or Happy Ending)
>あとがき
この話が嫌だなぁと感じた人は頑張ってゲーム本編の繭シナリオを再プレイして下さい。
そして繭に真のハッピーエンディングを与えてあげてください。
第2話のリニューアル(適当なものですが)及び皆さんの作品への感想をすぐ上に置きます。
>せっかくだから宣伝
『みゅ〜♪連・母娘組合』は↓にあります。http://www2.yomogi.or.jp/kp35bee/qqq.html