ONE日本昔話『桃太郎』前編 投稿者:藤井勇気

むか〜しむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでおりました。

ある日おばあさんが川へ洗濯に行くと、川上から大きな桃がドンブラコ、
 ドンブラコと流れてきました。

 詩子「あらっ大きな桃」
おばあさんはすかさずその桃を捕まえ、意気揚々と家え持って帰りました。

  髭「んあ〜、ではいくぞ」
おじいさんがめんどくさそうに包丁を振り上げ、桃を両断すると、
 中から元気な赤ん坊がでてきました。
桃太郎浩平の誕生です。

それから数年後………。

 詩子「と、言うわけで折原君。これからちゃっちゃと鬼ヶ島へ行って、
    がしがしと鬼どもを皆殺しにして、ほいほいと金銀財宝を持ち帰って、
    私たちにさっさと御恩返しをしなさい」
 浩平「いきなりだな…」
 詩子「つべこべ言わないの。ほら、この山葉堂印のキビダンゴあげるから。
    それとこの『日本一』の旗も」
詩子は、はち切れんばかりに入っている、でっかく山葉堂と書かれた
 キビダンゴ入りの袋と、旗を浩平に押しつけた。
 浩平「なあ…この旗『日本一』じゃなくて『日本ONE』て書いてあるけど…」
 詩子「細かいことは気にしないの。さっさと支度するっ!」
 浩平「ちっわかったよ」
浩平は渋々と、身支度を整え始めた

  髭「んあ〜気をつけるんだぞ〜」
 詩子「おみやげ忘れないでね〜」
二人の出迎えを後に、浩平は鬼ヶ島へと向かうのだった。

鬼ヶ島へむかうため、まずは海へ行こうと思い、街道をてくてくと歩く浩平。
途中、道の前方から一人…いや一匹の猫が、現れた。

 瑞佳「も〜もたろさん♪も〜もたろさん♪おこしにつけた〜♪
    キビダンゴ〜♪ひとつ〜♪わたしにくださいにゃん♪」
猫の着ぐるみを着た瑞佳が、軽やかなステップとともに目の前に現れた。
 浩平「……」
浩平は何となくめまいを覚えながらも、瑞佳を見やった。
 瑞佳「ひとつ〜♪わたしにくださいにゃ〜ん♪」
歌いながら瑞佳は右手を……もとい前足をちょこんと出してにこにことしている。
どうやらキビダンゴを要求しているみたいだ。
 浩平「(まあ、犬も猫もたいして変わらんから別に良いか。
    わざわざ犬探すのもかったるいし)」
そう胸中に思い、瑞佳のぷにぷにした前足に、キビダンゴをちょこんとおいた。
突然、瑞佳の表情から笑みが消え、驚愕と動揺の色がありありと浮かんだ。
 瑞佳「こ、浩平っ!私だよっ私なんだよっ私なんかお供にして良いのっ!
    犬じゃなくて猫なんだよっ!!」
 浩平「どっちなんじゃい!おのれはぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!!」

何はともあれ、こうして浩平には猫の瑞佳が、お供として加わった。

瑞佳を引き連れ、鬼ヶ島へと向かうべく旅を続ける浩平。
今度は道ばたに、誰かがぶっ倒れているのを見つけた。
なぜか雉の着ぐるみをつけて、倒れていた。
 浩平「おーい、こんなところで寝てると風邪ひくぞー」
 瑞佳「浩平。寝てるんじゃなくて、行き倒れだよ」
  茜「…おなか空きました」
倒れていた茜……ではなく一匹の雉は、か細い声で呟いた。 
 浩平「何だ、腹減ってぶっ倒れてたのか」
 瑞佳「里村さん。私のキャットフードでよければ、分けてあげるけど」
  茜「…嫌です。そんな人間の家畜に成り下がった猫なんかに
    施しは受けたくありません。それにキャットフードは堅くてまずいです。
    ワッフルが良いです」
雉はとてつもなくわがままだった…。
 瑞佳「う、うえぇぇぇぇぇぇーーーーーん…………こうへ〜い、
    里村さんが…里村さんが、いじめるよぅ〜〜〜〜」
 浩平「だあーーーっ解ったから、俺の足に体をすりつけるなっ」
 瑞佳「うう……だって〜〜〜〜」
 浩平「いいからここは俺に任せておけ」
そういって、茜に近づく浩平。
 浩平「茜。キビダンゴほしいか?」
浩平は山葉堂印のキビダンゴを、茜に見せつけた。
 浩平「このキビダンゴはな、あの山葉堂に特注で作ってもらった物でな、
    これがまたほどよい歯ごたえと、かぐわしい香り、
    そして極上の甘さを兼ね備えた最高級のキビダンゴなんだ」 
ごく……。
生唾を飲み込む音が聞こえる。むろん茜だ。
 浩平「どうだ茜。これがほしいだろう」
  茜「…欲しいです」
指をくわえて茜が即答する
 浩平「だったら、俺の家来になれ」
  茜「それは…」
 浩平「べ〜つにいいんだぜ〜。いつものように嫌ですって言っても。
    このままが死してのたれ死んでも、俺は関係ね〜しな〜」
  茜「……」
 浩平「じゃ、俺はそろそろ行くとするかな。おい長森、出発するぞ」
くるりと浩平は背を向ける。
  茜「…待ってください」
弱々しい声が後ろから聞こえる。
  茜「…わかり…ました。お供します…」
 浩平「(にやり)」 
 瑞佳「浩平…ひどすぎるよ…」
見事、浩平の巧みな話術(?)で、雉の茜がお供に加わった。

新たな仲間を加え、なおも旅を続ける浩平達一行。

 浩平「おい…ちょっと待て」
浩平は、巨大な松の木が生えている場所に立ち止まった。
 瑞佳「どうしたの浩平?」
瓶牛乳をこくこくと飲みながら、瑞佳が不思議そうな顔をする。
キビダンゴを食べていた茜の足も止まる。
  茜「…何かいますね」
浩平は無言で頷くと、腰に下げてある刀に手をかけ、松の木の前まで行く。
そして……。
 浩平「たりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっっ!!!!!!」

ザンッ!!

気合一閃。浩平の繰り出した居合い抜きで、松の木は根本から両断された。

ずずぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーん…………………。
大きな音をあげ、松の木が倒れていった。
 瑞佳「すごーいっ浩平かっこいぃー」
  茜「…自然破壊です」
 浩平「はっはっはっそんなに誉めるなって」
 七瀬「いいかげんにしやがれぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっっ!!!」
倒れた松の木から、憤怒の表情を浮かべた七瀬が現れた。
しっかりと猿の着ぐるみを着て…。
 浩平「おおっ七瀬。生きてたか」
 七瀬「てめえっ!いるって解ってて斬りやがったな!ええっそうだろうっ?
    そうなんだろうっ!楽しいかっそんなにあたしをおちょくって
    楽しいかっ!?」
 浩平「まあまあ、そう興奮するな。似合ってるぞ。猿」 
 七瀬「大きなお世話よーーーーーーーーーっっ!!!」
 瑞佳「本当、七瀬さんよく似合ってるよ」
  茜「…適役です」           
 七瀬「あんたらも同意するなぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっっ!!!」
地団駄を踏みながら、泣き叫ぶ七瀬。
 浩平「まあ、からかうのもこれくらいにして…」
浩平は手にした刀を七瀬の喉元に突きつける。
 七瀬「ひっ!」
 浩平「なあ、七瀬。俺の下で働け」
 七瀬「これって……脅迫じゃないの?」
 浩平「そうか?う〜む俺は紳士だからな、脅迫などという卑劣きわまりないこと
    は大嫌いなんだ」
 七瀬「(一生言ってろ馬鹿)」
 浩平「んん〜?何か言ったかな〜?七瀬く〜ん」
さらに刀が喉に食い込む。
 七瀬「あぁぁぁぁーーーーっ!!言ってませんっ言ってませんーーーーっ!!!」
 浩平「ふ〜む…よしっこうしよう」
 七瀬「ぜー…ぜー…な、何?」
 浩平「今から俺が三つの選択を出すから、お前はそのうちのどれか一つを
    自由に選べ」
 七瀬「ま、まあさっきのよりかはましみたいね。で、その選択って?」
浩平はびしっと指を三本立てて…。

 浩平「一、俺の奴隷」
 七瀬「…………」
 浩平「二、俺の下僕」
 七瀬「……………」
 浩平「三、俺の愛人」
 七瀬「…………………………………………………」
 浩平「さあっ」
 七瀬「さあっ。じゃないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーっっっ!!!!」

その後、暴れた七瀬を何とか落ち着かせ、最後の仲間猿の七瀬が仲間に加わった。

浩平とその三匹のお供は、近くの海岸にたどり着き、一隻の小さな舟を手に入れ、
 鬼ヶ島へ渡るため海へ出た。

 浩平「う〜み〜は〜ひろい〜な〜おおき〜な〜とくら。
   おい七瀬っもっと気合入れて漕げ。腰が引けてるぞっ腰がっ!」
 七瀬「うう…何であたしが漕がなくちゃいけないのよぅ…」
 浩平「何を言う、こういう場合猿が舟を漕ぐというのは、お約束じゃないか。
    おらおら、もっとしっかり漕がんかい。このエテ公がっ!」
 七瀬「あたしって…不幸…」
 瑞佳「にゃ〜ん♪ごろごろにゃ〜んだも〜ん♪」
 浩平「こらっ長森。舟の上で寝転がるな。危ないだろうが!」
 瑞佳「だって〜ひまなんだも〜んごろごろにゃ〜ん♪」
 浩平「…何かお前。キャラクター変わってないか?」
 瑞佳「だって〜私は猫なんだも〜ん。猫は気まぐれなんだも〜んにゃにゃ〜ん♪」
 浩平「何か解ったような、解らないような…」

ぐるるるるるるるるるるる〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜…………………。

 浩平「な、何だ!今の音は?」
  茜「…おなか空きました」
 浩平「茜さっきキビダンゴ全部くっちまっただろう。お前一人で」
  茜「…全然足りません」

ぐるるるるるるるるるるる〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜…………………。

 七瀬「ちょっと、いつまであたしに漕がせる気?こんなの乙女のする事じゃないわ!」
 浩平「黙れ!ボス猿っ!あーもうっ!静かにしてくれーーーーーーっ!!!」

…まあ、そんなわけで鬼ヶ島えと向かう浩平達であった…。



駄目だっもう疲れたっなんて根気のないやつなんだ自分はっ!
と、いうわけで、ここでいったん区切らせていただきます。
キーボード打つ乗って、結構疲れるもんなんだなあ。
たったこれだけの文章打つので、4時間もかかっちゃどうしようもないですね。