浩平君の弁当強奪大作戦!前編 投稿者: 藤井勇気
その一『住井護の場合』

「ようっ住井っ!今日も元気にやきそばパンか?」
学食で買ってきたのだろう、住井がやきそばパンを、
 今まさに食わんとしているところだった。
「何、訳のわからん事を言っているんだ、貴様は・・・?」
食事の時間をじゃまされたのが不服なのか、少し不機嫌な声で答える。
「いや、すまん。少し焦っていたようだ。単刀直入に言おう。
 住井・・・、お前のもっているやきそばパンを・・・、よこせっ!」
「断るっ!」
何の躊躇もせずに答えやがった・・・。
「いや、それがな・・・。悪いことに財布落としちまってよ、昨日から何も
 食ってないんだ。そこで親友である君にこう頭を下げて頼んでいると」
「嫌だっ!」
「まあ、そう言うな、俺とお前の仲じゃないか」
「いつから俺とお前は、やきそばパンを分けあう仲になったんだ?」
「今からだ」
「断るっ!」
ちっ、心の狭い野郎だぜ。こうなったら・・・。
俺はさっと身構え、攻撃態勢に移る。もはやこうなれば実力行使しかあるまい。
住井もそれに気づいたか、やきそばパンをかばいながら、俺との距離を保っている。
「・・・」
「・・・」
無言で対峙する俺と住井・・・。
「どりゃあぁぁぁーーーーっっ!!!」
「てりゃあぁぁぁーーーーっっ!!!」
獣のような雄叫びと同時に、二人が跳躍した。
がっしいぃぃぃぃぃっーーーーーん・・・。
空中で二つの影が交差する・・・。
そして静かに俺は、着地した・・・。
「ふっさすが折原。・・・参ったよ」
住井はそう言って俺の方を向き直り、右手にもっていたやきそばパンを俺に見せた。
やきそばパンは・・・半分にかけていた。
そう、さっきの激闘(?)で俺がもう半分をもぎ取ることに、成功したのだ。
「今回はお前の根性に免じて、それはくれてやる。だがな・・・、
 この次はこうはいかんと思え、この次は・・・負けんっ!」
そう言って、不適な笑いを残しながら、教室を出ていく住井。
男だぜ住井っ!やっぱりお前は良い奴だっ!
でも、やきそばパン握りながら言う台詞じゃないぞ・・・。
そう心の中でツッコミつつ、俺は苦労して手に入れたやきそばパンを頬張るのだった・・・。

その二『里村茜の場合』
茜か・・・。正攻法で言ったところでまず返り討ちに合うだろうな。どうする?
ここはいっちょおだててみるのも意外と、良いかもしれないな。
まず、始めはこうだ・・・。

俺「やっほー、あっかっねっちゃ〜ん。今日もすっごくかわいいね〜っ」
茜「・・・はい」(赤面)
俺「そこでかわいい茜に相談があるんだが、茜の弁当の
  おかずを・・・、俺にくれ」
茜「・・・私ので良ければ喜んで」(赤面)
俺「いや〜、やっぱり持つべき友は茜だよな〜」
茜「・・・はい」(赤面)

と、こうなるわけである。何か無理があるような気もするが・・・、
 まあ、そこら辺は気合いと根性でカバーだ。よしっこれで行くぞ。
すぐさま茜を探す。・・・運良く茜は弁当箱を開き、今まさに食わんとしている状況だった。
速攻で茜の側へ駆け寄り、開口一番さっき頭の仲で決めておいた台詞を喋った。
「やっほ〜、あっかっねっちゃ〜ん。今日もすっごくかわいいね〜っ」
「・・・」
ギロッ!
「うっ!」
茜がジト目で、俺の方を見る。・・・と、言うより睨んでいる。
まるで汚いものを見るような目で、俺を睨んでいた・・・。
くっ、ここで引き下がるわけには行かない。
二、三歩後退しながらも、何とか踏みとどまる。
「そっそこでかわいい茜に相談があるんだが・・・、茜の弁当のおか・・・」
「・・・嫌です」
言い終わる前に断られてしまった・・・。
くっ、やむおえまい。作戦変更っ!、パターンBだっ!。
「や、やあっ茜。今日はいい天気だな〜」
少し裏返った声で、顔が引きつりながらも笑顔で言う。
「・・・そうですね」
相変わらずの目つきで答える。
「いやあ、今日も冷え込むな〜」
「・・・そうですね」
「三時間目の英語は退屈だったな〜」
「・・・そうですね」
「ところで茜。・・・そのコロッケ俺にくれない?」
「・・・嫌です」
即答だった・・・。
「そ、そんなこと言わずに、半分だけでも・・・」
「・・・嫌です」
「今度、ワッフルおごるから・・・」
「・・・嫌です」
「・・・」
「・・・」
「ぐあっ!きゅ、急に持病の癪がっ!」
俺は腹を押さえて大げさに叫ぶ。
「・・・」
「くっ、こ、このままでは死んでしまうぅ・・・」
 ごろごろと、のたうち転げ回る。
「・・・」
「ふっ、これも又運命なのかもしれないな・・・」
遠い目をして窓の外を見る。空はすがすがしいほどの青空・・・。
そして一匹のアホウドリが、飛んでいた・・・。
「・・・」
「でも、最後に一度だけ・・・」
ちらっと、茜の方を見る。
「・・・」
「茜のコロッケが、食いたかったな〜・・・」
俺は心底残念そうに、つぶやいた。
「・・・」
「・・・」
ふう・・・。
小さなため息が、漏れた気がした。
「・・・浩平。さっき言ったこと、忘れないで下さいね」
「ワッフルのことか?わかった、まかせとけっ」
がばっと元気よく、俺は起きあがる。
「・・・それと、・・・パイコルネもです」
「パイコルネっ!?なんだそりゃっ?」
つい、素っ頓狂な声を出してしまった。
「・・・いいですね。忘れないで下さいね」
そんな俺を無視して、茜が念を押す。
「あ、ああ、わかった・・・。パイコルネだろうと、パン粉だろうと、
 何でもおごるから、はっ早くコロッケを・・・」
そうせかすと、茜はため息をつきながら、ヒョイッと、コロッケを俺によこしてくれた。
「サンキュー、茜」
すぐにそのコロッケを、手にとり食べる。・・・うまいっ!お世辞抜きで美味かった。
ちなみにコロッケは、カニクリームコロッケだった事を、付け加えておく・・・。
 
                          (後編へ続く)


皆さんこんにちは、藤井勇気です。
調子に乗って又書いてしまいました。
ちなみに茜の言っていた、パイコルネとは、細く筒丈にして焼いたパイ生地に、
 生クリームをホイップしたものを入れてある、一応お菓子みたいなものです。
生クリーム以外に、チョコレート、カスタードクリーム、後商品化しなかったけど、
 ブルーベリーやらイチゴやら、オレンジなんかもありました。
何故こんなに詳しいのかというと、僕の父が自営業でたこ焼きやさんをやっていて
 そこでパイコルネを販売していたんです。今は両親が離婚してるから父も、店も、
 どうなったか解りませんが・・・。(変なこと書いてすみません)

風林火山様。雫様。せきせ いっせ様。感想有り難うございました。
特に、雫様には、みゅ〜♪連の掲示板に、僕のSSの宣伝までして下さり
 感謝の言葉もありません。改めてお礼申し上げたいと思います。
 どうも有り難うございましたっ。

それでは、長くなりましたがここで失礼したいと思います。