平和な一時 投稿者: 藤井勇気
六時間目の授業が終わるや否や、俺は鞄をもって立ち上がった。
「よしっ帰るか椎名?」
「うんっ」
椎名は元気よく答えると、俺のところに駆け寄った。
「また、ハンバーガーでも食っていくか?」
「みゅー」
又も元気よく答える。見ているこっちまで嬉しくなってしまう。
そのまま椎名を連れて教室を出た。

下駄箱のあたりまで来たとき、突然後ろから誰かが抱きついてきた。
「おわっ!誰だ!」
後ろを振り返ってみると・・・澪がいた。
「何だ澪か・・・何か用か?」
澪はサインペンでスケッチブックに何か書き始めた。
『いっしょにかえるの』
「部活は良いのか?」
又もスケッチブックに書き込む。
『今日はおやすみなの』
「そうか・・・じゃあ一緒に帰るか?」
わーい、わーいと澪が喜ぶ。大げさな奴だな。
「・・・」
ふと横を見ると、椎名がほけ〜とした顔をして俺達のやり取りを見ていた。
澪も気ずいたのか、俺と椎名の顔を交互に見ている。
「ああ・・・そう言えばおまえらは初対面だったよな。こいつは
 上月澪。仲良くしろよな。
『よろしくね・・・』澪も椎名に挨拶をする。
「・・・」
だが、相変わらず椎名はほけ〜としたまま、挨拶をしない。
「ほらっ!椎名もちゃんと自己紹介しろ」椎名の頭をぽんっと叩く。
『名前はなんていうの?』結局、澪が質問することになった。
「しいな・・・」
『下は?』
「まゆ・・・」
『まゆちゃん。これからもよろしくね』
「うん・・・」
やれやれ・・・とりあえず自己紹介は終わったな。
「よしっそれじゃ三人でハンバーガーでも食べるか?」
「みゅー」
『わーい、わーい』
二人とも大はしゃぎしている。この二人って何となく似てるかも・・・。
澪も加わり、俺達は学校を後にした。

商店街にたどり着く。夕方ということもあって人通りも多い・・・。
しかし、それよりも、俺の両腕にぶら下がっている二人のことが、 
 気になってしょうがなかった。
「お、重い・・・」
左腕には相変わらず澪が、がっしりと掴んでいるのは解らなくもないが・・・。
何故、椎名まで同じ事をしているんだ?。
「なあ椎名・・・頼むからはなしてくれないか・・・重くてしょうがない」
「う〜・・・」
だが椎名は頑なに、離そうとはしない。
一体どうしたんだ椎名の奴・・・?。
そんなこんなで俺は両腕にだら〜んとぶら下がった二人を連れて
 ハンバーガー店に入っていった。

「ふ〜やっと解放された・・・」
両腕をぶらぶらとさせて、俺は休んでいた。
隣には椎名と澪が、テリヤキバーガーをパクついている。
「美味いか?椎名」
「うんっ」椎名が笑顔で答える。
「澪も美味いか?」
『おいしいの』こっちも笑顔で答える。
何か・・・妹が二人になった感じだな・・・。
「全く・・・おまえらは気楽で良いよな・・・てっ!おい椎名っ!袖で口を
 拭くなって言ってんだろがっ!」
「ほえ?」
すぐさま椎名の腕をとる。が、もう遅かった・・・。べっちょりと袖には
 ソースが染みついていた。
「・・・たくこいつは、いいか!制服汚されて七瀬に怒られるのは俺なんだぞっ!
 解ってんのか!?」
「ふっ・・・うえっ・・・」
ヤ、ヤバッ!つい怒なっちまったよ。ど、どうしよう。
「うっ・・・うわぁっ・・・」も、もう駄目だ!俺は覚悟を決めた。
なでなで・・・。
「ひっ・・・ぐす・・・」
なでなで・・・。
えっ!澪?・・・澪が椎名の頭をなでていた。
なでなで・・・。
「う・・・ぐす・・・」
なでなで・・・。
「ぐす・・・」
どうやら治まってくれたみたいだ。
『ないちゃだめなの』笑顔で椎名にスケッチブックを見せる。
「う、うん・・・」椎名もだいぶ落ち着いたようだ。
「ふう・・・助かった澪。一時はどうなることかと思ったぜ」
澪はにっこりと俺に笑いかけていた。

帰り道。相変わらず俺の両腕には椎名と澪がぶら下がっていた。
「じゃあ、ここまでだな澪」分かれ道で澪と別れる。
「また明日な」
『ばいばい』ぶんぶんと手を振って澪は帰っていった。
「じゃあ椎名もここで帰るか?」
ぶんぶん・・・。思いっきり首を横に振る。
「どうしたんだ?いつも一人で帰るじゃないか?」
「一緒に帰るんだもぅん・・・」
はあ・・・何だってんだこいつは・・・。
「解ったよ・・・今日だけだからな」
「みゅー」
 はあ・・・なんだか今日は疲れたな。早く寝よ・・・。

次の日。いつもどうり長森にたたき起こされ、俺達は学校に向かった。
「うっす。七瀬」
教室に入り前の席にいる七瀬に挨拶をする。
「・・・」
だが返事がない・・・。聞こえなかったのか?。
「おいっ!七瀬」
「聞こえてるわよ・・・」
「何だ、だったら挨拶くらい・・・」
俺が言い終わるより早く、七瀬は人差し指を横に向けた。
「ん、何だ・・・?」指し示す先えと視線を移す。
そこには椎名がいた・・・。
「椎名がどうしたんだ?」
「その子朝から一言もしゃべらないのよ。おはようって言っても何も答えないし、
 ・・・昨日何かあったの?」
「いや・・・特にないと思うが・・・」
まあ、考えていてもしょうがない。とりあえず話しかけてみるか。
「おい、椎名・・・」
「・・・」椎名が俺の方を向く。
「何かあったのか、椎名?」
「・・・」
椎名がおもむろに何かを出す・・・。スケッチブックだった・・・。
そのスケッチブックを開いて俺に見せる。
『おはよう』と書かれていた・・・。
「何だそりゃ・・・もしかして澪の真似か?」
うん・・・と頷く。
「あのなあ・・・お前はちゃんと喋れるんだから、そんな事しなくても良いんだよ」
ぶんぶん・・・。首を思いっきり横に振る。・・・駄目だなこれは。
まあ・・・こいつもそのうち飽きるだろう。そう思いこれ以上は
 言わないことにした。

結局椎名がこれに飽きるのに暫く時間がかかってしまったのは、
 今の俺には予想もしていなかった・・・。

        『みゅー♪』 

皆さんこんにちは、藤井勇気と言います。
一応これ、繭SS何ですけど・・・やっぱり上手く出来ませんでした。
後もう一つ繭SSを考えているんですがいつになる事やら・・・。
両親は離婚するし、引っ越しもしなきゃなんないわで、時間がないだろうな・・・。
苦情、お怒りのメールは大歓迎なのですが・・・電子メールの使い方が
 解らなくて困っています。・・・誰か教えて下さい。
それでは、又、駄文になってしまいましたが、ここで失礼したいと思います。