The world 投稿者: 藤原白葉
「君の世界は君だけのものだ。
 君に見える世界だ。
 君が見て、在るものを認識した世界だ。
 君だけの世界だ。」

―――わからない。

「僕の世界は僕だけのものだ。
 僕に見える世界だ。
 僕が見て、在るものを認識した世界だ。
 僕だけの世界だ。」

―――わからない。



世界という言葉には何の意味もない。
個人によって認識された空間…ただそれだけなんだ。
たとえ、君の世界に僕がいたとしても、
僕の世界に君はいないかもしれない…そういう事さ。

…そう。僕の世界には君はいない…かもしれないだけだけど。
僕の意識によって歪められた君ならいるだろうね。
だけど、それは君じゃないだろう?

僕の世界の君は、共に過ごした記憶が形成した虚像なのさ。

かもしれない…さ。
たとえば、君が道を歩いていて…その横を誰かが通り過ぎた。
その誰かは君の横を通り過ぎた事によって、君の世界に認識される。

君の横を通り過ぎなかったら、
その誰かは君の世界には存在しない。
認識されなかったのだからね。

もしも。その誰かが突然死んでしまったら…悲しいと思うかい?

悲しい?…どうして?
その誰かは君にとって、何も関係がない人間だ。
なのに何故?

君の横を通り過ぎたとはいえ、君の世界のその誰かは小さい存在だ。
ただ通り過ぎただけだからね。
まぁ、何かしら君の意識に引っ掛かるものがあるのなら別だけど。

たとえば…君の認識した誰かに似ていて、引っ掛かりを感じたり。
君の好みの異性だったり。

そういう引っ掛かりは君にとって価値なんだ。
君の意識を揺さぶる付加価値。
そういうものがあるなら、悲しいと感じるかもしれないね。

違う?…違わないさ。
君の認識しない誰かが死ぬ事によって、君が悲しむのなら
永遠に君は悲しみ続ける事になる。

分かったようだね。…話が逸れてしまったね。
僕の世界に君がいない…その事に不安を感じるようだけど、
僕の世界は僕の意識によって構成されている。
だから、僕の世界は君には見えない。

見る事など出来ないよ。…感じる事もね。
僕が僕である限り、君が君である限り、
共有など出来ないんだよ。

言葉なら伝えられる?…無理だろうね。
確かに社会という疑似共有した世界の言葉は、
意志を伝える事が出来る。

けれど、その言葉は共有させるための記号に過ぎない。
お金とかと同じさ。
社会という集団生活を迫られた人間が、意志の疎通を計るために、
その意味を共通にした。それだけなんだ…

本来なら…
この手も手じゃないかもしれない。
この顔も顔じゃないかもしれない。
僕も僕じゃないかもしれない。
君も君じゃないかもしれない。
目に見えるものが本当に在る訳じゃないんだ。

ならば何を信じたらいいのか…って?
…君は君を信じればいい。君の世界を。
僕は僕の世界を信じるから。

人と人とは絶対に分かり合うなど出来ないから…自分を信じるんだ。
たとえ…愛が愛じゃないかもしれないと不安になっても、
自分を信じていれば怖くはないだろう?

…そう。それでいい。
相手の世界に自分がいないとしても、不安にならないで。
自分の世界の相手を信じていればいい。
それだけしか…出来ないのだから。



※まとまりがない上に、言い方(書き方)が強気な感じで申し訳ありません。