『…この世界が嫌い?』 『…この日常は、あなたにとって意味のないものなんですか?』 茜のその台詞が、ただ辛かった。 おそらく、本当にそう告げられたら…僕は何も答えられないだろう。 『…この世界が嫌い?』 嫌いだった。 『…この日常は、あなたにとって意味のないものなんですか?』 意味などなかった。 「さいしょから、なにもないせかいなんだよ。」 今まで生きてきて、得た結論はそんな事だった。 なにもない…そう。存在に価値などある訳がなかった。理由などなかった。 ただの一生命体に過ぎない。 たとえ誰が理想を語ろうとも、事実はただそこに在るだけのもの。 そこに在るだけなのに理由など必要ない。全ては必然性の結果だ。 「どうして、うれしいの? どうして、おこっているの? どうして、かなしいの? どうして、たのしいの?」 「…そう感じるように教えられたから。」 …けれど… 『…この世界が嫌い?』 『…この日常は、あなたにとって意味のないものなんですか?』 辛いと感じたのはなぜなんだろう? 涙が零れてくるのはなぜなんだろう? 嫌いだと。意味などないと、理解している筈なのに。 「まだ…しんじてくれているんだね。」 分かっている。大切な人を失った時の、身を引き裂かれるような感覚。 その感覚を過去のものだと、割り切りたくないからなんだ。 その気持ちが与えられたものじゃないと信じたくて… 誰かと共有したくて…ただただ必死になって… その度に挫折してばかりだけど… 「まだ…消えられないよな。」 なにもないせかいかもしれない。 形だけが進化して、それだけが認識されて、それだけが価値となって、 なにもないせかいかもしれない。 けれど… あの時の喪失感が愛し愛されていたからだった…って、信じたいから。 『…この世界が嫌い?』 『…この日常は、あなたにとって意味のないものなんですか?』 「…そんなこと、ないよ。」 ※ショートストーリーになっていないかもしれません。…なっていないですね。だ から、タイトルも独白にしたのですが。読んでくれた方、ありがとうございました 。僕は皆さんのように創作能力とかなくて、どちらかといえば今回みたいな…ただ 感じた事を書くしか出来ません。もし、それでもよろしければ次からも(機会があ れば)読んでやってください。 > 睦月周さん 『はじまりも…おわりも…ぜんぶぼくがきめることなのだから。』気に入っていた だいて(?)光栄です。睦月さんのSSも(最近から…ネットはやりはじめたばか りなので)読ませていただいてます。次の茜SSは期待して待っています。茜は自 分が救われる相手の理想として(失ったものの気持ちは、失ったものにしか分から ないって思っているからでしょうね)好きなので。頑張ってください。