繭のとくべつなみゅー(4) 投稿者: 奈伊朗
  ど〜もっ。三話後半を急遽四話にしたので導入部か弱く、行き成り話しが始ま
っちゃいますぅ・・・。
  直したかったんですが・・・思い付きませんでした。

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                 『繭のとくべつなみゅー』第四回            大須 奈伊朗 
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  ガクショクは、いろんな人、いろんな食べ物、いろんな匂いであふれていた。

  マユは、うろうろ歩き回り、時々「ふへー」とか「はにゃー」などと声をあげ
ていた。だが、ふとその歩みが止まり、視線が陳列棚の一点に引き寄せられる。
  あっ、ハンバーガーだ。死ぬ前にもういちど、マユと一緒にハンバーガー食べ
たかったな・・・・・・。
「みゅー、ハンバーガーあるよ・・・。戻ってきて、いっしょに食べようよ・・・」
  そうやってハンバーガーを見詰めているうち、マユの後ろに人が並び、それに
押しだされ、いつの間にか列の先頭になっていた。

  ボーッとハンバーガーを見詰めているマユを、売店のオバサンが叱りつける。
「ほら、アンタ!  もたもたすんじゃないよっ!!  後ろの人が待ってんじゃない
かっ!」
  オバサンは、とても独特な顔をした品種で、そのしゃくれた顔と弛んだ頬は、
ブルドッグにとてもよく似ていた。
「あのね・・・。ん・・・とね・・・ハンバーガーいっぱいちょうだい・・・・・・」
「いっぱいじゃ分かんないだろ!  いくつ欲しいんだい!?」
  マユはポケットから五百円玉を取り出し、ハンバーガーと見比べて少し考える。
「んーと・・・・・・ね。三つ・・・」
  そのとき、後ろに並んでいた女の人が、マユの肩に腕をまわし引き寄せた。
「おい、チビちゃん・・・。三つじゃ、いっぱいとはいえないでしょ?」
「お姉ちゃん・・・だれ・・・?」
  切れ長の目に、尖った顎、薄い唇、その声も相まって、美人だけどなんだか鋭
角的で冷たい感じのする人だ。
「クラスメートの名前くらい覚えときなさいよ。あたしは広瀬真希よ」
  ヒロセって人は、そういってニヤニヤ笑った。なんか感じ悪い・・・。
「あのね・・・おかねないから、三つでいいの・・・」
「お子様が、そんなこと気にすんじゃないわよ。クラスメートのよしみで、あた
しがおごってやるからドーンといきなさい!」
  そういって、ヒロセはマユの小さな身体をガクガク揺すった。その指が、きゃ
しゃな肩に食い込む。
「はぅっ・・・。そ・・・それじゃあ・・・・・・六つ・・・」
「まだまだぁ!  ほらっ、思いきってドンドンいけーっ!!」
「うぐっ。痛い・・・痛いよぉ・・・・・・。それじゃあ・・・九つ・・・」
「もっとよ、もっと!  あたしの好意を無下にするんじゃないわよ!!」
「やめて・・・痛いよぅ・・・・・・。じゃあ・・・十二個・・・」
「よーしチビ、上等よ。フフッ、さっそく注文なさい・・・」
  ヒロセはマユの肩から手を放し、その背中をポンと突いた。そして口の端を歪
め、目を細めてクスクスとほくそえむ。

「あのね。・・・ハンバーガー十二個ちょうだい・・・・・・」
  ちょっと怪訝そうな顔をしたオバサンから十二個のハンバーガーを受け取り、
後ろを振り向いてマユは・・・・・・初めてヒロセがいなくなっているのに気が付いた。
「ほぇ・・・?」
  ハンバーガーを抱えてキョロョロしているマユ・・・。背中に誰かがぶつかって
よろめき、誰かの足につまずいて転ぶ。四つん這いに倒れ、床を転がっていくハ
ンバーガーを目で追うマユ・・・。
「ハンバーガー・・・、みゅーといっしょにたべるハンバーガーが・・・・・・」
  みんなは、そんなマユをただ・・・冷たい視線で見下ろしていた・・・。
  なっ。なんだよ、今のは・・・わざとマユの背中を押したじゃないか。わざと足
を掛けたじゃないかっ。みんな見てただろ。どうして誰も、何もいわないんだ?
  どうしてみんな・・・見てるだけなんだよおっ。
  オバサンが、マユを怒鳴りつける。
「何してんだよ!  ったく、トロいんだから・・・。ほら、ハンバーガー十二個で
1,920円だよ!!」
「はぅっ・・・。あ、あの・・・おかね、これだけしかないの・・・・・・」
  そういってマユは、オバサンに握りしめていた五百円玉を見せた。
「ご・・・、五百円?  何だい、ゼンゼン足りないじゃないかい!  アンタ一体ど
ういうつもりだい!!」
「うぐっ・・・ごめんなさい・・・・・・」
  な、なんでマユが謝らなきゃいけないんだよぉ。マユはちっとも悪くないのに
っ。こんな目に遭いに、マユは学校に来ているのか?  こんな思いをするのが
マユに必要なことなのか?
「ゴメンナサイじゃ無いよっ!  床に落としたハンバーガーなんか返品されたっ
て、売り物になんないだろっ!  こっちだって、商売なんだよっ!!」
「はぅっ・・・ごめんなさい、ぅぐっ・・・」
  オバサンの言葉に釣られるように、列の後ろから罵声が飛ぶ。
「ちょっと、何してんのよーっ!  ――昼休みが、終わっちまうだろーがっ!
――早くしなさいよぉ、ジョーダンじゃないわよ!」
  やめろおぉぉぉっ。・・・・・・もう、やめてよぉ。みんなで寄ってたかって・・・な
んだよ。おまえら、何なんだよぉ・・・・・・。ひどいよ・・・ひどいよ・・・。
「はぐぅっ・・・ごめんなさい・・・・・・ごめんなさい・・・どうしよう。みゅー、たすけ
て・・・。みゅ―――っ」
  そういってマユは、声をあげて泣き出した。
  ぼくは、出掛かる言葉を必死に呑みこんで、心の中で一緒に泣いた。話しかけ
ちゃダメだ。ぼくなんかが出ていっちゃダメなんだ。ぼくには・・・何も出来やし
ない。
  ・・・学校ってのは、こんな思いをしてまで来なくちゃいけない所なのかな?
人の絆って、何なのかな?  マユは、どうして今のままじゃいけないのかな?
  ぼくには・・・何もわからない・・・・・・。

「うああぁぁぁぁぁぁ――――んっ!」
  駆けつたコウヘイ兄さんが、立ち止まって呟く。
「やっぱり・・・」
  少し遅れてきたミズカ姉さんが、コウヘイ兄さんを押しのけマユに駆けより、
うろたえた声をあげた。
「ああぁ・・・どうしたの、一体?」
  周りに散らばったハンバーガを拾いながら、コウヘイ兄さんが聞く。
「ほら、どうしたんだ、言わなきゃわかんないだろ?」
「はぅっ・・・ぅぐっ・・・ハンバーガー・・・」
「ああ、ハンバーガーだな」
  遠くに転がったハンバーガーを、パタパタ走り回って拾い集めていたミズカ姉
さんが、戻ってくる。
「ハンバーガー食べたかったんだよね?」
「それで買おうとしたんだな?」
「うん・・・。――・・・でもたらないって・・・・・・うぐぅっ・・・」
  嗚咽を漏らして、うつむくマユ。
「長森、おまえいくつ拾った?」
「ひーふーみー・・・五つ」
「オレが七つ・・・。――椎名、おまえ・・・まさか十二個も買おうとしたのか」
「うぐっ・・・うんっ・・・・・・」
  マユは、しばらく黙りこんでから。
「いっぱいたべたかったの・・・」
  と・・・だけいった。
「いっぱい食べたくても、十二個もいらないだろっ?」
「ほら、繭、ちゃんと計算しようね。一個160円するでしょ?  繭のお昼代は
いくら?  ――じゃあ、三つしか買えないよ。三つで480円。後、ジュースも
欲しいでしょ?  ――だったら二つにしておいて、ジュース買うお金も残してお
かなきゃ」
  三人のそんな様子を、売店のオバサンが睨みつけていた。繭は身をすくめ、怯
えた眼差しでオバサンの方をチラチラ見る。
「そんなに食えるのか?  ――仕方がない。立て替えてやるから、ちゃんと返せ
よ?  ――でも、十二個はいらないだろ。いくつ欲しいんだ?」
  マユは、オバサンの視線に怖じけ、ボソボソと答える。
「十・・・」
「絶対多いって。減らせ」
「九つ・・・」
「ほんとにそんなに食べられるの・・・?」
「うん」
「でもそんなに食ってたら、飯代がかかって仕方がないだろ。もっと安いのにす
ればどうだ」
「ハンバーガー・・・」
  だけど、その後に続く言葉はフェレットのぼくですら聞き取ることができない。
「ハンバーガー食べたいんだよね?  ――じゃあ、仕方がないよ。わたしも出そ
うか?」
「いや、持ち合わせはあるけど・・・。――でも、六個にしとけ。絶対にそれ以上
は食えないと思うから。な?」
「六個・・・・・・うん」

  三人の遣り取りを聞いてオバサンが口を挟もうとするのを、誰かが身体で遮る。
そしてオバサンの耳に口を寄せていった。
「あとの六個は、俺が買うよ。それで良いかい?」
「あぁ・・・まあ、アンタがいうのなら・・・・・・」
  そして、買った六個のハンバーガーを抱え奥のテーブルまで行くと、その上に
ドサドサと置いていった。
「先輩方。ハンバーガー買い過ぎちまったんで、食うの手伝ってくださいよ」
  そのテーブルには、美人の女の人が二人いる。
「えーっと・・・。あなたは、たしか二年生の隅田君・・・だったかしら?」
「ちがうよ、雪ちゃん。その声は、護クンだね。わたしは、一度聞いた声は忘れ
ないんだ。――護クンは、全校生徒と職員の顔と名前を、全部覚えてるんだよね。
それに引き換え、雪ちゃんは演劇部員にしては、記憶力ないんだから・・・」
「煩いわね!  思い出したわよっ。処で住井君、あなた演劇部に来る気はない?」
「アハハ・・・、このルックスを除けば、俺に役者の才能はありませんよ。――そ
れに・・・これから俺は、少しばかり忙しくなりそうで・・・・・・」
  そういってマモル兄さんは、前髪を指で掻き上げながら出入り口に鋭い視線を
送る。ちょうどヒロセが、ガクショクを出ていくところだった。

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  午後最初の授業が終わると、それを待ちかねたようにマユは、隣席のルミ姉さ
んの制服のそでを、クイクイと引っ張っていった。
「みゅーっ、トイレ・・・」
  授業中からマユは、顔色がよくなかった。馴れない環境で、体調を崩している
のかもしれない。
「だからあたしは、みゅーじゃないってのよっ。――ねぇ、このコがトイレだっ
て言ってるわよ」
  コウヘイ兄さんは「ああ・・・」と腰を浮かせたが、そこですこし考え再び席に着
き直す。
「椎名、トイレぐらい自分で探してこい。――学校には沢山トイレがあるから、
どこかには行き着くよ」
  マユのお腹がゴロゴロ鳴った、額に浮かんだ汗に前髪が数本張り付いている。
「うん・・・」
  そういいながらマユは、早足で教室を後にした。

  廊下をしばらく進んだところに、トイレはあった。強張っていた肩から力が抜
け、小さく「ふぅ・・・」と、息をはく。そんなマユを一人の女生徒が追い越した。
  そしてマユを一瞥し「ふんっ」と、鼻を鳴らしトイレに入る。
  ・・・・・・マユは立ち止まって、それを呆然と見ていた。
  ヒロセだ・・・。トイレで待ち伏せして、またマユを苛めるつもりなんだ・・・。
「いやだ・・・・・・、もう・・・やめてよぉ。うっ・・・ぐぅっ・・・」
  鼻を啜りあげ、嗚咽を漏らすマユ。その身体が、小さく震える。
  再び歩き出したマユは、でトイレを素通りしてそのまま階段を下りた。でも、
その歩みは段々遅くなり、廊下の途中で遂に止まってしまった。
「あぁ・・・っ、いや・・・いやだよぉ・・・ぁうっ・・・」
  そう呟くとマユは、逃げ込むように近くの教室に入り、隅っこにうずくまった。
「きっとみんな、わたしのことバカにする・・・また、いじめられる。イヤだよぉ
・・・もうこんなのイヤだ。――みゅーがいないよぉ・・・。みゅーもいっちゃた・・・。
わたしをおいて、いっちゃったんだ。――好きだった・・・この世界ぜんぶより、
みゅーのことが大好きだったのに・・・・・・どうしてみんな、わたしをおいていっち
ゃうの・・・。――わたしも、お母さんやみゅーの所へ行けば・・・。また・・・いっし
ょになれるかな・・・・・・ぅぐっ。また・・・いっしょに・・・・・・くらせるかなぁ・・・・・・
ぐすぅっ」
  話しかけちゃいけないって、わかってた・・・。ぼくは、マユに関わっちゃいけ
ないって・・・わかってたよ。でも、胸の中から込み上がる感情を・・・ぼくは抑える
ことが出来なかった・・・・・・。
  ――なっ・・・何を言ってるんだよぉ!  ダメだよっ。そんなの・・・うぐっ・・・。
そんなの、ダメにきまってるじゃないかぁ!!
「みゅーなの?  みゅーが・・・・・・。また、わたしのところに・・・戻ってきて・・・く
れた・・・ぅぐっ」
  ――離れたりしないよぉ・・・・・・。ぼくがマユを・・・置いていったりするもんか
っ・・・ぅぐうっ。
「帰ろ・・・いっしょにお家に帰ろぅ・・・。みゅー・・・・・・」
  ――あぁ・・・そうだね・・・。でも、その前にトイレを済ませなきゃ。
  マユはスゥーッと立ち上がると、教室を出てそのまま玄関に向かって歩き出し
た。
  ――・・・マユ?  ・・・ちょっと下着を汚しちゃったけど、気にしちゃダメだよ。
コウヘイ兄さんやミズカ姉さんは、マユを苛めたりしないから・・・。
「きらい・・・。みゅー以外はみんな、だいっきらいだもの・・・。あはっ・・・あはは
・・・、だからみゅーが戻ってきて。ずぅーっとみゅーといっしょで・・・それでね
・・・早くみゅーと・・・お家に帰るの・・・・・・」
  下駄箱の間を通り抜けて、マユはそのまま校舎を出ていく。
  ――ダメだよ!  家まで持たないよっ!!  聞こえてる?  ・・・・・・どうしちゃっ
たんだよ、マユ!?
  中庭の途中でマユの歩みが止まる。そして両腕でお腹を押さえて身体を折り曲
げる。
「はぐぅ・・・。いたい・・・お腹が痛いよぅ・・・・・・。どうしよう・・・、みゅー・・・どう
しよう・・・」
  ――あぁぁ・・・。あの、誰かに一番近いトイレの場所を聞こうよ
  マユは、キョロキョロ周囲を見廻していった。
「だめだよ・・・うぐっ。知ってる人・・・だれもいないもの・・・・・・。あぁ・・・っ、や
だよぉ・・・うぐっ。いやだよぉ・・・ぐすっ」
  ――ねぇ、マユ!  ぼくは・・・ぼくはどうすればいいのかな?  ぼくになにか
・・・出来ることはあるかな!?

  なにも出来なかった・・・。ぼくは、マユになにもしてあげられなかった。
「おい、椎名ぁっ!  トイレはこっちだっ!」
  そう叫ぶコウヘイ兄さんを途中で制して、ミズカ姉さんが駆け寄ってくる。
「うっ・・・えぐっ・・・。――うああぁ―――――――――んッ!」
  ――うああぁ―――――――――んッ!  マユ――――――ッ!!
「みゅ――――ッ!  みゅ――――ッ!」

「ごめんね、繭っ・・・ほら、トイレこっちだからっ」
  そういってミズカ姉さんは、その胸にマユを抱き寄せる。
「気が付いてあげられなくて、ごめんね・・・。――いいよ、もう大丈夫だから・・・
気にしなくてもいいからね・・・・・・」

  その後、ミズカ姉さんは学校を早退して、マユを家まで送ってくれた。

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  家に帰ってからマユは、夕飯も食べず自分の部屋に閉じこもり、ベッドの上で
膝を抱えてずっと黙りこくっていた。
  今日一日で、ぼくはイヤというほど思い知った・・・。それは、ぼくがとんでも
なくバカで、ろくで無しのフェレットだってことさ。
  ぼくなんか、何の役にもたちゃしない。ぼくがいなければ、マユはあんな辛い
めに遭う事も無かったんだ。何もかもみんな・・・ぼくのせいだ。

  そのとき、不意にマユが話しかけてきた。
「ごめんなさい・・・・・・。みゅー、怒ってる・・・?」
  ――えっ、どうしてぼくが怒るんだい?
  だって謝らなくちゃいけないのは、ぼくの方じゃないか。
「あのね・・・今日は失敗しちゃったけど、明日からはちゃんと上手くやるから、
だから・・・これからもいっしょにに学校に行ってくれる?」
  ――もういいよ。マユはとっても頑張ったから、もう充分頑張ったから・・・。
もう学校行くのなんか、やめちゃおうよ・・・・・・。
  マユはプルプルと首を振る。
「わたし・・・・・・いきたい・・・。もっと学校にいきたいの。――でも一人じゃいけ
ないから・・・みゅー、わたしをたすけて。――みゅーだけなの!  わたしには・・・
みゅーしかいないもの・・・・・・」
  ――ムリだよ、ぼくじゃマユを助けられないよっ。今日だってぼくは・・・マユ
と一緒に泣くことしか出来なかったじゃないかっ。
「それでもいいの!  みゅーは、わたしのこと想ってくれるから、わたしのため
に泣いてくれるから。だから、わたしがんばる!  ――これからも、いっぱいが
んばるから・・・だからわたしを・・・繭を見てて・・・・・・みゅー」

  ――・・・・・・ありがとうマユ・・・。見ているよ・・・ぼくはこれからも、マユの傍に
いて。ちゃんとマユを・・・見ているよ・・・・・・。

「それでね、みゅー・・・これ・・・・・・」
  ――・・・・・・お昼の残りのハンバーガーだね。
「また、いっしょにハンバーガーたべよ・・・・・・」
  ――ムリだよ。ぼくにはもう、身体がないからね。
「それでね、みゅー・・・これ・・・・・・」
  ――ぬいぐるみの、みゅー・・・・・・だね。
「これに、のりうつってね・・・いっしょにたべよ・・・・・・。それから、またいっし
ょにあそぼ・・・」
  ――のっ・・・乗り移る?  根本的に不可能だ。それに、そんなモノがウネウネ
動いたら、気持ち悪いじゃないか。お母さんが見たら、気絶しちゃうよ。
「・・・・・・・・いいもん」
  ――マユは・・・・・・お母さんのこと、嫌いかい?
  マユは顔を伏せ、プルプルと首を横に振る。
  ――お母さん、好きだろ?
  しばらく考え、やはり同じ様に首を振る。
「わたしが好きなお母さんは、わたしを産んだお母さんだから・・・今のお母さん
は好きでも嫌いでもないの・・・・・・」

  ぼくは何といえば良いのか・・・言葉が見付からなかった・・・・・・。

「あのね、みゅー。瑞佳お姉ちゃんが貸してくれたパンツ・・・ピンクで、ちっち
ゃくて、フリルがついてて・・・・・・かわいいんだよ」
  ――えっ。そ・・・そう・・・。ミズカ姉さんは、そういうのが好みなのか・・・・・・。
「みしたげよーか?」
  ――い・ら・な・い。マユのパンツなんか見たって、仕方ないよ。
「あっ・・・瑞佳お姉ちゃんのパンツなら、みたいんだ・・・・・・みゅーのエッチ・・・。
わたしもこれから、こーゆーの買ってもらお・・・・・・」
  ――マユは今までどおり、おへそが隠れる木綿の白いパンツの方が・・・って。
そんなこと、どうだっていいんだよっ。借り物のパンツだから、汚すんじゃない
ぞっ。
「はうっ・・・。みゅーの意地悪・・・」
  ――はははっ・・・あはは・・・。
「ふふふっ・・・うふふ・・・」

  ――ねえマユ。お母さんは、あの学校に通うのは一週間だけっていったけど、
21日まで延ばしてもらうように頼んでくれないかな・・・。
「いいけど・・・どうして21日なの?」
  ――それまで、がんばる自信ないかい?
「・・・・・・そんなことないもん。みゅーといっしょなら、ずーっとがんばれるもの」
  ――よーし。その意気だ。一緒に頑張ろうね・・・・・・マユ。

  一緒に学校へ行けるのが21日までなのは、それより長くなると・・・・・・。


  ・・・・・・ぼくがマユに・・・嘘をついてしまうからなんだ・・・・・・・・・。

(つづく)
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  華穂さんの憑き物を落とす、やたら理屈屋の浩平。
  広瀬に苛め倒される、やたら小心者の繭。
  CGが有るにも拘わらず、勝手に容姿まで変えられてる、やたら気の毒な真希。
  現時点、唯一のオリジナルキャラである、やたら豪快な学食のオバサン。
  ゲームシナリオとバリバリ矛盾する、やたら長くてつまらないストーリー。

  御免なさーいっ。書いた本人ですら、読み直すのが苦痛なくらい面白くないで
す。
  どうかこれに懲りず、次回も読んでやって下さぁーいっ!

                               次回予告

  ダークサイドアイドル広瀬真希に、住井&七瀬の魔の手が迫る。
  どーなる我らの、広瀬真紀!!
  そして、遂に登場する長森三姉妹とは?

  果たして、みゅーと繭の絆の行方は・・・・・・。

                         『繭のとくべつなみゅー』次回完結

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  伏線って程大したモノでは無いんすけど、最終回はコレとかなり繋がった話し
になるので、出来れば一緒に出したかったんですが・・・。
  ・・・・・・まだゼンゼン書いてません。 石=

  四話の予定だったのですが、六話になっちゃうかも・・・・・・。
  ふえ〜ん!  年が明けちゃうよぉー。

  次回は頑張って少しは面白くしますので、見捨てないでくださーいっ!

                      ==感想で御座います==

  『補完SS”6月の花婿”』          変身動物ポン太 様
  浩平の結婚式の日には、澪が砂浜に木の枝で。
『**先輩の、泥棒猫ですのおおぉぉぉ――――っ!』
  ・・・とか、大きく書いたりするのでしょうか?

  『嘘と真実 2』          藤井勇気 様
  南君を中心に、様々な人の想いが錯綜する。
  今後の展開が楽しみです。
  詩子さん母校より、こっちの学校での方が、人気あったりして・・・。

  『チェンジ!4.5.6【5章中編】』          WILYOU 様
  ギャグに次ぐギャグの中で、いよいよ物語りは感動のフィナーレを迎えるので
すね。
  南に攫われた幼女が、気掛かりですぅ。

  『NEURO−ONE 7』          天王寺澪 様
  息も吐かせぬ展開に、圧倒されます。
  ルミィの追憶話が出てくるかと思ったんですが、ストーリーはこれからまだま
だ広がって行く感じですね。
  それにしても、書くの早ですね〜。

  『戦え!ハムレンジャー!』          偽善者Z 様
  ハムレンジャーは、如何なる必殺技を使うのでしょうか。
  ハムレンジャーロボとかも、あったりして・・・。
「ドロボウあいてに、そこまでやっちゃヒキョウだにゃんっ!」

  『Pileworld 時の狭間で 第5-1章』          加龍魔 様
  浩平。こんなチャンスは、一生のうち何度もないぞっ!
  えっ、煩悩があっちゃダメ?  はぅ〜っ。

  『にゃんな日々−猫自慢−』          パル 様
  恐怖の瑞佳アルバム。猫好きも、其処まで行けば立派な個性です。
  私もチョット訳ありで、猫と一緒に暮らしてんですよぉ。
「ミイコ、おいでっ!」
  ・・・・・・来ない。

  それでは、これで失礼します。