「あけましておめでとうっ、浩平君」 「おめでとう、みさき先輩」 「グレイ君も、おめでとう」 宇宙人の暦がどんなものかは知らないが、郷に入りては郷に従えだ。 「みさき先輩、振り袖似合ってるぜ」 「ありがとう。浩平君は紋付き袴なの?」 「残念ながら普段着だ。グレイ君は……それ、お前らの正装なのか?」 頭の大きな灰色のアイツはちょっと誇らしげだった。謎の服装で。 「ほら先輩、手……足下気をつけろよ」 「浩平君、優しいね。でもグレイ君、初詣に行くのに何でUFOなの?」 「下界は混んでるからだそうだ。俺とグレイはともかく、みさき先輩人混み苦手だろ?」 「そっか……ごめんね、私のために」 「駄目だろ先輩。新年早々ごめんはなしだ。な、グレイ?」 灰色のモノはうなずいた。 「ほら、先輩。初日の出だぜ」 「本当? 綺麗なんだろうね」 ぱん、ぱん 「先輩、何お願いしたんだ?」 「ふふ、秘密だよ。浩平君は?」 「俺は……みさき先輩といつまでも一緒にいられるように、だな」 「恥ずかしいよ、もう……。私も同じだよ、なんて言えないじゃない……」 「ん? なんか言った、先輩?」 「もうっ! 何でもないよっ!」 グレイ君が気を利かせて操縦席に消えたことに、二人はまだ気付かない。 それはただ、それだけのお話。 二十世紀最後のあけましておめでとうございます、ですね。 今年も皆様幸せでありますように…… ************************** というわけで、あけましておめでとうございます。 今年も高砂と、萩野ちとせ、里村紅、高科深錫、雛森香苗をよろしくお願いします。それでは2000年、過去と現在と未来、すべての絆達に。 心から、おめでとう。