『映画部作品=ONE&MOON.===NUKE』 投稿者: てやくの ;  投稿日: 1月4日(月)02時28分 削除


その日、俺はみさき先輩に頼まれて、長森を従えて図書室にきていた。 「ねえ、浩平、点字の本なんてどこにもないよ。」 部屋が暗いのもあってか、長森は見つけるのに手間取っているようだ。 「奥にないか?なかったら多分お前の目の前だ。」 「奥に・・・って、あった!!これだね、浩平。」 そう言うと長森はにこにこしながら、本をこっちに見せる。 「おかしいな。そこはさっき俺が探したはずなのに?」 「浩平は注意力が足りないんだもん、しかたないよ。」 「お前、なぐさめてんのか、それともけなしてんのか?」 「う〜んどうかな〜」 「くぅ〜、いやな奴。」 「本当のことを言っただけだもん、私は悪くないもん。」 「俺だってホントのことを言っているぞ。」 「へ?なにを?」 「長森はいやな奴。」 「浩平!!」 そんな感じで図書室を出る、さすがに地下十階にあるだけあって、廊下がかび臭い。この廊下にはちょっとした、ミステリーゾーンで、毎年一年がここにきて騒ぐのは、一種の期間行事だ。 「長森、先行くぞ〜」 「まってよ〜、浩平〜。」 そんな長森を無視して、地上に続く、合計12000段の階段を上り始める。 この図書室は今まで、地上にあったのだが、近頃、こんな地下深くになったのだ。 長森が付いてくる足音を後ろに聞きながら、階段を上り始める。 階段に足をかけた瞬間、何か変な感覚に襲われた、そう、いつか感じたことのある永遠の世界の感覚。 『えいえんはあるよ・・・・』 何かに吸い込まれそうになる、だがそれはある声によって止められる。 「みさき〜そこね、そこにいるんでしょう!!」 深山先輩だ・・・・一度消えかけた意識が戻ってくる。 だが、次の瞬間!! ゴン!! みさき先輩だけでなく、深山先輩とまで頭突きをしあうことになるとは、今度こそ完全に意識が消えた。 何もない世界、覚えてる、あの世界、そこにはあの子が立っていた。 「ひさしぶりだね、おにいちゃん。」 あのとき、そう、あのとき俺を永遠の世界に連れ込んだあの子、子供の瑞佳、簡単に言うと、ちびみずかだ。 「また俺をあの世界に連れ込むつもりか?」 「ううん、そんなつもりはないよ、ふふ、どこかのだれかににてうたぐりぶかいね。」 「じゃあ、何で俺はこんな世界にいるんだ?」 「それは、おにいちゃんにしっておいてほしいことがあったの。」 「知っておいてほしいこと?」 俺は最初、どうでもいいこととして聞いていたが、そのことばに耳を貸した。 「そう、わたしはおにいちゃんのもつ、えいえんのせかいのかんりしゃ、だからおにいちゃんが、えいえんのせかいを、ひつようとしなくなったから、このせかいをけしていたの。」 「それで、何を知っておいてほしいんだ?」 「おにいちゃんのなかに、もうひとつのいしきがあること。」 「もう一つの意識って、お前のことじゃないのか?」 「わたしは、おにいちゃんのいしき、こころのかけら、わたしはべついしきっていうものじゃないの。」 「じゃあ、その別意識がどうしたんだ?」 「ふふ、あまりかんがえこまないんだね、せいかくには、そんざいした、おにいちゃんのなかにひそんでいたの。」 「それで?」 「そのいしきによって、おにいちゃんのなかにある、ちからがねむっている、ということ」 「力?」 「うん、そのちからは、このよでは“不可視の力”と、よばれているもので・・・・・・」 ちびみずかが全てを言い終わる前に、俺の意識は急速にさめていった。 そこはベッドの上だった、保健室だろうか、少し薬くさい。 「浩平!!目が覚めたんだね!!よかった〜」 「んあ?長森?」 「驚いたよ、浩平あの先輩とぶつかったら急に倒れて、ずっと目覚めなかったんだから、よかった〜。」 あのとき、助けてくれたのは雪見だったな、学校では照れくさいとかいって、先輩、後輩の関係しか許してくれないんだよなぁ 俺は何が起きたのかしばらく分からなかったが、おでこにたんこぶのできた雪見を見つめながら眠りについた・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・To be continued・・・・・・